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第6章:真実の光

1


険しい西の山脈を登り、三日目の夕暮れ。霧が立ち込める尾根道の先に、私たちは目的の場所を発見した。苔むした巨大な石柱に囲まれた古い石造りの祠—『大地の祠』だ。長い年月の風雨に晒されながらも、その佇まいは荘厳な雰囲気を失っていなかった。


私たちの一行は、私、エクレール、グレイス、そして父マーカスの四人。母セレナは王都に残り、七色竜騎士団の動向を監視しつつ、ヴァイス皇子の再襲撃に備えてくれていた。


「ここが、大地の祠…」


「ええ」

エクレールは頷いた。

「土の精霊は安定した大地を好み、変化を嫌う。テラは古来より、この祠に宿り、山と大地を守護してきたと言われているわ」


祠の周囲には、不思議なほどの静寂が満ちていた。鳥の声も、風の音さえも聞こえない。まるで、ここだけ世界の流れから切り離されているかのようだった。


「まずは祠の中心にある祭壇石の上に立って」

エクレールが小声で指示した。


私は言われた通り、中央にある平らな石の台座の上に立ち、「小精霊の書」を開いた。火、水、風の宝石の隣にある、落ち着いた茶色の宝石が、大地の鼓動に呼応するように微かに光り始めた。


「母なる大地よ、不動なる岩よ、連なる山々よ、どうか私の呼びかけに応えたまえ」

私は儀式の言葉を静かに唱えた。

「古の大地の守り手、小精霊テラ、あなたの姿を現してください」


すると、地面がゆっくりと、しかし確実に震え始め、私が立つ石の台座から温かい茶色の光が立ち上った。光はやがて凝縮され、まるで磨かれた岩石のような、ずんぐりとした小さな精霊の姿を形作った。


「誰じゃ?わしの永き眠りを妨げるのは」


テラの声は、洞窟の奥から響くように低く、重々しかった。その姿と声には、年老いた賢人のような威厳と落ち着きがあった。


「こんにちは、テラ」

私は敬意を込めて丁寧に挨拶した。

「私はアイリス・ヴァレンタインと申します。あなたのお力をお借りしたく、契約をお願いに参りました」


テラは大きな岩のような目でじっと私を観察した。

「ほう…フレイム、ミスト、ゼフィルと既に契約しておるか。なかなかの才の持ち主と見える。だが、なぜわしとも契約したいと願う?」


「混沌竜の封印が、今まさに危機に瀕しています。ノースガルド帝国の皇子が、邪悪な力で封印を解こうとしているのです」


「うむ…あの忌まわしき者か」

テラは重々しく言った。

「奴は闇と死の精霊を取り込み、この大地を穢そうとしておる。わしはその邪な波動を、遠くこの地から感じておった」


「どうか、私たちに力を貸していただけませんか?」


「そう簡単には契約は結べぬ」

テラはゆっくりと首を振った(ように見えた)。

「わしの力は『守護』と『安定』を司る。破壊のためではなく、育み、護るためにこそ存在する。お前がその力を正しく使うに値する心を持つか、この場で試させてもらうとしよう」


突然、祠の周囲の地面から黒い霧が噴き出し、それがみるみるうちに奇妙な形の魔物へと姿を変えた!石のような硬質な外見をしているが、その内側からはワンダリング・アイと同じ、不吉な赤い光が漏れ出ている。数十体の魔物が私たちを取り囲んだ!


