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幸せな日常

キッチンの方ではコーヒーの良い香りがして来る。せわしなく作業をしている気配があり、それが男にとっての新しい朝を迎える日常になったのだ。

男はダブルベッドから身を起こすとパジャマ姿のままキッチンの方に向かった。


「お早う!可憐かりん。おっ?今日はベーコンエッグだな?」

「お早う、龍翔りゅうしょう君!もうすぐ出来るから座って待ってて。直ぐにコーヒー入れるから」

「良いよ!コーヒーくらいは自分で入れるって」男の名は滝沢 龍昇と言う。滝沢は可憐を制止してキッチンの中に入り二人分のコーヒーを入れた。

滝沢にとって可憐は自慢の女房である。とても家庭的で名前負けしないほどの美貌びぼうたずさえている。二人はまだ結婚して間もなく三ヶ月を迎える新婚だが、この幸せはこの身が尽きるまで続く事を滝沢は何の疑いも持っていなかった。

滝沢はと言えば、オタクがこうじて今や業界でヒットメーカーと呼ばれるゲームプログラマーだ。初めて任されたRPGが大ヒットして順調に階段を駆け上がっていた時、可憐と出会った。

可憐とは出張の為に乗った国内線の飛行機の中で出会った。当時、キャビンアテンダントだった可憐は搭乗中、腹痛を起した滝沢を献身的に世話をしてくれた。その事を切っ掛けに「お礼に」と食事に誘い、そのまま一年半の交際を経てゴールインした。


「このサラダのドレッシング手作りしたんだけど、どう?」可憐の可愛い瞳が上目遣いになっている。

「うん!美味うまい。いけるよ。」お世辞でも何でもなく本心から滝沢はたたえた。可憐は料理を始め、家事は完璧にこなすし、とても良く気が付く。こう言っては何だが『私には勿体もったいないくらいの妻だ』と滝沢は思っていた。


「それじゃあ、行って来るよ」滝沢は玄関で皮靴に足を通しながら言った。「行ってらっしゃい!今日のお帰りは?」可憐は滝沢愛用のカバンを差し出しながら聞いて来た。

「うん!そうだな?現在進めてる新作が追い込み時期なんだ。多分九時頃になると思うよ」言いながら滝沢はカバンを受け取った。

「分かった!じゃあそれに合わせて夕飯の用意しとくね。それと間食し過ぎて食べられないなんて言わないでよ」

「分かってるって!毎日、可憐の作った料理を楽しみに仕事してんだから。じゃあ」滝沢がそのまま家を出ようとした時「もう!」と可憐が目を閉じて口をとがらせていた。

「おっと!ゴメン、それじゃあ、行って来るよ」滝沢は可憐にそっと口づけて家を出た。


「後は子供だよなぁ?可憐は男の子と女の子一人づつが良いって言ってたよなぁ?早く出来りゃ良いけど」一人言を言いながら滝沢は駅へと急いだ。

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