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勇者と剣

みなさん。こんばんは。そしておはようございます。

作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す!


おっと、相変わらずここは前書きだから本編を読みたい場合はサクっと飛ばしてね。


今回も2話だけど連投で驚いているよ!

ホントにどうしゃったのって感じ。


でも、よくよく読んでみると、今回の話って1話1話が短いんだよね。


まあ、完結させる気があるからいいよね! あははっ!


それでは、第8話をお楽しみください! それではっ!


 自分の家だった木で出来た家を見上げた。すでにここは俺の知っている家ではない。そしてこの世界も俺が知らない世界だ。滑稽な話だ。俺が設定しておいて俺が知らないなんて。


 世界に一歩踏み出す。


『必ず世界を作り替える』その決意を胸に見知らぬ世界へと旅だった。



 ◆



 【?万年後】


「やあ、そろそろ来る頃だと思ったよ」

 イスに腰をかけて部屋に侵入した者を見る。


 俺の目の前のいるのは『勇者』だ。


 『勇者』に選ばれた気が弱そうな少女がそこに剣を携えて佇んでいる。 俺はそんな立っているだけの勇者に声をかける。


「あなたが神ですか?」

 第一声がこれか。まあ知ってたよ。知ってた。そのすばやさを重視した装甲が薄い鎧も、その翠色の長い髪も、その幼い顔立ちに似合わぬ紅い色の瞳。


「そうだよ。俺が神だよ。君に会うのも、この問答も何度目かな?」

 この始まりも何度目かわからない。もう何万回も繰り返している無意味な問答だ。


 おどおどとした勇者は眉をひそめ訝しげな表情で俺をみる。ああ、そうだ。君は『何度目かの初めて』だろうけど俺はもう何度も君と会っている。勇者ぽっくない勇者であるこの少女に。


「君も久しぶりだね。咎神を滅する剣(アニマ)


 少女の顔が困惑を極めている。


「ああ、そうだったね。咎神を滅する剣(アニマ)というのは君が持っているその剣の名前だよ。君たちの銘では『神殺しの魔剣グラム』だったかな? ところでだんまりかい? 咎神を滅する剣? 君は相変わらず寡黙だな」


(どうして知っている?)

「久しぶりだね。直接心に響くこの声の感覚。やっと答えてくれたね」

「えっ……?」

「この説明も何度目わからないけどね。俺が咎神を滅する剣(アニマ)創造(つくっ)て意志を与えてしばらくの間一緒に旅をしたんだ。そして、世界樹で封印した」


 勇者の小さい口が微動する。『封印』と言ったのだろう。だからかどうかわからないけど『すでに話をした相手に話を続ける』


「世界樹で君はその剣を見つけたのだろう? そして、剣に選ばれた。そうだろう? その剣を持っていることがなによりの証拠だ」

 そう、俺がそうしむけたんだ。彼女が剣を見つけ、そして剣が呼びかける。すべて俺の描いた脚本通りだ。


「……」

「さて、こっちもちょうど『向こう』へ送り終わったことだし、本題に入ろう」

 イスから立ち上がり、勇者に問う。


「君は俺を殺しに来たんだろ? わかっているよ。その神殺しの魔剣と呼ばれている剣は神を殺すためだけの剣だ」

 勇者は言葉をこぼし懇願する『この世界を救ってください』と。


「気づいているだろう? 識っているだろう? ここまで来たというのならわかっているはずだろう? 俺がいたら『世界に救済はない。世界は救えない』と言うことも。だからこの世界は俺がいる限り終わる。終わっている」


 何度も繁栄と衰退を繰り返し、何度も滅亡と再生を繰り返すこの世界。こうしたものすべて俺のせいだ。俺がこの世界に『進化』を許可したからだ。

 勇者は今にも泣き出しそうな顔をしている。そんな顔をするのを見るものもう何度目なんだろう。君は俺を殺す度に悲しそうな顔をする……すまない。すまない。だけど……俺はこの何万年も繰り返す収束にケリを付けないといけないんだ……! これで終わらせる。