「これは…古代の『石の守護兵』!テラの力が作り出した試練だわ!」

エクレールが叫んだ。「気をつけて!その力は本物よ!」


「アイリス、危ない、下がって!」

グレイスが剣を抜き放つ。父も臨戦態勢に入る。


「いいえ、大丈夫です」

私は二人を制した。

「これはテラが私に与えた試練。私が受けなければなりません」


フレイム、ミスト、ゼフィルをペンダントから呼び出し、私は四体の魔物たちと静かに向き合った。


「どうすればいいのですか、テラ?」

私は尋ねた。


「破壊するのではない。護り、鎮めよ」

テラは簡潔に答えた。


石の守護兵たちが、重々しい足取りで一斉に私たちに襲いかかってきた!通常ならばフレイムの炎で焼き払い、ミストの水で動きを封じ、ゼフィルの風で吹き飛ばすところだろう。しかし、テラの言葉を思い出した。「護り、鎮めよ」—破壊ではない。力の使い方そのものが問われているのだ。


「フレイム、攻撃しないで!炎の壁で彼らを囲い込んで、動きを止めて!」


フレイムは私の意図を即座に理解し、燃え盛る炎の壁を作り出して守護兵たちの進路を巧みに塞いだ。


「ミスト、水の檻をお願い!」


ミストが清らかな水の力を操り、炎を恐れて密集した魔物たちを、まるで檻のように水の鎖で優しく、しかし確実に拘束する。


「ゼフィル、みんなを祠の中央にゆっくりと集めて!」


ゼフィルの起こす穏やかな風が、拘束された魔物たちをふわりと浮かせ、祠の中央にある祭壇石の周りへと静かに運び、集めていく。


「みんな、力を一つに!彼らを元の石の姿に!」


私の呼びかけに応え、四色の光—火の赤、水の青、風の緑、そして私の持つ大地の茶—が一つに混ざり合い、優しい光となって中央に集められた守護兵たちを包み込んだ。それは破壊の光ではなく、鎮魂と浄化の光だった。光がゆっくりと消え去ると、魔物の姿はなく、そこには様々な動物の形をした、穏やかな表情の小さな石の彫像がいくつも残されていた。


「うむ…よくぞ理解しておる」

テラが満足げに、そして少しだけ感心したように言った。

「わしの真の力は、破壊ではなく『変容』の力。敵を滅ぼすのではなく、その在り方を変え、調和へと導く力なのじゃ」


「契約…していただけますか?」

私は期待を込めて尋ねた。


「よかろう」

テラがゆっくりと私の前に浮かんだ。

「わしの力を、この大地とそこに生きる全てのものを護るために使うと、固く誓うのであれば」


「誓います」私は力強く答えた。


契約の言葉を交わすと、「小精霊の書」の茶色の宝石が、大地のように温かく、力強い輝きを放った。大地の揺るぎない力が私の体へと流れ込み、心身に確かな安定感と、何事にも屈しない強さが満ちるのを感じた。


「おめでとう、アイリス!」

エクレールが嬉しそうに近づいてきた。「これで四つ目の契約。着実に力を増しているわ」


「残るは光、闇、時間の三つか」

父が気を引き締めるように言った。

「だが、闇の精霊シャドウはヴァイス皇子のもとに…」


「光の精霊ルミナは、どこにいらっしゃるのでしょう?」

私はテラに尋ねた。


「光と闇は常に一対のもの。シャドウが邪な者の手に渡り、闇の力が強まったからには、対となるルミナもまた、バランスを取り戻すために必ずや動き出しておるはずじゃ」

テラはゆっくりと答えた。

「光を求めるならば、星に最も近い場所へ行くがよい。古の『星見の塔』に、彼女は現れるはずじゃ」


「星見の塔…確か王都の東、険しい山脈を越えた先にある、忘れられた古代遺跡だったわね」

エクレールが記憶を探るように言った。


「では、次はそこへ向かいましょう!」

私が決意を口にした、まさにその時だった。


グレイスの表情が一瞬にして苦痛に歪んだ。彼女は胸元を強く押さえ、苦しそうな呻き声を漏らす。


「グレイス!?どうしたの、大丈夫!?」


「ルビアス…様が…呼んでいる…!」

彼女は途切れ途切れに、苦しげに言った。

「すごく…嫌な予感がする…危険が…王都に、城に迫っている…!」


「なんだって!?」

父が驚愕の声を上げた。


その言葉を裏付けるかのように、遥か彼方、王都がある方向の空が、不吉な黒い雲に覆われ始めているのが見えた。そして、地平線の彼方から、地鳴りのような低い轟音が微かに響いてきた。


