降り掛かる
お待たせしました
「思いっきり■れる…だと? 姿形が変わっても、癪に触る戯言を吐きやがる…!」
「君が俺⬛︎とって何なのか、俺は知らない。だが俺の大切なものにとって君が脅威になるのならば、俺は君をこのままのさばらせておくわけにも行かない」
「それ■こっちの台詞だ。貴様のような糞野郎をのさばらせておく方がありとあらゆるものにとって脅威なんだ。だがそれも今から終わる」
この世界の端にて対峙する来訪者と魔快⬛︎様。来訪者の放つ憎悪と殺気はビリビリと空を伝って魔快⬛︎様の体表を刺激し、緊張を走らせる。
けれども魔快⬛︎様は目で見えてしまう程の、全身から溢れる殺意を前にしても一切退くことはない。むしろ心身共に落ち着き払い、動揺など微塵もせんと強く構えている。
それもその筈だ。自分自身の、⬛︎⬛︎⬛︎と言う御身体と自分自身の心を魔快黎様は通い合わせ、一体にしなければならないのだから。今でもそのためにかなりの神経と精神を擦り減らしてでも気を鎮めようとしているのに、こんな者の殺意や憎悪に気押され、乱れるようでは到底体と心を一体にすることなど叶わない。
魔快⬛︎様はふぅうっと裂けた口から漏れるように強く息を吐き、ギョロリと無数の目で睨み付けながら、これから起こるであろう来訪者との戦いに備える。
「貴様が■達にしたこと……俺達の怨み辛み……今此処で晴らしてやる…」
ビキビ■……ビキ■■■!!!
すると次の瞬間、来訪者の体が音を立てて崩れ、歪み始めた。
「むッ!⬛︎」
メギギ■■■…!!!
まさにその姿は混沌そのもの。来訪者は激しい憎悪と殺意と共に、混沌の塊へと変化して行く。今の魔快⬛︎様の御姿も本来の⬛︎⬛︎⬛︎の片鱗が見え隠れしているため、混沌としているのだが。
しかし変化するに連れて来訪者の力はみるみる膨れ上がって行き、つい先程までの者とは別物と言える程強く、そして歪になって行く。
最早原型を留めていないと言っても過言ではない肌の変わりようは魔快⬛︎様にすかさず構えさせ、臨戦体勢を取らせてしまう。圧倒的な強者だと、目の前の敵の持つ力は底なしだと直感的に悟ったからではない。
ただただ危険、自分が今すぐに此処で止めなければこの者は我が子達にとって危うい存在となることを、魔快⬛︎様はすぐさま感じ取ったからである。
「この力■、貴様が俺に与えた力だ…■■。貴様は■のことをこんな醜い■へと変■たが、そのお陰で俺■この力を手に入■■のだ…。■■■■…!」
「……」
(俺が与えた力。この者も俺の能力によって変えられたのか)
「貴様を殺す、⬛︎⬛︎⬛︎」
だからこそ、
⬛︎グッ……!!!!
(此処から一歩も下がらない…! 一歩も通すわけには行かないッ!)
我が子達のために、愛する者を守るために、魔快⬛︎様は戦う覚悟を決める。
ギロギロギロッ…!
「……ッ!」
が、その時であった。
(何…だとっ。こいつ、まさか)
ありとあらゆるものを見据える魔快⬛︎様の目が恐ろしい光景を目にしたのだ。
「どうした? 厄災も青■めるのか。別に逃げて■いいんだぞ? 子供達■元へな。だが果たして貴様が■のことを放って■■ことが出来るのかい?」
すると混沌となり、異形の存在となった来訪者は何処か笑みを浮かべながらそのように煽り立てる。今この場で自分から逃げてもいい、見てしまったものをどうにかすべく持ち前の能力で去ってもいいと。
その笑顔と光景を同時に見てしまった魔快⬛︎様は一瞬表情を崩すも、
「思いっきり⬛︎れる、俺はそう言っ⬛︎。もたもたなんかしてられん」
すぐさま意を決して睨み返しながら心と体を重ね合わせ、
「さっさと終わりにさせて貰う」
⬛︎ッ……ッ!!!!!
