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『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


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EP 23

コボルト追跡と忍び寄る影

ルナキャロット村を後にした勇太、キャルル、リーシャ、そして規格外の丸太を担いだイグニスの4人は、海岸沿いを東へと急行していた。

真夏の太陽が照りつけ、岩場からの照り返しが肌を焼く。

「ええい、遅い! かったるい! あのドブネズミども、俺の『ヴォルカニック・バスター』をまな板代わりになんぞ使っていたら、ただじゃおかねえぞ!」

イグニスは苛立ちを隠そうともせず、ウルジから受け取った「鉄箍付きの樫の丸太(重量50kg)」を、まるで指揮棒のように振り回している。

ブンッ、と丸太が空を切るたび、近くの岩が砕け散る。

武器がなくとも、この破壊力。竜人族の身体能力はデタラメだ。

「落ち着きなさい、トカゲ男。貴方の殺気で、隠れている獲物まで逃げてしまうわ」

リーシャが冷ややかに諭すが、イグニスの耳には届いていない。

「でも、イグニスさんの気持ちも分かります! 武闘家にとって武器は命ですもん!」

キャルルが隣でぴょこぴょこと跳ねながら同意する。その長い耳は、パラボラアンテナのように絶えず動き、周囲の音を拾っていた。

先頭を行く勇太は、黙々と地面の痕跡トレースを追っていた。

「……ここだ。足跡が深くなっている。重い荷物を引きずった跡だ」

砂利に残された、無数の小さな爪跡。コボルトだ。

彼らは単体では弱いが、群れでの連携と、狡猾な罠を得意とする。

「待って」

勇太が右手を挙げ、全員を制止した。

彼の視線の先には、何変哲もない草むらがある。だが、医者としての観察眼と、サバイバル知識が違和感を捉えていた。

草の倒れ方が不自然だ。そして、極細のつたが、ピンと張り詰めている。

「トリップワイヤーだ。……その先には、落石の仕掛け」

勇太は十徳ナイフを取り出し、慎重に蔦を切断した。

カチッ、という小さな音と共に、頭上の岩棚からバスケットボール大の岩がゴロリと落ちてきた。

「ひぇっ……! よく気づきましたね、ユウタさん」

「コボルトは賢い。巣穴が近い証拠だ」

罠を解除しつつ、さらに進む。

やがて、潮騒の音が大きくなり、切り立った岬の岩場が見えてきた。

風向きが変わる。潮の香りに混じって、鼻を突く「獣臭さ」と「腐敗臭」が漂ってきた。

「……臭うわね。あそこよ」

リーシャが指差した先。

巨岩の裂け目に、黒々とした洞窟の入り口が口を開けていた。

入り口には、粗末な革鎧をまとったコボルトが見張りとして二匹立っている。腰には錆びた短剣。

「数は……見える範囲で10匹前後か。奥にはもっといるな」

勇太は、村の防衛戦で購入した**『双眼鏡(倍率8倍)』**を覗き込みながら言った。

「ユウタ、俺の戦斧は見えねえか?」

「ここからじゃ確認できない。でも、あいつらが何かデカい袋を引きずり込んでいるのは見えた。……多分、当たりだ」

「よし、なら話は早い! 正面から殴り込んで皆殺しだ!」

鼻息荒く立ち上がろうとするイグニスを、勇太が手で制する。

「待て。狭い入り口で囲まれたら、いくらイグニスでも不利だ。それに、乱戦になって君の装備を海に捨てられたらどうする?」

「む……っ」

「まずは僕とキャルルさんで潜入して、中の配置を探る。リーシャとイグニスはここで待機。合図があったら突入してくれ」

勇太とキャルルは、岩陰を縫うようにして接近した。

風下からのアプローチ。キャルルの気配遮断は完璧で、勇太もそれに続く。

洞窟の入り口付近まで忍び寄り、中の様子をうかがう。

広い空洞になっている。中央には焚き火があり、20匹近いコボルトが群がっている。

そして、その奥。

薄汚れた布の上に、赤銅色に輝く巨大な戦斧と、重厚な大盾が「御神体」のように飾られているのが見えた。

(あった……!)

勇太たちは音もなく戻り、状況を報告した。

「よし、ブツは奥だ。……作戦を伝える」

勇太は三人を集め、小声で指示を出した。

「コボルトは犬の仲間だ。つまり、『鼻』と『耳』が良い。それを逆手に取る」

「どうするの?」

「僕が『地球ショッピング』で、特大の陽動を仕掛ける。奴らがパニックになった隙に、リーシャが魔法で入り口を制圧。その瞬間に、僕とキャルル、イグニスで突入して、一気に装備を奪還する」

「陽動? 何を出す気だ?」

イグニスが怪訝そうに尋ねる。

勇太はニヤリと笑い、ボードを操作した。

ポイント消費はわずか数ポイント。だが、その効果は絶大だ。

【購入完了:50連発爆竹 × 3セット、100円ライター】

「こいつは『爆竹バクチク』。……最高にうるさくて、火薬臭い、特製のお祭りグッズさ」

勇太の手には、赤い紙で巻かれた小さな筒の束が握られていた。

「なるほど、聴覚と嗅覚を潰すのね。悪趣味で素敵だわ」

リーシャがフフッと笑う。

準備は整った。

奪われた誇りを取り戻すため、異世界と現代技術の融合チームが、静かに牙を剥いた。

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