「まさか…ヴァイス皇子が!?急いで王都に戻りましょう!」


2


私たちが転移魔法陣(エクレールが緊急用に準備していた古代の魔道具だ)を使って瞬時に王都に戻ると、そこは既に地獄のような戦場と化していた。空からは絶えず黒い霧のような雨が降り注ぎ、街のあちこちで、これまで見たこともないような異形の魔物たちが破壊と殺戮を繰り返していた。建物の多くは崩れ落ち、炎が上がり、人々の悲鳴が響き渡る。七色竜騎士団の騎士たちが、それぞれの竜と共に懸命に応戦しているが、次から次へと現れる魔物の数があまりにも多く、明らかに劣勢に立たされていた。


城の中庭で、母セレナが愛竜である紅竜と共に、獅子奮迅の戦いを繰り広げていた。彼女の放つ炎が次々と魔物を焼き払っていくが、その表情には焦りの色が見えた。私たちが駆けつけると、彼女は一瞬だけ安堵の表情を見せた。


「アイリス!それに皆も!無事で良かった…!」


「母上!一体何が起きたのですか!?」


「ノースガルドのヴァイス皇子よ!」

母は剣を振るいながら説明した。

「数時間前、突如として北の城門から濃密な黒い霧が津波のように押し寄せ、その中からあの皇子と、無数の魔物の軍団が現れたの!」


「彼の目的は!?」


「おそらく、城の最上階にある『星の間』よ!」

母は城の中心にある最も高い塔を鋭く指さした。

「あそこには『星の契約』の時代から伝わる王家の秘宝が安置されているわ。七色に輝く宝玉…それは混沌竜の封印の要となる、極めて重要なものなのよ!」


「それを奪われたら…!急いで行かないと!」


私たちは城内へと駆け込んだ。廊下の至る所で、王宮騎士たちが押し寄せる魔物と死闘を繰り広げている。私はフレイムの炎で道を焼き開き、ミストの水で騎士たちの傷を癒し、ゼフィルの風で魔物を吹き飛ばし、テラの土の壁で仲間を守りながら、塔へと突き進む。


「ヴァイス皇子の力が、以前とは比べ物にならないほど強くなっているわ!」

エクレールが杖を構えながら警告した。

「闇と死、二体の精霊の力を完全に掌握し、増幅させている!気を抜かないで!」


息を切らしながら高塔への螺旋階段を駆け上がると、突然、目の前が完全な闇に包まれた。濃密な闇の霧が、私たちの視界も気配も全てを奪い去る!


「これは…闇の精霊シャドウの力!」私は身構えた。


霧の中から、ゆっくりとヴァイス皇子の姿が現れた。彼の周りには、以前よりもさらに濃く、禍々しい気を放つ闇の精霊シャドウと死の精霊モルトスが不気味に浮かんでいる。彼の肌には黒い紋様が広がり、その瞳は完全に赤く染まっていた。そして、その手には…七色の複雑な光を放つ、美しい宝玉が握られていた!


「ふふふ…間に合わなかったようだな、小精霊使いよ」

彼は勝ち誇ったように、そして嘲るように笑った。

「これで『絆の鍵』の重要な一つを、この私が手に入れた」


「返しなさい、ヴァイス!」私は怒りを込めて叫んだ。


「もう遅い。この宝玉の力と、私の持つ二つの鍵、そしてあと一つの鍵さえあれば…混沌竜は完全に復活するのだ!」


彼の狂気に満ちた視線が、私の隣に立つグレイスに向けられた。

「そう…赤竜の契約者よ。君の魂に宿るという、七つ目の鍵も、ここで頂くとしようか!」


「させるものか!」


父と母が同時にヴァイスに向かって飛びかかった!二人の竜騎士の連携攻撃は凄まじいが、ヴァイスは余裕の表情で闇の障壁を展開し、二人をいとも簡単に弾き飛ばした!


