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心身一如

お待たせしました

「さてと、俺自身が俺を制御出来るようにならなきゃいけない…か。どうしたもんかねぇ」

「ママー、だいじょーぶ?」


 自身の一部に事の重大さを説かれ、何とかしなくてはならないと思考する魔快黎(まより)様。しかし今までもこの御身体を制御すべく我が子達が眠っている頃合いを見計らって鍛錬していたと言うのに。

 それでも未だに制御出来ていないとなると、やはり根本から何かを改善しなければならないと魔快黎(まより)様は考えていた。そんなお母さんの姿を心配してか、漢妖歌(かんよう)がよじよじと尾に登り、しがみ付きながら大丈夫? と少し不安げな声色ね問い掛ける。まだまだ幼い子であっても、何かよからぬことが起きようとしている、お母さんとその一部を自称するお姉さん達がそれをどうにかしようとしていることは分かるようだ。



 そんな我が子のことを心配させるわけにはいかないと魔快黎(まより)様は静かに微笑(ほほえ)みながら、



「ん、大丈夫だよ。ママは立派なママになるからね。何も心配はいらない」



 と、安心させるように告げる。


「りっぱ……ママは…りっぱじゃないの? よにとっちゃ、ママは…ママは、かっこいいママだよ」

「お〜…じゃあもっとかっこよくなってみせるよ」

「うん…!」


 むぎゅっ


 そして今よりも親として、お母さんとして立派な存在になると魔快黎(まより)様は漢妖歌(かんよう)と約束した。



 その後、魔快黎(まより)様は、


「じゃあ、少しだけ行って来る。すぐに戻って来るからな」

「それならずっとわたしのちかくにいてくれても…それに…」

「ははっ、ごもっとも。でも俺は行かなきゃだから。お姉さんとしっかりお留守番してるんだよ。いい子だから、ね」

「むぅ…うん」


 改めて自身の御身体と心を一体にするべく奮闘し始める。


 少し前までは制御出来ていたと思っていたこの御身体であるが、それも体の中の意思が心に合わせていたものだった。あの時、自分の意思と手で我が子のことを守れたと思っていたが、本当はその心を汲み取って体が動いてくれたものだった。


 異世界を敵達と共に滅ぼしかけた時も、その敵達が我が子達のことを傷付けるなどさせない、そうなる前に滅しようとした故なのだろう。



 自分の御身体は自分の心の味方、そして自分の子達の味方だ。


 されど敵を排除することには容赦などない。守りたいと言う心に呼応してはくれるが、そのために過剰とも言える力が込められた腕を振るう。



 辺りにどんな被害が出ようとも、世界にどんな厄災と混沌をもたらそうとも、心と体が一体にならない限り、この体は心が大切にしているものを守るために強大な力を使い続けるのだ。



「……」

「随分と浮かない顔をしてんなぁ。でもまぁ、自分のせいで我が子達や他の世界が危険に(さら)されるって考えちまうとそんな顔にもなっちまうか」

「俺が不安になっちまうことは別にいいんだが、それであの子達のことを不安にさせたくないんだよ。てか本当に喋れたんだな」

「一緒にいた者が言ってたが、喋れないわけじゃあなくて喋らなかったんだぞ。君は平気だろうけど、あの時は淫夢巫(りんぷ)の耳を考えて喋らなかったんだ。いいからとっととその不安を種を摘むんだな」



 厄災以上がもたらす最悪な光景、それを思うだけで不安になってしまう。けれどもそれを表に出すことで子供達を不安にさせてはいけないと、魔快黎(まより)様はその想いを押し殺し、隠して来たのだ。最も、完全に隠し切れていないから、先程のように漢妖歌(かんよう)淫夢巫(りんぷ)にその不安が伝わってしまっているのだが。


 そんな魔快黎(まより)様にその一部こと、目に杭のようなものが打ち込まれている者は軽く笑いながら、なら大切な子達のためにもさっさと不安を取り除いてやれと告げた。


「ったく、心がそんなに気落ちしてたら出来ることも出来ねーぞ。心が大事だっつってんのに」

「懸命に取り(つくろ)ってたつもりだが、やっぱり表には出てしまうものだな」

「心を持ったが故の苦労だな。まあいい、とっとと始めよう。て、言っても俺はあくまで体の意志を伝えるぐらいしか出来ねぇけどな。まぁ万が一能力(ちから)が暴走するようなことが起きたら微力ながら頑張って止めてやるから、好きにやってみたら」

