たんこぶ
親父のたんこぶが大変だ。
何が大変かというと、敏感過ぎちゃうんだ。
親父のね、大きなたんこぶ。
たんこぶが大きな餅のように膨らんでるんだ。
どうしようかね、切っちゃおうかしら。
でもね、切っちゃうと血がドバっと出ちゃうと思うんだ。
大変ね。でも、どうしたらいいの?
待って、こうしてはどうでしょう。
病院にいってはどうかね?
行ったさ。でも断られたんですって。
まぁ、大変。
親父のたんこぶから笑い声がする。
そして大きなたんこぶは笑いながらこう言った。
「お嬢さん、お兄さん、心配しなくていいからその包丁で切り離して下さいな。大丈夫、血なんて吹き出しやしませんて。」
一体何を根拠にそう言っているのかはわからないが、取り敢えずそうするしかないので、そうすることにした。
妖怪電気消しの親父がどうなろうが知ったこっちゃねーが恨むなよっ!「ザクりっ」
たんこぶは、ポトッと落ちた。
うまくいったようだが、ムニュムニュと手足が生えてきたじゃないか。
それは今までの膿のように親父の悪しき部分そっくりの分身であったのだ。
私は黙ってそいつをゴミ箱の中にしまった。
男なんて皆そうよ。
たんこぶが生えてくるんだもん。
たんこぶなんて捨てちまえ。