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06

「でも国を作るって、本気ですか?」

 思いついた様にマークが私の顔を見たままそう問いかけてくる。もう少し、余韻に浸りたいと思ったけど、心配性のマークだから仕方がない。私はマークから離れて、腰に手を当て、胸を張り、自信たっぷりで言った。

「本気よ、私が言い出したら聞かないって、知ってるわよね?」

 マークが私の言葉に苦笑してから答える。

「はい……そういう所を私は好きになったので」

 不意打ちのマークの言葉に、私は顔が熱くなるのを感じる。マークも自分で言った言葉に気付いたのか、赤くなる。私はその顔に愛おしさを感じて、マークにキスをした。軽いキス。私は唇を離して、はにかむ。名残惜しいけど、私はマークから体を離して、表情を引き締める。こんなところでゆっくりしていられない。

「愛を育むのはこれくらいにして、今は領地を出るのが先決ね、お父様が私を連れ返そうとするだろうし」

 私を溺愛しているお父様は強硬手段には出ないと自信はあったものの、連れ戻そうとするはずだ。その溺愛ゆえに。だからまずは領地を出て、行方をくらませなければ、自由に動けない。

「では、商人に頼みましょう、お金さえ渡せば、積荷に紛れさせてくれるでしょう」

 さすがマークだ。貴族令嬢の私より、世間を知っている。当たり前ではあるけど。

「じゃあ、その案で行きましょう、私はマークに信じてついていくから、任せたわよ」

「ありがとうございます、行きましょうか」

 マークの差し出された手を私は握った。そのまま小走りで走り出す。愛の逃避行っぽいな。私はそんなこと思って、少し笑ってしまった。



 出来るだけ遠くに行く商人を見つけ出し、お金を渡すと、簡単に乗せてくれると返事してくれた。悪い商人だと、お金をふんだくってくるらしいけど、その辺はマークが最初に会話をして、見極めてくれたらしい。さすが私のマークだ。使用人にしておくのはもったいない。私の国が出来上がったら、存分に働いてもらおう。

「これでとりあえずは安心ね」

 商人の馬車の中の積荷の間に私とマークは隣り合って座る。

「はい……思いのほか、簡単ビックリしています、旦那様は追手などは出していないのでしょうか」

「うーん、メイドたちが上手く言いくるめてくれてるかも、そんな事したら、お嬢様に嫌われますよ! とか言って」

 私は自分で言っておいて、少し笑ってしまう。その光景がはっきりと想像できてしまった。マークも同じだったようで、同じように笑う。

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