特別な生活を求めて異世界へ!番外編 もしも自分が書いた小説の中に自分がいたら… を「夢」として書いてみた物語
俺の名前は森村渉。「特別な生活を求めて異世界へ!」の作者だ。これは、「もし、自分の書いた小説に自分が登場したら…」を妄想した短編である。
「うわー!次のストーリー決まらん!!」
俺は次の展開を考えずに話を進めてしまい、詰んでいたのだ。
「あーどうしよ!まだ外伝も残っているのに…。自分ならあそこではっきり言うよ?!だけどキャラがあれだからな…。」
俺は自分の机に向かって座りながら1人、叫んでいた。そして、ふと時計を見ると、午前の3時を回っていた。
「うわ…もうこんな時間…今日は寝るか…。」
俺はゆっくりとベッドに向かって歩いた。
(自分があの世界にいたらこんな思いはしなかったのにな…。)
俺はベッドに寝転がり、すぐに眠りについた。
ふと目を覚ますと、俺は天界にいた。起き上がってみると、自分がイメージしていたアリスのよう人物までいる。まるで、自分が作った物語のような…。
「ここは夢の中です。」
「え?!」
「あなたが言いましたよね。『自分が小説の世界にいたらな』と。」
「ま、まあ、そう言ったけど…。」
俺は寝る前にぶつぶつとそう思ったことを思い出した。
「夜明けまでまだ時間があります。せっかくなので、この世界を楽しんできてください。」
そして、辺りは急に明るくなり、転生するときのような感覚になった。
「え?!ちょっとまって!」
(ん、んん?)
俺は寝ていた。夢が覚めた?と思ったのもつかの間。
「ナセリー。なに作ったの?」
「これは『トンエッグ』っていう料理よ。豚肉に卵を絡めてみたの。」
起きてみると、俺は厨房にいた。マイクとナセリーが会話をしている。どうやら、ナセリーがみんなに料理を振る舞っているようだ。ナセリーが料理が得意だという設定はあるものの、それを小説中で取り上げたことはない。本当によくできた夢である。俺は思わず、声をかけてしまった。
「あのーちょっといい?」
「お?渉か?お前も食うか?」
「え?!」
「…えっと…。大丈夫ですか?」
「う、うん!大丈夫。」
俺はみんなに知られていた。正直困ってしまった。
「はいこれ!」
俺はナセリーから料理を渡された。初めて俺はナセリーを料理上手に設定してよかったと思った。まさか自分が創ったキャラの料理を食べられるとは…。
「うまい!これは美味しいぞ!」
「エディに喜んでもらってよかったわ!」
エディは一口食べたようだ。マイクとペナロンも続けて食べた。みんな美味しそうに食べているので俺も食べようと、自分の口に料理を運んだ。しかし、味がなかった。
(そりゃそうか…。夢だもんね…。)
俺は少しガッカリしたが、せっかく作ってくれた料理なので、頑張って間食した。
「さて、お腹も膨れたところで、そろそろダンジョンでも行くか。依頼はギルドで予約しておいたからすぐ行けるぞ。」
常時ダンジョンに行きたがっているところはエディらしく感じた。
「お!じゃあ渉も行く?せっかく来てくれたんだ。」
「い、いいの!?」
「俺はいいぞ。」
「私も~。」
「皆さんがいいなら、私も…。」
「わかった。ついていく。」
俺はまさかのダンジョンについていけることになった。
着いたのは、洞窟型のダンジョンだ。ここでデビルポニーを15体倒すらしい。しかし、自分がイメージしてたデビルポニーとは見た目が違った。
「デビルポニーってまじで馬じゃん!」
俺は突っ込んでしまったが、みんなはキョトンとしていた。
「さ、さーて、やるか!」
「お、おう…。」
俺は恥ずかしくなり、無理やり戦闘を開始させた。マイクとエディは剣を、ナセリーは杖を、ペナロンは弓を準備して各自動き出した。
「雷よ…」
マイクは相変わらずの詠唱魔法だ。威力は弱いが、確実にデビルポニーに魔法を命中させて、剣でトドメを刺している。ナセリーは無詠唱で炎を出現させていた。エディは剣でデビルポニーに特攻している。ペナロンは弓と身体強化魔法を使いながら戦っている。俺が想像していた通りの戦い方だ。そして俺は、ふと考えた。それは、現実では使えないが、夢の中で使えるかわからない『魔法』だ。
まずは、俺が作中で設定した方法でやってみることにした。まずは炎をイメージ。そして、詠唱をしようとする。これだ。俺はそれで成功すると考え、炎をイメージした。
(どうせなら、チート級の魔法をイメージするか…。炎、炎、炎…。)
そして詠唱をしようとした次の瞬間、ボッと大きな音が出て、大きな炎の竜巻が発生した。
「え?!ちょっと!?」
俺はすぐに炎をイメージするのをやめたが、すでに何体かのデビルポニーは焦げて黒くなっていた。
「ど、どうしましたか!?」
ペナロンは音に反応して、すぐ俺のところにかけつけた。
「え…。アハハ…。」
マイクとエディは呆然としている。ナセリーは早すぎてよく見えていなかったらしく、目を擦っている。
(さすがにチートすぎるよ…。もしかしてチートっていうのは不便なのか?!)
そして、開始5分でクエストはクリアしてしまった。そして、エディは夜明けを告げた。
「さて、そろそろ夜明けだ。」
「も、もう!?」
「じゃあね。また夢で会えたらいいわね。」
ナセリーもそう言った。どうやら、起きる時間になってしまったようだ。
「そうだね。みんなありがと。今日は楽しかったよ。」
「絶対、来てくださいよ!!」
ペナロンは照れながらそう言ってくれた。かわいい…。そして、辺りは明るくなっていく。
「じゃあね。」
そして、辺りが完全に白くなってから…
「俺たちの物語の続きをよろしくな!」
と、マイクの声が聞こえた。そして俺は、
「もちろん!」
と、マイクに応えた。
気がつくと、ベッドの上にいた。周りを見るとやはり、いつもの部屋にいるとわかる。しかし、夢を見ていたのは覚えているが、夢の内容が思い出せないのだ。
(俺はなんの夢を見ていたのかな…。まあいいや。)
ある日…
俺はいつものように小説のことで悩んでいた。
「うわーーー!どうしよう!!ネタがない!!」
俺は必死に考えた。しかし、いいネタがない。しばらくあーだこーだぶつぶつ言いながらなんとか考えたが…。やはり思い浮かばなかった。俺は思わず…
「あ!そうだ!小説を書くのをやめよう!」
と、冗談半分で独り言を言った。すると…
『俺たちの物語の続きが早く見たい!』
と、誰かの声が聞こえたような気がした。この家には自分以外いないはずだ。そこで、俺は夢の内容を思い出した。そして、それがきっかけになり、夢のことを小説に書くことになった…
これが、その話である。