表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/27

1!

 その人は願ったのだ。

 自分の夢を犠牲にしてでも、願いを叶えてほしいと—————————。


 ピントの外れた意識がゆるやかに覚醒していく。

 彼女は霧の中に立ち尽くしていた。


「あれ…? ここは、どこ…?」


 彼女の意識の目覚めに合わせるように、霧がうすれていった。

 やがて、空はどこまでも見渡せそうなくらい、澄み切っていく。温暖な気候だと分かる空だ。少女がいるのは、丘陵のなだらかな丘の上だった。


 立ち尽くす一人の少女。ハーフアップされた明るい茶色の髪と大きな青い瞳。歳は十九。名前はマリア。

 彼女は、家族とはぐれた迷子の王女だった。


「わたくし…」


 曖昧な意識を呼び覚まそうと首を振る。ふと、視界のすみをなにかが横切った。


「なに、あれ…」


 それは、空を飛んでいた。

 悠々と空を泳ぎまわる生物。鳥ではない。姿形はどちらかというと、トカゲに似ていた。ただし、翼が生えている。それは、マリアが書物で知る空想上の生き物によく似ていた。


「ドラゴン…?」


 その生き物は身をくねらせ、どこまでも自由に空を泳ぎ回っていた。

 結構距離は離れているが、マリアにはその体のツルツルとした緑色のウロコや、翼の力強さが感じ取れるような気がした。

 マリアはドラゴンがやがて点となって見えなくなるまで、いつまでも空を見上げていた。


「わたくし…、どこに来ちゃったのかしら?」


 呆然と彼女がつぶやく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