Geist Medizin
「おはようございます」八時を十五分前にN大電子光学の川上研究所に着いた後藤 修二は、扉を勢い良く開けた。
「キャッ!」そこには点滴を打ちながらベッドに横たわる、川上の側に寄り添うナース姿の女性がいた。
「あっ…あれ?あの…すみません。オレ…イヤ、ボクは後藤 修二と言いまして、滝沢さんの奥さんを助ける為の手助けをしている者です」何故か後藤は言い訳がましく自己紹介をした。
「あぁ、そうでしたか。私はその奥様のケアをさせて頂いています、N大医学部の看護師で、瀬戸 愛鈴と申します」後藤とは対比的に、落ち着いた雰囲気で瀬戸看護師は挨拶を返した。
「はぁ…あっ!それはどうも、よろしくです」後藤は少し呆けた後、我れに帰ったようにお辞儀をした。
「おはようございます!おっ、後藤君、早いなぁ」滝沢が小園と和倉を連れ立って入室して来た。
「何?ゴーシュ、どうかしたの?」小園がどこか余所余所しい後藤に言った。
「な…何でもないよ…ってか、その呼び方、止めろよ!」
「何や、騒々しいなぁ」一行のやり取りに川上が目を覚ました。
「先生、おはようございます。全員揃っています。よろしくお願いします」滝沢は改まって挨拶をした。
「あぁ、滝沢さんらやったんか。思ったより早よ出来たモンやから、ちょっと仮眠させてもろてたんや」川上はベッドから起き上がると、飛び降りるように着地した。
「そ…それで、用意って何だったんですか?」滝沢は一転、真剣な顔付きに変わり川上を問うた。
「とりあえずや、向こうに行ったらアルフレックスの道具屋に行きなはれ。ほんだらGeist Medizinっちゅうアイテムが売っとる。またドイツ語で申し訳ないんやが、精神薬っちゅう意味や。つまりはこれを使たら一人だけやけどMPを全快させる事が出来るアイテムや。いくつ買うかは滝沢さんらに任すけど、いざと言う時に必ず役に立つはずや」川上の言葉を聞いた四人はお互いの顔を見合わせた。
「やるじゃん、オッさん…じゃなかった、先生!ねぇ先輩!」
「そうですよ、滝沢さん!これでアルフレックスを拠点に粘りながら進めば、Bleib und zuruckと併用して、一日で敵の拠点まで進めるんじゃないですか?」
「へぇ、そんなもんなのかい?」
三人の言葉を聞きながら、滝沢の肩が震えていた。
「せ…先生、ありがとうございます。見ず知らずの私なんかの為に」滝沢の目からは頬を伝うものがあった。
「滝沢さん…構わへん。これは光子へのボクなりの弔いでもあるんや。さぁ、用意して出発や!」
四人の戦士達は敵の最終拠点、"タイガーストリーム" を目指すべく、ゲームの世界へと旅立って行った。
一行は世界に入ると直ぐに瞬間移動マジカルでアルフレックスへと飛び、道具屋を訪れた。
「ヘイ、らっしゃい! ガイスト・メディシンかい?一個50ゼニーになるよ。いくつ買うんだい?」一同は驚いた。回復薬でも一つ10ゼニーである。そのたった五倍の値段でMPを全回復出来るアイテムが手に入るのだ。
「リューショー、ここはヘイグを除いた三人分、一人頭10個づつ買うってのはどうだい?」フィリップスが前髪を掻き上げながら言った。
「アタシも賛成だね。30個あれば、ブレイブ・エン・ズラックを使わなくても、タイガーストリームまで辿り着けるんじゃないかい?」スターシャも賛同して言った。
「そうだな、オレはともかくとして、二人のMP消費は激しいしな。ヨシ!オヤジ、30個もらうぜ」その後、ここアルフレックスで揃えられるだけの装備も充実させ、再びスポークの森へと入って行った。
「早速おいでなすったぜ!リューショー、どうする?」ヘイグの問いにリューショーは叫んだ。
「決まってるだろ?全員、全力で片付けるぜ!
スターシャ、サンダー・ボルテージだ!その後フィリップスのウィンド・スプラッシュだ!」こうして全力をかけた戦いを繰り広げ、一行は遂にスポークの森を抜け、クラウドタウンに辿り着いた。




