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理不尽

お待たせしました

 カトンッ


「…ッ」

(またか、しかも今度は5もいる。それに…やはり混沌としてるな)


 またしてもこの世界に何者かがやって来たことを感知した魔快黎(まより)様は瞬間移動によって現場に急行し、足音を立てながらその場に降り立つ。目の前には前に来たのと変わらぬ混沌とした者達がおり、明らかに目的を持っているかのような動きで魔快黎(まより)様の元へと歩いて来る。しかもその数は今まで単独で来ていた者と違い、5つだ。


(こいつらも俺の知らない俺を知っているのか。もしそうなら色々と問い(ただ)したいところだが、今はさっさと終わらせないと駄目だ)


 迫り来るその者達に自身の知らない自身を知りたがっている魔快黎(まより)様は、せっかく5つもいるのだから1つ1つに色々と聞いて、知っているのならば教えて欲しいと思っている。しかし今は少々タイミングが悪く、魔快黎(まより)様は早急にこの者達の対応をせねばねらない、もしも敵意を向けて来るようならば始末せねばならなかった。

 何しろすでに目覚め、自身の側にいることを求めている我が子達のことを置いて来てまで魔快黎(まより)様はこの場へと駆け付けているのだから。時など掛けていられない、一言一句問い掛けることなど出来ない。我が子達を不安にさせないためにも、(カタ)を早々に付ける必要がある。


 この目を持っているからこそ魔快黎(まより)様には分かるのだ。今自分がこの場にいることで、自身の子達がどれ程不安で寂しい想いをしているのかを。



 ピタ…


「それ以上の進撃はしないことを勧める。その場で止まっているか、(きびす)を返してこの世界からいなくなるか。何方(どちら)かにして貰おう」



 魔快黎(まより)様は此方に向かって歩いて来る者達に対してそう告げ、この場からさっさと立ち去るよう言い放つ。だが、


「■■、帰れと言われて帰る■■はいない」

「■を変えているようだが、一目で分かる。貴様は⬛︎⬛︎⬛︎だとな」

「⬛︎⬛︎⬛︎、貴様と再び()うために■■は此処へ来たのだ」

「■■と大切な者達に対して、あのような目に()わせた貴様を許すわけにはいかない」

「■してやる、今度こそ、な」


 敵意を剥き出しにしている者達が魔快黎(まより)様の言葉など最初(ハナ)ッから聞き入れるわけもなく、メキメキと(いびつ)な音を立てながら襲い掛かって来た。


「…っ」

(こうなるって予想は出来てたけど…面倒だ)


 魔快黎(まより)様はその者達に対して、穏便には行かないと予想していたとは言え、相手せざるを得ない状況と言うものは面倒だと思いつつ、静かに構える。何故この混沌としている者達が自分のことを恨んでいるのかなど分からない、だからこそ知りたい、この者達から聞きたいと考えて。


 けれどもそれは叶わない。少なくとも今はこの者達に構っていることは出来ない。



 バッ


「消えろ、この世界から」



 自身の子達に害を(あだ)なし得る存在ならば、容赦はしない。魔快黎(まより)様は自身の能力(ちから)を持ってその者達をこの世界から別の世界へと転移させる。

 5つ(まと)めて、一瞬で。



 ドッッッ!!



「…ん?」



 しかし次の瞬間、



 ドドドドッッッ!!



 この世界から消した筈の者達は魔快黎(まより)様の周りを取り囲み、その御身体を(いびつ)にして鋭く尖った手足で突き刺した。たしかに魔快黎(まより)様はこの者達を異世界へと転移させた筈なのに、その者達がどうして此処にいるのか。



「……なるほどね」

(瞬間移動させたすぐ後に、こいつらもこっちに瞬間移動して来たのか。俺が此処にいると知っていれば、すぐに戻って来れるってわけか)



 魔快黎(まより)様はどうやってこの者達が戻って来たのかを瞬時に考察し、持っている能力(ちから)もきっとその者達が思ったところへと瞬間移動出来るものだと検討を付ける。それ即ち完全追放が容易でないと言うこと、異界に飛ばすだけじゃあ終わらないと言うことだ。


 何とそれは面倒だろうと呆れつつ、魔快黎(まより)様は反撃に転じる。



 突き刺されたと思っていた魔快黎(まより)様の御身体は貫かれることは(おろ)か、傷1つとて付いていない。以前の来訪者が言った通り、理不尽にして不条理なる体には並の攻撃など通さないのだ。

 自身がそのような存在であると先に戦いによってすでに理解している魔快黎(まより)様は、その鋭いものを体に受けても何ら問題ないと分かっていたのである。



「君達が俺のことをどう思っていて、どれ程憎い存在であるかは知りたいが、それは出来そうもない。言った筈だ、その場に留まっているか、踵を返してこの世界からいなくなるか、とな。何方(どちら)もしないと言うのならば」



 パキッ



「強引な手段を用いらせて貰おうか」



 フォロロロ…ッ



 パキパキパキ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎



 そして自らの変身を少し解き、魔快⬛︎(まよ⬛︎)様は自身の御身体に力を込めると、



「それじゃあ、もう⬛︎度消えて貰おうッ」


 ヒ⬛︎ッ!!!!!



