表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/19

EP 17

勝利の夜と未知の武器

魔獣ガルムが崩れ落ち、リザードマンの群れが闇へと消え去った後。

一瞬の静寂を経て、ルナキャロット村は爆発的な歓喜に包まれた。

「勝った……勝ったぞぉぉぉ!!」

村人たちは武器を放り出し、互いの肩を抱き合い、涙ながらに無事を確かめ合う。

勇太も、熱を持った薙刀を杖代わりにし、大きく息を吐き出した。

全身の筋肉が悲鳴を上げているが、心地よい疲労感だ。

「やったな、ユウタ!」

「ええ、やりましたね」

隣では、キャルルとリーシャが、互いの健闘を称えるようにハイタッチを交わしている。

ふと、キャルルの視線が勇太の右手に留まった。

そこには、まだ硝煙の匂いを漂わせる黒い鉄の塊――グロック20が握られている。

「ねえユウタさん。……その武器は、一体?」

キャルルが興味津々に、スライド部分を指さした。

先ほどの雷のような轟音と、魔獣の装甲を貫いた威力。魔法とも弓とも違う、未知の力。

「あ、えっと……これは……」

勇太は言葉に詰まった。

「地球製の自動拳銃です」と言っても通じないだろうし、説明すれば長くなる。

どう誤魔化すべきか。

その時、杖を支えに息を整えていたリーシャが、冷静な――しかし研究者のような鋭い瞳で、グロックを覗き込んだ。

「見たことのない形状ね。……魔力回路が見当たらないけれど、精巧な金属加工。グリップの素材も未知のものだわ」

リーシャは顎に手を当て、ブツブツと考察を始める。

「もしかして、噂に聞く**『魔導砲マギ・カノン』**の小型版かしら? 都のドワーフ職人が、火薬と魔法を組み合わせて、杖を使わずに攻撃する筒を作っていると聞いたことがあるけれど……」

(魔導砲!? ドワーフ!?)

勇太にとっては初耳だが、これ以上ない助け舟だ。

「あ、ああ……! さすがリーシャさん、博識ですね。……まあ、そんな感じです。僕の国の技術で作られた、鉄の筒です」

勇太は、嘘はつかずに(肯定もせずに)、曖昧に笑って頷いた。

「へぇー! ドワーフさんの技術なんだ! 鉄の筒であんな凄い音と力が出るなんて、ユウタさんの国ってすごいんだね!」

純粋なキャルルは、目をキラキラさせて納得してくれた。

リーシャはまだ少し疑念――というより、術式への純粋な探究心――があるようだが、今は追求する場ではないと判断したのか、ふっと笑みをこぼした。

「いずれにせよ、あんな強力な切りアーティファクトを持っているなんてね。……貴方、本当に底が知れないわ」

その言葉には、呆れと共に、深い信頼の色が混じっていた。

「よし! 感動の再会はそこまでだ! 野郎ども、ぐずぐずするな!」

ラトルの野太い号令が飛んだ。

「盗賊は追い払ったが、まだ仕事は残ってるぞ! ガルムの素材は宝の山だ、血が固まる前に解体しろ! 牙、爪、そして魔石! 一つも無駄にするなよ!」

「おうッ!!」

村人たちは勝利の余韻を断ち切り、テキパキと動き出した。

松明の明かりの下、ナイフを持った男たちがガルムの巨大な死体に群がる。

ウルジ爺さんが、ガルムの剥がれた鱗を拾い上げ、「ほう……こいつはいい防具になるぞ」と職人の目で吟味している。

これが、異世界のリアルだ。戦利品は、明日を生きるための糧になる。

「怪我人は広場の中央へ! ユウタ、頼めるか!?」

「はい、任せてください!」

勇太は、黒い破壊の道具グロックを空間収納へしまい込むと、代わりに白衣の戦士としての武器――医療キットを取り出した。

さらに、貯まったポイントで追加の薬品も購入する。

「大丈夫ですか? 傷を見せてください」

「うう……リザードマンの剣で、肩を……」

リザードマンの錆びた武器による裂傷、打撲、火傷。

勇太は一人一人の傷を見極め、洗浄、消毒、縫合を行っていく。

「バイタル安定。次は火傷の処置だ。リーシャさん、そっちの人の止血をお願いできますか?」

「ええ、分かったわ。『ヒール』!」

現代医療と回復魔法のハイブリッド治療。

手当てを受けるたび、村人たちの苦悶の表情が安堵へと変わっていく。

【村人の裂傷を縫合しました。 20 P 加算】

【重傷者の感染症を防ぎました。 50 P 加算】

【村の防衛と、戦後処理に大きく貢献しました。 100 P 加算】

視界の端でポイントが増えていく。

だが今の勇太にとって、それは単なる数字でしかなかった。

「……ありがとう、ユウタ先生。あんたがいなきゃ、死んでたよ」

「俺たちの村を守ってくれて、ありがとう……」

震える手で握り返される温もり。涙ながらの感謝の言葉。

それこそが、彼が命を懸けて戦った、本当の報酬だった。

東の空が白み始める頃。

ルナキャロット村には、心地よい疲労感と、生き残った喜び、そして明日への希望が満ち溢れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