0と1の奔流
みなさん。こんばんはそしてこんばんは。
作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す!
あ、ここは前書きだからね。早く本編を読みたいなら
ササっと飛ばしてねって。
間宮冬弥も言ってたけど、三話投稿なので
今回のお話で一旦投稿は終了でっす!
次回更新はいつになることやら。まぁ期待しないで待ってて! あはは!
では、第六話をお楽しみください。それではっ!
だけど俺は……俺の眼は、身体は脳は……この綺麗な光の0と1をずっと見ていたいという衝動に抗えずに動けなかった。金縛りにあったかのように動くことが出来ずに光り輝く0と1に眼を奪われ続けていた。
0と1の奔流は事を知らないのか光は収まらない。収まらないどころかどんどん光が強くなり、0と1が飛び出す数が増えてきている。
「うぎゃああぁあああ~~~~」
「い、いやあぁあああ~~~」
悲鳴。突然近くから響いた悲鳴にハッと我に返る。
「父さん……母さん……?」
下の階から……? 飛び出すように部屋から出る。
「なんだよ……これ……」
部屋から出るとそこはまるで……まるで別世界のようだった。
廊下らしき場所……階段……壁……物……その全てに0と1が張り付いていた0と1のモザイクのようだった……
その0と1が……虫のように、気持ちが悪くなるほど異様に蠢いていた。
「と、父さん!」
0と1に浸食されている階段を駆け下り、両親の元へと走る。
「父さん! 母さん!」
0と1が蠢くドアを開け部屋に入る。
「は……?」
そこにいたのは……俺の両親じゃなく……0と1大量に張り付いたモザイクがかかった『物体』がふたつ。ちょうど大人ふたり分の『物体』だけだった。
恐る恐る近づき、『父さん?』と声を掛ける。
「うごごごご……あ……が……だ、ズケでぇ……ひぃいいい!」
「父さん! 父さん! なんなんだよ……これぇ!」
うめき声……嗚咽……鳴き声……断末魔……それらをすべて含んだような声を上げ、物体が包んでいた0と1がはじけて霧なり消えた。
「ふへぇっ……!」
0と1がなくなった後に現れた『それ』を見て、気の抜けたおかしな声を上げる。だって……父さんか、それとも母さんだったはずのそれは……まるでゲームに出てくるような『魔物』になっていたのだから。
「ひぃいいいぃいい!」
尻もちをついて、そのまま恐怖で退く。
「ひぃいいいいいいぃいいい!」
母さんだったはずの物体は……白い羽を持ち頭には光輪……まるでそれは『天使』だった……
「な、な、な」
頭が混乱する……状況が把握できない……フルダイブ型のVRヘッドマウントディスプレイでも付けているんじゃないかと思い眼に思いっきり手の平を当てる。だけど目頭にダイレクトに痛みが走る。ヘッドマウントは装着していない……当たり前だ。装着した覚えがない……
「な、な、なんだよ……なんだよ……映画かよ……」
頭が状況を把握できない。常識を逸脱した光景は脳を麻痺させている。考えることを放棄している。理解の範疇を……範囲を越えている。
「なんなんだよぉ!」
飛び交う0と1が手当たり次第に物という物に張り付いてモザイクを作り出していく。それはヒトでも例外じゃない。
「は? なんだよ……なんなんだよぉ……! これ!」
俺の父さんだった『魔物』の頭には……『インストール中』という空中に浮かぶディスプレイが浮かび上がっていた……
「なんなんだよ……インストール中って! 89%ってなんだよ!」
空中に浮かぶ『インストール中』と描かれたディスプレイは0と1が張り付いていた物に全て現れていた。
「なんだよ……どうなってるんだよ……!」
駆け出す。ここいたら俺も0と1の餌食になるかも知れない! 両親の部屋から出て、無我夢中で玄関まで走る。外に出て警察に行って……救急車を呼んで……父さんと母さんを助けてもらうんだ!
玄関のドアを勢いよく開ける。後はどこかの公衆電話で警察に……
そんな俺の願いは叶わなかった……公衆電話なんて『文明』はなかったのだから……
「……はは……ウソだろ……誰かウソだと……」
外は……俺の映る世界はすでに……0と1で浸食されていた……そして世界には0と1の隙間からは草原が見え、森が見え、遠くには城らしき建物も見えた……0と1で浸食された地面には……『魔物』や『悪魔』『天使』『エルフ』巨大な『龍』が横わたっている……目に見える全てに『インストール中』と空中に漂うディスプレイが無数にあった。
「はは……これが世界の終わりってやつか……ノストラなんたらの大予言から何年後だよ……」
座り込み『終わった』と誰に出もなく言葉にする……絶望に染まった心の底から思う。俺は死ぬんだと思い知らされる。あの大きな龍が起きあがればきっと終わりだ。人生のゲームオーバーだ。炎かなんかに灼かれて終わりだ。
「威圧感がすごいんだろうな……ああ、きっと熱いんだろうな……」
そんな思いでぼぉ~と巨大な龍を眺めて動いている姿に思いを馳せていた。
だけど、龍は一向に動く気配がない。龍どころかほかの魔物や天使、悪魔も動く様子がない。
立ち上がりゆっくりと、龍に気づかれないように近づく。頭に浮かび上がる宙に浮くインストール画面は99%で止まっている。
「止まってる……?」
助かったのか……それとも……エラーでも起きて……
「いやいやそんなバカな……」
自答で否定しても実際にステータスバーは99%で止まっておりそこから先に進む気配がない……なんで……とつぶやき思考を巡らせる。
『エラーの訳がない』動く気配がない龍を見てだんだんと落ち着きを取り戻している自分がいる。
「なんだんだよ……どうなっちまったんだよ……どうなっちまんだよ……」
ここだけなのか……もしかして世界全部こんな感じなのか……? スマホでネットの書き込みをみようとポケットに手を伸ばす。だけどポケットにはなかった。どこかに落としたか部屋に置きっぱなしか。
座ったまま首だけで後ろに向く。
俺の家だった建物は木で出来た小屋になっていて『インストール中』と浮かぶディスプレイに表示されていた。
もう驚かない。いや驚けない。あんな強大な龍を見せられ、天使を、悪魔を、魔物を、エルフを見せられてしまってはもう驚けない……
「世界変換……プログラム……」
そう言葉にならない小さな言葉を吐き捨てて、『小屋』へと入っていく。木で作られた階段を上り、俺の部屋だったであろう吹きさらしの空間へと足を踏み入れる。
そこには0と1で浸食されていないそのままの『パソコン』があった。ふらふらと近づき0と1を吐き出さなくなったモニターを見た。
さあ、世界を動かそう。
最後にこの世界のストーリーを設定して下さい。
俺が見た画面にはこんなふざけた文体が描かれている。
「……」
俺は木のイスに座りキーボードに手を当てて入力を始めた。
おめでとうございます。
これがあなた様が作り出した世界です。さあ、これから始まる新しい『世界』をお楽しみ下さい。
そしてこの『世界変換プログラム』をご利用いただいたあなた様には特典があります。
それはこの世界の『創造神』という役割です。この世界の全てをあなた様は使用可能となりました。
次話へ続く
こんばんは、間宮冬弥です。
まずは、この稚拙な作品を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
前回もお話ししましたが、今回で一旦投稿は完了です。
次回は早くて今週中、遅くなると来週以降になります。
面白くないかもしれませんが最後までお付き合いしていただければ幸いです。
それでは、これで失礼します。