「フレイム、ミスト、ゼフィル、テラ!」

私は今持つ全ての小精霊を呼び出した。

「みんな、力を貸して!」


四色の光が激しく混ざり合い、一条の奔流となって闇の障壁に向かって突き進む。障壁に亀裂が入り始めた!


「ほう…なかなかやるではないか」

ヴァイスの余裕の笑みが初めて消える。「だが、まだ足りぬわ!」


彼が隣の死の精霊モルトスに命じると、モルトスから禍々しい赤黒い霧が噴き出し、まるで生きている蛇のようにグレイスに向かって伸びていった!それは生命力を直接蝕み、魂の絆さえも断ち切ろうとする死の呪いだ!


「グレイス、危ない!」


彼女は咄嗟に赤竜の力を呼び覚まし、炎のオーラで身を守ろうとした。しかし、モルトスの放つ死の霧は、生命力を直接蝕む呪われた力。炎のオーラは徐々に霧に侵食され、グレイスの顔から血の気が引き、彼女は苦悶の表情を浮かべて膝をついた!


「やめて!」私は絶望的な思いで叫んだ。私の力が、まだ足りない…!


その時だった。割れたステンドグラスの窓から、眩いばかりの金色の光が一直線に差し込んできた!その光はまるで小さな星のように輝き、優しい温もりを放ちながら、死の霧に向かって突き進んだ。それは、今まで見たこともない、神々しい気配を纏った精霊だった!


「ルミナ…光の精霊…!」エクレールが驚きと畏敬の声を上げた。


光の精霊ルミナは、シャドウとモルトスの邪悪な力を真っ向から押し返すように、その輝きを増した。そして、グレイスを包み込んでいた死の霧を、まるで朝日の前の夜霧のように跡形もなく消し去ってしまった!


「なっ…この光は…ありえん!」ヴァイス皇子が一歩、二歩と後ずさった。


「光あるところに、闇は永く存在できません」

ルミナの声は、まるで天上の鈴のように清らかに、しかし力強く響き渡った。

「アイリス・ヴァレンタイン、私はあなたを選びます。この歪んだ闇を打ち払い、世界の調和を取り戻すために」


「でも、私はまだ契約の儀式を…」


「いいえ、今がその時なのです」

ルミナは私の目の前にふわりと浮かんだ。

「闇の精霊シャドウが邪な者の手に堕ちた時、その対なる存在である私は、必ずや光をもたらすために現れる運命なのです」


私とルミナが契約の言葉を交わした瞬間、「小精霊の書」の金色に輝く宝石が、太陽のように眩い光を放った!同時に私の体から、火、水、風、土、そして光—五色のオーラが奔流のように溢れ出す!


「これは…五つの精霊の力が完全に調和している…!」

エクレールが畏敬の念を込めて言った。「伝説に聞く『五彩の調和』よ!」


五色の光の奔流が、ヴァイス皇子を真正面から打ち据える!それは単なる力の衝突ではなく、調和の力による浄化の光だった!彼は今までとは比較にならない苦悶の叫び声を上げ、その衝撃で手から七色の宝玉を取り落とした!


「ぐ…おのれ…!だが、まだだ…まだ私は終わってはいないぞ!」


ヴァイスは憎悪に満ちた目で私を睨みつけると、全身を急速に黒い霧に変え、割れた窓から外へと高速で逃げ去った。彼が去ると、城を覆っていた闇の霧も、街を襲っていた魔物たちも、幻のように消え去っていった。