 能力(ちから)を持ってその者達を異世界へと再び消し飛ばす。時空を裂くかの如く腕を振るって。


 されどしていることは同じ異世界転移。少し手を大きく振るったところで効果はほとんど変わらない。



「ふん、同じことだ。⬛︎⬛︎⬛︎のいる場所は分■っている」



 その者達はすぐさま魔快⬛︎(まよ⬛︎)様のいる場所へ戻ろうと転移を始めようとする。



 カ⬛︎ンッ



「……■ッ!」



 が、それよりも早く、



「君達の狙いが俺だと言⬛︎のなら、俺が()()()()()()方がいいだろう。俺もこっちなら思う存分力を発揮出来そうだ」



 魔快⬛︎(まよ⬛︎)様はその者達の前に瞬間移動する。


 そう、魔快⬛︎(まよ⬛︎)様も自身がいた世界から異世界へと瞬間移動して来たのだ。元いた世界だと、自身が力を振るうことで子達のことを巻き込み兼ねない。けれども別の世界ならば、この異世界ならばそのような心配もないと魔快⬛︎(まよ⬛︎)様は考え、転移して来たのである。



 するとその時、



 グヂュッ…



「ん⬛︎?」



 グヂュギジャグヂュヂャ⬛︎⬛︎……



「⬛︎だこれ…?」



 魔快⬛︎(まよ⬛︎)様を中心に、その世界の時空がグヂャグジャと(いびつ)になり、混沌と化して行く。自分が今相対している者達と同じ、かつて相対した者達と同じ、混沌そのものへと。



「やはり■■は厄災だッ。■■の世界もそうやって■ぼされた。だから今度は■■が滅ぶ番なんだよッ!」


「…⬛︎」

(これは…俺がやっているのか…。俺の能力(ちから)なのか)


「■ねッ!!」



 その光景を前に魔快⬛︎(まよ⬛︎)様は、これが自分の手によって引き起こされているものなのか、これが未知なる自身の能力(ちから)の1つなのかと思ってしまい、御身体の動きを止めてしまう。

 すると世界が混沌へと化して行く光景にその者達は尚更憎悪と怒りを燃やしながら、その隙を突くようにして魔快⬛︎(まよ⬛︎)様に襲い掛かる。



 そして、



 バツン⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎



「……⬛︎」



 魔快⬛︎(まよ⬛︎)様の御身体は反射的に、いや意思とは全く関係なく動き、⬛︎⬛︎⬛︎の一部を更に露出させながら、5ついた内の1つの体をバツンッと噛み千切った。だが⬛︎⬛︎⬛︎の体は魔快⬛︎(まよ⬛︎)様がその状況を理解し、次なる動きをせねばと思うよりも早く(うごめ)き、



 ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎



 混沌へと歪んで行くその異世界の時空ごと、残る4つを一瞬で消し去って、いや捕食してしまう。



「こ、これ⬛︎ッ!」



 そんな勝手に動き過ぎる自身の体、しかも更に混沌へと化して行く世界を喰らおうとしている不条理な体に、魔快⬛︎(まよ⬛︎)様は一瞬だけ困惑してしまうも、



「止まれ⬛︎!!」



 すぐさま止まれッと怒声のような声色で命じる。すると外に飛び出していた⬛︎⬛︎⬛︎の体の一部は素直にピタリと止まり、ジュルジュルジュルジュルと音を立てて魔快⬛︎(まよ⬛︎)様の御身体の中へと戻って行った。



「クッ…また制御出来てないのか…。この混沌だって…」



 まだまだ制御出来ていない、無意識の内に(うごめ)き、世界を混沌へと歪め、その混沌を喰らってしまう。そんな体に魔快⬛︎(まよ⬛︎)様は怪訝(けげん)な顔を浮かべてしまうも、



「とにかく戻らないと」



 今は我が子の元へ戻り、安心させなければならないと、自身のいる世界へと瞬間移動によって戻る。

次回の投稿もお楽しみに



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