ライブ前のお楽しみ
「リハはここまで!とりあえず開演が18時からだから今から15時までは自由時間とします!みんな、まあみんななら変なことはしないと思うけど15時までに戻って来ないとかがないように!」
僕達は、軽いリハを終えるとマネージャーである白河 一花さんから自由時間をもらったので各々別れて行動を始めました。
アニメが好きなリーダーの一瀬 太陽君は控え室でスマホの配信サービスで推している声優さんの出ているアニメを見始め、三島 天君は1人振り付けの映像を見ながら練習を軽くしていました。
一方の僕と青空はというと、特にやることも決めていなかったのでいつもとは違いお互いそれぞれに分かれて行動する事にしたので、とりあえず僕は軽く変装をして会場から出ました。
本当は本番前に会場から出るのはあまりというか普通に良くはないけど、僕のルーティンとなっていていつもケータリングで用意していただいていたラーメンが今日はスタッフさんの手違いで用意されていなかったとのことで、一花さんに許可をもらって外に出てきたのです。まあ、自由時間は12時〜15時で3時間もあるので、会場から少し離れたところにあるラーメン屋さんなら身バレすることもないだろうと思って目的のお店へと歩いて向かいました。
さいたまスーパーアリーナの周りはやっぱりいろんな僕達のグッズを持ったファンのみんながいて、嬉しい気持ちとバレないようにというドキドキとで足早に離れたけれど、それなりに離れて仕舞えばそこはどこでも見られるような日常の風景になっていたので安心して、少し気が緩んでいたんだと思います。
僕が目的のお店に着いて、2人用の席へと案内されてそのままおすすめのラーメンを注文して来るのを待っていると、店員さんがとても申し訳なさそうに
「ただいま混み合っておりまして、大変申し訳ございませんが相席をお願いしてもよろしいでしょうか?」
と僕に尋ねてきたので、ラーメン屋としては珍しい全席個室タイプなのもあって身バレしてもダメージは少ないなと思った僕は
「全然大丈夫ですよ」
と店員さんに声をかけました。この時に相手がどんな人なのか聞いておけばよかったと僕は少し後悔しますが、時は既に遅く、僕の向かいの席に1人の女の人が通されたのでした。