⬛︎⬛︎⬛︎の塊
お待たせしました
自分自身を知るために、この体が何を秘めているのか理解するために、魔快黎様は今尚本来の姿に戻り、能力の把握に努めていた。守るべき我が子が寝静まった時、目を持って見守りながらその側を離れて。
この能力が何をもたらすのか、一体どんな効力を持っているのか、既知から導き出した結論は本当に合致しているのか。
⬛︎⬛︎
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」
(使いこなせているのか…俺は…)
ガキガキと指から異音を鳴らしながら、⬛︎⬛︎⬛︎様はひたすら悩み、不安を抱き続ける。もしもこの能力が暴走したら、自分に制御出来ない力であるとしたら、一体どんな厄災をもたらしてしまうのだろうと。
だが、何時までも不安を感じていては進まない。
記憶がなくても、何も覚えていなくても、この体を理解してみせる。謎を解いて、理解して、完全に制御する。
そうしなければ前にこの世界に来た者に振るった力が、次は我が子に牙を剥くかもしれないからだ。
グチャンッ
「⬛︎⬛︎」
(……何)
と、その時、
「ついに……■■■見つけた⬛︎⬛︎⬛︎!」
「⬛︎⬛︎⬛︎」
(またか)
⬛︎⬛︎⬛︎様のすぐ側に何者かが突然転移して来た。まさに⬛︎⬛︎⬛︎様が能力を使った時のように。異世界からこの世界へと物体を瞬間移動させた時のように。
しかし⬛︎⬛︎⬛︎様はその能力を使っていない。使おうとさえ思っていない。
つまり、無意識に能力を使ってしまったのか、恐れていた自身の能力の暴走が起きてしまったのかと⬛︎⬛︎⬛︎様は危惧するが、
「⬛︎⬛︎⬛︎、随分と探■■。まさかこんな■■■にいたとはな。■元を超えて転移し続けた甲斐があっ■」
「⬛︎⬛︎」
(まさか、こいつ俺と同じ能力を?)
現れた者は何度も異界の転移を繰り返してこの場に辿り着いたと語ったため、まさか自分と同じ能力の持ち主かとすぐさま察する。しかと、よく見ればその者の姿は前に現れた者や、自分がこの世界に転移させた物同様、混沌に歪んでいる。
そして⬛︎⬛︎⬛︎様のことを敵意を持った目つきでジロリと睨み付けていた。
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」
(こいつも、なのか。俺のことを殺気立った目で睨み付けている。俺の知らない俺が、こいつの中にいると言うことか)
「■してやるぞ、⬛︎⬛︎⬛︎。貴様のせいで■■の世■は…滅■■ッ!!」
(俺の所為でこいつの世界が…滅んだのか? 俺は一体…)
「だから今度は■が貴様を滅■■ッ!」
(ッ!)
次の瞬間、その者は憎悪を滾らせながら⬛︎⬛︎⬛︎様に銃口のように歪んでいる腕を持ち上げ、
ドドドドドドドドッッ!!!
「■にやがれぇ!」
(やはりこいつは俺を知ってる! こいつにとっても敵は俺だ!)
⬛︎⬛︎⬛︎の体を銃弾である自身の肉片で撃ちまくる。しかも撃った直後に肉体を再生しているため、その勢いが弾切れよってすぐ落ちることはない。
体に降り注ぐ銃弾の嵐。
だが、
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」
(……? な…に?)
どれ程銃弾を浴びても、全身に幾つもの弾がめり込もうとも、⬛︎⬛︎⬛︎様は全くと意に介していなかった。いや、最初から効いていないのか。この⬛︎⬛︎⬛︎の体は大量に肉の銃弾を浴びても傷1つとて付かなかった。
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」
(この体は…)
そんな自分の体を⬛︎⬛︎⬛︎様は不思議そうな顔で眺めてしまう。あれ程の攻撃を受けて無傷でいられるなんて思わなかったと。
されど、
「■■、やはり理不尽にして不条理の■か。だが」
その者は自身の銃弾が全くと効いてないことに対して特に焦燥感は抱いておらず、理不尽で不条理である⬛︎⬛︎⬛︎の体に傷を付けられないのは当然かと悟っているようだ。しかしだからと言って何の理由もなくその者は銃弾を嵐を撃ち込んだわけでもない。
グボッ!
「■の弾を浴びたことを後悔させてやるよッ」
(ムッ。これは)
するとその者がそう言い放った瞬間、⬛︎⬛︎⬛︎の体に撃ち込まれた弾全てに脚と口が生え、生き物の如く動き始めた。
ブジュッ! ブヂュジュッ!
そして⬛︎⬛︎⬛︎の体の肉を食い破り、中へ中へと潜り込むかのように蠢き続ける。しかも弾1つ1つに生え揃う牙がしっかりと食い込んでいるためか、少し体を揺すった程度では振り落とせない。
(こいつっ。面倒なことを。痛くはないが鬱陶しい)
「理不尽でも食らい付くことは出来るみてぇだな。とっとと食い破■■やがれ!」
ドドドドドドドドッッッ!!
瞬間、その隙を突いてその者は更に銃弾を撃ち込み、⬛︎⬛︎⬛︎の体に噛み付かせる。1発1発ならば大したことないとは言え、大量に噛み付かれては流石の⬛︎⬛︎⬛︎様も鬱陶しさを感じてしまう。
(だが、これなら前みたく)
けれども全く対応出来ないわけじゃあない。こいつらが体に食らい付いて来るのならば、逆に喰らってやると⬛︎⬛︎⬛︎様は以前自分の体が勝手に動いた時のことを思い出し、それと同じように体を動かしてみる。
⬛︎⬛︎⬛︎
撃ち込まれた箇所に口を生やして、パクンと一呑みにしてしまうのだ。そうして⬛︎⬛︎⬛︎様は大量の弾と同じ数の口を生やしては、ペロリと一瞬で平らげ、丸呑みにし、無効化してしまう。
「ほう、そんなことも出来る■■。■■■まだまだ弾はある」
「⬛︎⬛︎⬛︎」
(こいつ…一体何を知っている…俺の何を…)
けれどもその者にとってはそれすらも想定の範囲内。まだまだ隠し弾は持っていると態度を崩さず、相対し続ける。
そんな者を前に⬛︎⬛︎⬛︎様は、この者は自分の知らない過去を確実に知っていると悟ると、戦いを通してそれを知れるかもしれないと思考しながら無数の目で見つめた。
次回の投稿もお楽しみに
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