「宝玉を取り戻した…」

父が床に落ちていた七色の宝玉を慎重に拾い上げた。

「ひとまず、最大の危機は去ったようだ…」


私はすぐにグレイスのもとに駆け寄った。彼女はまだ顔面蒼白だったが、弱々しく微笑んでいた。


「大丈夫、グレイス?」


「ええ…ありがとう、アイリス。あなたと…光の精霊のおかげで助かったわ。でも…」

彼女は苦しそうに胸を押さえた。

「ルビアス様が…すごく弱っているのを感じる。あの死の霧で…私とルビアス様の契約の絆が、ひどく傷つけられてしまったみたい…」


「ヴァイスの狙いは、それだったのかもしれないわね」

母が私たちに近づいてきた。

「竜との契約を弱体化させ、魂に宿るという『鍵』を奪いやすくするために…」


「残るは時間の精霊だけね」

エクレールが険しい表情で言った。

「時の精霊クロノスは、七精霊の中でも最も謎に包まれ、神秘的な存在。彼がどこにいるのか、どうすれば契約できるのか、古文書にもほとんど記されていないわ」


「でも、ヴァイスも諦めずに動き出すでしょう」

私は奪還した宝玉を握りしめ、窓の外の暗い空を見つめた。

「残された時間は少ない…本当に時間との戦いだわ」


その時、私の隣に浮かんでいた光の精霊ルミナが、静かに、しかし確信に満ちた声で言った。

「時間の精霊は、あなたが思うよりも、ずっとあなたの近くにいます」


「えっ?」


「時の精霊クロノスは、過去、現在、未来…全ての時を見守る存在。彼は、運命が定めた正しい時が来るまで、決してその姿を現しません」

ルミナは優しく微笑んだ。

「でも、彼は必ず現れるでしょう。あなたが、残る全ての精霊—光と、そして闇とも—真の調和を果たした、その時に」


「闇の精霊とも…?でも、シャドウはヴァイス皇子と契約して…」


「闇の精霊シャドウは、本来、光と対になり、世界のバランスを保つために存在する重要な力」

父が厳しい顔で言った。

「彼はヴァイス皇子の邪悪な意志に利用されているに過ぎないはずだ」


「もし…もしシャドウをヴァイスから解放し、アイリスが彼とも契約を結ぶことができれば…」

エクレールが考え込むように言った。


「決まりね」

母が決然とした声で言った。

「私たちの成すべきことは一つ。ノースガルドのヴァイス皇子を追い、闇の精霊シャドウを解放し、取り戻す。そうすれば、最後の精霊クロノスも必ず現れ、混沌竜の封印を完全にすることができるはず!」


「でも、ヴァイスはどこへ…?」


その問いに答えたのは、弱々しく息をしていたグレイスだった。彼女は目を閉じ、精神を集中させると、途切れ途切れに言った。

「北…遥か北の…国境の向こう。ルビアス様が、かろうじて感じる…彼は…雪と氷に閉ざされた、古代の遺跡…『時の神殿』に…向かっている…」


「時の神殿…!?」

エクレールの表情が驚愕に変わった。

「まさか…そこは、混沌竜が最初に封印されたと言われる、始まりの場所…!あそこで封印を完全に解こうというの!?」


「急がないと!」

私は決意を新たにした。「皆、準備を!私たちも北へ向かいます!」


私の周りには、五人の個性豊かな小精霊たちが集まり、それぞれの美しい色で輝いていた。火、水、風、土、光—それぞれが全く違う性質を持ちながら、互いを補い合い、調和して一つの大きな力となる。


「あなたは、この国の、いいえ、この世界の希望よ、アイリス」

母が私の頬に優しく触れた。その手は温かく、力強かった。

「忘れられた小精霊と、誇り高き竜、その両方の力を正しく結びつけられるのは、あなたしかいないのだから」


明日、私たちは北へ向かう。邪悪な野望を抱く皇子を追い、囚われた闇の精霊を解放し、最後の時間の精霊を見つけ出し、そして、迫りくる混沌竜の脅威から世界を護るために。


時間との、そして運命との戦いが、今まさに始まろうとしていた。

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