小鳥
経験して学ぶ事わかる事があって
強くなると信じて。
ついに待ちに待ったこの日
この時がやって来た!
100回目をクリアしたらしい。
この日が来たら私は何になるか?
決めていた!
小鳥と…
1人ずつ呼ばれて、部屋に入る。
「時間は夕方の5時までです。
細かな内容を読んで確認して頂き、
サインして下さい。」
そうなんだ!
小鳥でいれるのは5時までなんだあー
ビルの屋上の庭園に連れて来られた。
ルールが細かくいっぱいあって全部覚えきれないなあ〜
「ここに戻って来るのは絶対守って下さい。
もちろん時間厳守です。」
その2点だけは特に重要だと伝えてられた。
それぞれ何になりたいか?は違うし、
他の人の事は一切わからない。
不安もあるが、楽しみの方が優っている。
いよいよだあ!
「いってらっしゃい!」
いきなり自分の希望とは言え小鳥になった私…
どうしたらいいのか?わからないまま…
限られた時間だし…
早く動かないと勿体ない…
そうしてる間に周りには色んな鳥が
コイツ何者って感じで集まって来ている。
どうしよう!
「おいで早くおいで!」
私よりひと回り大きな鳥に呼ばれた。
あー助かった!けど…
ついて行って大丈夫かな?
でも…このままここに居ても危険だし…
なんとかなるはず…
ついて行こう!
「飛べる?もしかして初めて?」
「うん」
たぶん頷いてるはず…
「大きく息を吸って吐いて~
勇気を出して~いちにのさん!」
えーそんな感じ!
行くしかないか!
よし!飛んで!お願い…飛ばして!
飛べたあ!
怖い!怖い!下見れない!
「下見なくていいから前を向いて
集中して…あの木まで行くよ!」
どの木?
とにかくついて行こう!
飛ぶのって優雅に見えてたけど…
体力いるなあ~
気も使うし~
周りも見なきゃいけないしー
楽じゃない!
見てるだけじゃわからないなあ~
やって見なきゃわからないなあ~
こんな感じで鳥さん達いつも飛んでるんだね~
「もう少しで着くよ~
あの枝に止まるよー」
「あっ!はい!」
なんとかうまく止まれた。
けど…揺れてる…不安定…
足の力いるなあ~
鳥って大変だなー
「慣れだよ慣れ…
初めはなんでも大変だけど…
何回か回数を重ねていくとこうすればイイとかわかってくるし…要領も良くなってくる。」
確かに…今日私初めてだもんね~
ってなんで私の考えてることわかるのかな?
スゴイなーこの鳥さん。
「なぜ私を?」
「ほっとけなかったから」
「ありがとうございます。嬉しいかった。」
「良かった。余計なお世話だったかなって
気になってたから」
「とんでもない…」
「どこか行きたい所ある?」
「私あまり時間がなくて…」
「そうかあ…」
このままずっと話ししてたいような…
「もう少し先に綺麗な水飲み場があるから
そこでゆっくりして戻ろうか?」
「はい!」
優しい鳥うーん…人かも…
どちらにせよ出会えて
幸せを感じていた。
この前まで…
こんな事あるんだドラマみたいな事と
思う位ショックを受けていた。
会社の同僚だけど…
プライベートでも遊ぶ友達に
突然…「ごめんなさい。ずっとチャムが…」
そう私はみんなにチャムと呼ばれている。
「チャムか好きって言ってた彼と
1年前くらいから付き合うようになって…
いつか言わなきゃと思いながら…
なかなか切り出せず…本当にごめん。
結婚の話が出て来てて、
このままではと思って…」
もしかして知らなかったのは私だけ…
知らずに会社のみんなに好きって言ってたって事…
友達にも…
辛過ぎる…恥ずかし過ぎる…
誰も信じられない…
何も考えられない…
涙すら出てこない…
周りには…
チャム可愛そう…きっとまた良い人見つかるよ!
とか励まさしてくれる人もいるけど…
心の中はぽっかりと大きな空洞が開いたまま
だった。
そんな時この100回目のお知らせが届いた。
誰も信じないって思ってたに…
あっさり信じてついていってる…
不思議な人…いや…鳥…
「今日は本当に楽しかったよー
また、どこかで…」
「私も…本当にありがとうございました。」
聞けなかった…人なのか鳥なのか…
知りたい気持ちもあったけど…
知らなくていい事あるはずと言い聞かせて。
どこかスッキリしていた。
日常生活戻って…
早いな~もう3ヶ月なる。
変わらない生活を送っていた。
同僚の友達のこともどうでもよくなっていた。
結婚を理由に今日退社した。
周りの人はひどいよねとか言ってくるけど…
気にならなくなっていた。
不思議だったけど…きっとあの体験が…
強くしたのかな?私を…
小鳥の話は誰にもしていない。
するつもりもない。
話さなくていい事もあると
思えるようになっていた。
いつも金曜日の仕事帰りに行く古い感じの
喫茶店。
マスターがお店入るといつも…
「いらっしゃい」ではなく…
「お疲れ」って言ってくれる。
しばらくすると
「お疲れ」って声が聞こえて来た。
私と同じだあー
男の人…少しカッコイイ…
目が合う。
「となり良い?」
「はい。」
うーんなんか聞き覚えのある声…
まさか…そんなはずはないよねー
私の飲んでるコーヒーを見て…
「マスター同じものを」
ちょっと馴れ馴れしい…ようなー
初めてって感じじゃない気がする。
もしかして会ってる?
「元気にしてた?」
えっ!
「はい?」
「ここで何回も会ってるのに
全然気が付いてくれないからさー
我慢出来ずに声をかけたんだけど!」
まさか…
「そうだよーお節介だった鳥だよー」
本当に!
「人だったんだ…」
「あはは…そうだよねーそうだよー」
信じられない。
「気付くのが遅いよー」
そんな事…あるなんて!
「もっと早く声かけて欲しかった!
お礼もずっと言いたかった!
もう会えないと思ってました。」
「不思議だよね…
会えるなんて…会いたいと俺思ってたから!かな〜」
ホントに!
嬉しい!
慣れてたのでー鳥か人かわからなかったから…
それに…
何が何で100回目だったのか?
わからないままなので…
慣れてるって事は〜何回も?
でもそうだよねー
今まだ聞かなくていい事もある…よねー
「明日って休み?
俺は休みなんだけど…」
「うん…休みだよ」
頷いてるはず…
「デートしない?」
ドキドキする!本当に?
「うん!良いよ!」
「良かったあ!勇気出して話掛けて
本当良かったあ!」
めちゃ喜んでくれている!
その姿にキュンとしてしまう。
今度は時間制限ないからねー
ゆっくり過ごしたい。
そしてまた鳥同士でもデートしたい!
欲張ってしまいそう。
良い人見つかった!かも…
私だけの秘密。
誰にも言わない!