「ああ」


 そして魔快黎(まより)様は厄災と混沌をもたらす自身の御身体を制御すべく、


「すぅ…ふぅう……」

(まずは頭から指先の隅々まで、俺の感覚全てを行き渡らせる…)



 自分の意思を体の隅々まで、それこそ頭の頂点から指の先の先まで行き渡るよう集中する。心が思っていることを体が汲み取り、勝手に動くのではない。魔快黎(まより)様の意思が、心が自分自身の体を動かすのだ。



「体は君の心で動こうとしている。動かしても大丈夫だ」

「分かった」

「分かってるだろうが、別に強張る必要はない」


 パキッ パキッ



 御身体も魔快黎(まより)様の心で動こうとしているため、魔快黎(まより)様はゆっくりと指先から動かし始めた。普段通り、いつもと同じように、ごく自然に動かしてみる。



 パキパキッ


「……なぁ、念の為に聞くが」

「ん⬛︎」


 パキパキ



 が、



「ちょっと意識し過ぎじゃあないのか? 戻ってる戻ってる」

「あ、やば⬛︎」

「いや、やばいじゃあなくて。体も困惑してるぞ。変身を保つことを(おろそ)かにしちゃあ駄目だろ」



 自然に動かすことを意識し過ぎるあまり変身が解けかけ、パキパキと顔がヒビ割れ、そこから本来の姿の一端が覗き始めてしまう。同時に御身体も側で見ていた者もその異変に気が付き、すぐさまそれを指摘した。すると案の定魔快黎(まより)様は意識を体に注ぎ過ぎるあまり、変身が解けかけてしまっていることに気が付き、慌ててそっちに意識し、覗き始めていた箇所を埋める。


「もしかして結構前途多難だったりするのか…」

「大丈夫だと言いたいけど、厳しいかな」

「まぁ最初から全て上手く行くなんて思ってないし、焦ってもいいことなんかない。ほら、さっさと次ッ。体だってやる気満々なんだから」


 しかし初っ端から蹴躓(けつまず)き、失敗することなど想定内。むしろたった1回の失敗でへこたれるなど言語道断だ。


「分かってる。早く出来るようにならないとあの子達にどんなことが起きるか分からんからな」


 当然魔快黎(まより)様もまだまだやる気でいるようで、すぐさま意識を全身に加えて変身にも行き渡らせ、精神を集中させ始める。



 と、その時、



(……あの子達…かッ…)



 見ていた者は魔快黎(まより)様の言葉に対して何かヒントを得たようで、


 パキッ…


「ん〜…難しいな。こんなに動かせないものか」

「なぁ、少し案があるんだが」

「何だ」


 早速自身が思い付いたことを話し始めた。



「自分の力があの子達に向かないよう、わざわざ遠く離れてるんだろ。もしやそれが恐れを生み、心や精神に多少なりとも影響を掛けてるんじゃあないかなって。だからさ…」



「なるほど…な。けど上手く行く…いや、やってみよう。上手く行かないなんて思わない」

「そっちの方があの子達のためにもなるんじゃあないか」



 ――



 そしてその案を受け入れた魔快黎(まより)様は我が子達の元へと帰還すると、



「おかえりぃー」

「おう、ただいま」

「って、あれ…もどって…る?」

「ちょっとね。でも大丈夫」



 出迎えてくれた水浘愛(めみあ)のことを抱え上げた。しかしその御身体や顔はところどころ割れ、本来の姿が見え隠れしている。一応()()⬛︎(⬛︎)様の姿程には戻っていないものの、子でも親の顔が少し違うことは分かるようだ。


 しかし魔快黎(まより)様はニコリと笑いながら、大丈夫だと笑い、我が子を抱え続ける。



 そんな魔快黎(まより)様の姿を見つつ、一部達は話し合っていた。



(上手く行くかな。逆にあの子達の側で心が体を制御出来るよう鍛錬するなんて)

(やってみなくちゃ分からないさ。万が一の時は俺達で止めようぜ)

(んー、まあ頑張るか。でも、本当に魔快黎(まより)が暴走するようなことが起きたら、俺達で止められるかなぁ)

(それも…やってみなくちゃ分からないさ)

(不安しかない)

次回の投稿もお楽しみに



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