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殺人鬼は警備員を見る。
岩本は殺人鬼が目を離した隙に、サツマタを拾い上げ、殺人鬼の頭を何度も叩いた。
「このやろおおおおおおお!」
殺人鬼はうずくまる。
「やめなさい!」
警備員は岩本を取り押さえた。
「そっちじゃない!」
「え?」
殺人鬼は包丁を拾い、警備員目がけて突っ込んだ。腹部を刺す。
警備員は苦しみの声を上げた。手には血。
「なんじゃごりゃああああ!」
「きゃああああああ!」
殺人鬼、警備員を滅多刺しにする。
「ぐあああ、助けて、助けてえ」
「逃げよう!」
岩本と山口は手を繋いでその場から逃げる。
二人はもう一度、施設の中に入った。
「来てくれた人が……」
「振り返るな!」
廊下を駆ける。
メインエントランスまできた。
「ここまでくれば」
二人はガラスの扉の外を見た。
殺人鬼が外に立っている。
「うそ」
「ふざけんなよッ!」
山口は膝を折り、
岩本は肩を落とした。
殺人鬼は一歩、二人に近づいた。
サイレンの音が聞こえてきた。