躊躇なく力を解放し、全身から轟々と溢れさせる。
ぽちゃ…⬛︎
――
そして魔快⬛︎様と来訪者が対峙している頃、その子達と魔快黎様の一部もまた、
「……」
(一体何処から湧いて来やがったんだこいつらは。少し離れたとこにあの存在を感じたから片割れに見に行って貰ったけど、まさかこっちにも来るとはなぁ)
似たような混沌の塊との戦いを予感していた。魔快黎様が来訪者と対峙している間、この子達の見守りを買って出た一部達は代わりにその側にいてくれていたのだ。しかし少し離れた位置、それも魔快黎様とはまた別の方向にこの世界のものではない者達の存在を一部達は感じ取ったため、首を伸ばせる方の異形は子達の安全のために見に行っていた。
しかしそれから間も無く、今度は子達と目に杭のようなものが打ち込まれている方の一部のすぐ側にも似たような来訪者が現れる。その存在をいち早く感じ取った一部はすぐさま何とかしようと立ち上がろうとするが、
「なにがくる…の…?」
「おねえてゃんも…いっちゃう…?」
「ママはかえってくるの?」
ぎゅううう…
「……」
(今この子達の側を離れることは難しいか)
まだまだ幼く、力も精神も未熟であるこの子達の側を離れるわけにも行かないと踏み留まる。自分はあくまでも一部、魔快黎様の力の一端であるため⬛︎⬛︎⬛︎のように子達を纏めて乗っけていられる巨大化や、片鱗を覗かせると言う形で一部だけ変えると言ったことも出来ないのだ。
(迎え撃つとしたらこの場で…かな、少し危険だけど…。それとも、別の片割れを呼ぶか…? でも他に、今すぐ来てくれてこの子達のことを守りながら戦ってくれる程優しい片割れなんていたっけか…)
ぐぎゅ…⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ッ
(ああもう、鳴るな鳴るな)
他の協力も望み薄である以上、少々この子達にとって危険だが此処での迎撃が最も良策であると判断すると、唸る自身の体を鎮めつつ戦う覚悟を決める。幸いにも感じられる存在は1つであるため、単独でも何とか出来るかもしれない。
と、その時、
てとっ
「…!?」
てとてとっ
子達の中から飛び出し、魔快黎様の一部の股下を潜り抜け、
「てきなら、わたしがやっつける。もうあなたやママにはたよらない!」
淫夢巫が迫って来る存在の元へと走っていってしまう。
「えっ、なにしとん」
「りんぷてゃん!?」
「…」
そんな淫夢巫の突拍子にして、妙とも言える自信過剰な様子に他の子達は驚き、慌てて駆け寄ろうとする。けれども淫夢巫は自信たっぷりな様子で振り向き、
「わたしはもうよわくない!」
ビシッ
「っ…」
欄照華のことを、かつて焼き飛ばしたその頭を、まだ跡の残っているその顔を指差しながらそう言い放つ。そして曲げていた指を静かに伸ばし、かつてと同じ開き手にすることで欄照華の記憶にあるあの光景を思い出させ、反論を強引に封じた。
その手のひらから放たれる強力な熱戦。それは拳を振るう欄照華の頭を半壊させ、消し飛ばせる程の威力だ。
自分にはそれが出来る、それだけの力がある。
もう弱くない、自分は守られるだけの存在じゃあない。
「ふんっ」
てとっ…!
言い終えるのと同時に淫夢巫はくるりと踵を返し、存在が感じられる来訪者の元へと走って行ってしまう。けれども自信満々でいる淫夢巫はあまりにも幼く、未熟過ぎた。そんな小さな子がよく分からない者のところへ行こうとしている。
当然それが危険なことだと言うのは魔快黎様の一部はもちろん、他の子達も漠然とだが分かった。ただ唯一淫夢巫だけが、自分が危険なことをしようとしていることに気が付いていないのだ。
そして次の瞬間、
フッ
淫夢巫は瞬間移動してしまい、
「淫夢巫ッ!」
思わず魔快黎様の一部はその名を叫んでしまう。
しかし、
「ッ!」
バッ!!
それが過ちであるとその一部が気が付き、慌てて口を押さえるが、
ドサッ
ベチャッ
バタンッ
時すでに遅く、声を聞いてしまった子達は、欄照華も水浘愛も漢妖歌も倒れてしまう。
「……ッ!!」
(ヤバイ……ッ! 思わず声を出しちまった! 失神はしちまったが、鼓膜は大丈夫かなぁ…)
すかさずその一部は倒れてしまった子達を抱き抱え、自分の声によって外傷を負ってしまってはいないかと確認する。けれども魔快黎様の子であるが故か、それとも魔快黎様の一部が他の生命とは逸脱した体の作りをしているからか、どの子達もどれだけの負傷を負っているか分からない。
(一応生きてはいるけど…)
どろぉ…
(これ、ヤッベェな……どうすりゃあいいんだ…)
幸いにも生命が失われるような事態にはなっていないものの、かと言って失神したこの子達が無事である保証は何処にもない。しかも今は淫夢巫も相手の元へ行ってしまっていると言う始末。
そんな最悪とも言える事態にその一部はグシャグシャと髪を掻きむしりながら、
(どうする……どうする……!? クソッ、御守り失格だよッ)
懸命にこの状況を打破する方法を模索する。
次回の投稿もお楽しみに
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