「だから君がこの世界を『変えない』ようにするんだ。さぁ! その剣で俺を殺せ!」


 仰々しく両手を広げる。……まるで悪の魔王だ。


 最初の時のように『世界を作り替えれる』なんて情熱は今の俺にはもうない。ただ……


 終わらせる。だけどこの世界を終わらせるだけじゃない。この終わりは……再生への一歩だから。未来から過去への布石なのだから。


「うわぁああぁぁぁあああああぁぁあぁぁあ~~~!」


 瞳から涙を滝のように流して勇者は咎神を滅する剣を鞘から抜き嗚咽を漏らし剣を正眼に構えそのまま泣きながら動きが止まった。


「それでいい。それで終わる。そして始まるんだ」


 この世界は一定のサイクルを繰り返している。そしてそのサイクルの最初に戻るのが一定の時間経過と俺の『死の体験』だ。俺が死ぬことのない死の体験をすることによって種族の文明が進む。『死に戻り』ではなく『死に進み』文明が進むと人類種は道具を使いだし、言葉が話せるようになる。精霊種は魔法が増え、その魔法の派生が進む。魔物種にいたっては道具と魔法を組み合わせるようになる。天使種、悪魔種はさらに強靱となる狡猾となり魔物種や人類種と手を組むようになる。繁栄が進みそして衰退が起こり、全てのリセットをするのが勇者だ。今でも忘れないよ。初めて君が来た時のことは。咎神を滅する剣を持っていなかった君はずっと俺を説得したね。そして何も出来ずに来た道を戻っていった君を今でも目に焼き付いているよ。


 そして三日後に再び来た君は俺は俺を殺した。最初の君の殺された。今でも覚えているよ。あの時の事は。まさか『治癒の光り』が『神殺しの深淵』なんてものに魔術的変化させられるなんて思ってもみなかったよ。神でも見落としがあるって気づかされた瞬間だった。そして世界のリセットが行われた。『世界の滅亡』というリセットが。だから思い知らされた。人類種でも神を殺せるって事が。


 世界滅亡(リセット)が行われた数万年後にはまた君が来た。そして同じように『世界を救って下さい』や『人類種(みんな)を助けて下さい』と懇願したね。でも、俺に聞き入れられずにまた神殺しの深淵で俺を殺したね。そしてリセットが行われる。


 それでもやはり状況は変わらない。変わるわけがない俺は『種族を世界に託すのチェックを入れていない』種族の増減はなくどんなに時代が進んでも文明が発達しても世界が滅んでも人類種は9%のままだ。これは絶対だ。


 思った。君を思って、創造したよ。あの勇者なら優しい世界を作ってくれると。俺に代わってきっとすばらしい世界を創造してくれる。俺は考えた。どうすればあの勇者に次の創造神を任せられるのかを。俺が死なないと次の創造主は選定されない。しかも選定方法はランダム。俺からは指定できない。そして創造主は不老不死だ。死ぬことは出来ない。魔物の致命傷の一撃を食らっても、灼熱の業火を生み出す魔法でも俺は死ぬことはなかった。もちろん焼死、刺殺、餓死、絞殺、溺死、凍死、切死、撲殺、圧死、出血死、毒殺、窒息死、転落死、衝突死あらゆる方法を試しても俺は生きていた。気が付くと傷はなくなっていて、なくした手足は元通りになっている。


 そしてタイムリミット。君が現れて世界の滅亡というリセットの作業が行わる。種族はほぼ滅び、新しい命が生まれ、また繁栄と衰退を繰り返す。その繰り返しだ。そして数万年後に勇者である君が俺の前に現れる。


 俺を殺す咎神を滅する剣(アニマ)を創造し、世界樹に封印して数年。


 咎神を滅する剣(アニマ)を持った君は俺の期待通りに俺を殺してくれた。でもダメだった。世界は死の体験は赦しても俺の『死』を認めてはくれないらしい。目が覚めてたら世界が滅んでいるだけだった。


 何万年後に同じ事を繰り返しても俺は死なない。俺を殺した勇者(きみ)を悲しませるだけだ。だから俺は考えた。どうすればいいか。勇者(きみ)がここに来るまで考えに考え抜いた。数万年後の君が現れるまで考えたよ。


 そして……辿り着いた解が……まるで夢物語のような、机上の空論のような子供じみた考えだった。


 『この世界を生み出さなければいい。なかった事にすればいい。なら『あの時』に戻って世界変換プログラムを起動させなければいい』


続く


こんばんは、間宮冬弥です。

まずは、この稚拙な作品を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。


2話連投ですので今回で一旦完了です。

次回は最終話まで投稿予定ですので、次回もよろしくお願いします。


それでは、短いですがこれで失礼します。

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