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「ここまでくれば」
岩本がそう言ったあと、後ろのドアがバンと開いた。
二人はぱっとふり向く。
「キャアアアアアアアアアー!」
殺人鬼は包丁を振りあげる。
岩本はライトを点滅させて目潰しを仕掛けた。
殺人鬼は腕で目を守る。
岩本はその隙に殺人鬼をサスマタでぶっ叩いた。
「うおおおおおおおおお!」
これでもかという勢いで叩いた。
「山口さん! 逃げて!」
殺人鬼は包丁を岩本、目がけて投げつけた。
刃が岩本の顔面に迫った。
「うわああ」
岩本は包丁を避けて倒れた。頬から血が流れている。
「岩本さん!」
殺人鬼が倒れた岩本に迫ろうとしていると、
「いやあああああああああ!」
山口が殺人鬼に思いっきり体当たりをした。
殺人鬼は倒れる。
岩本に駆け寄る山口。
「大丈夫!?」
殺人鬼は腹をおさえながら立ち上がった。
岩本と山口は手を取り合って、殺人鬼を見つめる。
「岩本さん……」
「俺がおとりになる」
そのとき、車の音と共にライトが殺人鬼の顔に当たった。車が近くに止まる。
殺人鬼は腕でライトの光を遮った。
車から警備会社の人が出てくる。
「なにやってんだあ!」