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8話

寝ながらうってるところもあるので誤字があったらごめんなさい。。。


「行ってきます!」

「遅くならないようにするんだよ!」


 まるで前世の時のような光景。少し違うのは私はイヴだってことと、木剣と鉄剣の2本を背負っているということくらい。

昨日、街で赤髪の青年に助けられた。物凄く腹の立つ物言いで私は決めた。奴を地にねじ伏せてやると。というのはある意味たてまえで、本当は本当に、私は強くならなければならない。そのためにはやはり目標というのは大事だ。まず、奴を超えること。このネックレスを渡すためにも。というわけで私は今日から修行をすることにした。


「ここが、カトリーヌさんの言っていたおすすめの地...」


 崖だ。直角と言っていいほどに直立に立っている崖。毎日これを登って降りたりしたらどれだけの力が付くだろうか。最初はストレッチからだ。途中から重すぎて引きずってきた2本の剣を岩に立てかけてストレッチを始める。座って足を開いて前屈から。


「いたい、いたいイタ...」


 こんなに硬かっただろうか? 全く前に倒れない。足も開かない。

10分ほど自分の身体と格闘をする。何とかストレッチを終えて崖の前に立つ。


「たか...」


 きっと上まで登ったらかなり高いだろう。というか、途中で落ちたら死んでしまう。まだ修行は一日目だ。最初からケガをしていては元もこうもない。10歩登ったら降りよう。10歩ゆっくりと足を岩にかけて登る。くずれそうにない岩を見極めながらゆっくりと。そして10歩行ったらまたゆっくりと降りていく。それをとりあえず10往復する。


「こ、れは...ウォーミングアップだな」


 息切れがするが、こんな所でへこたれてはだめだ。


「次は...」


 岩に立てかけておいた木剣を手にする。重い。でも、木剣を振れなかったらいつまでたっても鉄剣は扱えない。両手で持って素振りをする。


「きん、肉は! もう無理って思ってからプラス10回20回することによって...つく!」


 剣なんて扱ったことないし、前世でも剣道で少しそういうものを触ったくらいだし、やり方なんてよく分からないが、素振りをして慣れるまではどうしようもない。


「1...2...! 3...4!!」


 重い! 重い、おもい、オモイ! しかも、うまくぴたっと止まらない。


「くそ...!」


 もう一度次はしっかり息をしながら振る。それを3セット私はその場に座りこんだ。木剣を隣に置く。


「はぁ...はぁ」


 息切れがすごい。身体を使ってない証拠...。だが、最後は魔法の修行だ。私達魔導師は魔具を使うことによってその威力を倍にする。ゆえに、魔具がない魔導師は魔導師ではなくただの手品師のような魔法しか使えない。つまり、今の私の魔法の威力は手品師程度。魔具がない魔導師が今までほとんどいなかったから、これから私がどんなふうに延びるのかは分からないが、やるしかない。

右手を目の前の木に向けて出してみる。火だ火をイメージして身体の中の何か熱いもの、魔力を右手に集め放出する。


「はっ!」


 出たのはライターよりも火力が小さい火。


「...」


 これはまずい。分かっていたとしてもまずい。他のはどうだろうか。

他の魔法はどうかと試してみる。この世界には、火、水、土、風、雷があって人によってその力はよる。ちなみに私はよく火を使うが火が得意っていうわけではない。まだ、どの性質が特性か分かってないため、かたよりができるだけでないようにと全ての性質の魔法を使っているだけだ。試してみた結果、火の時と同じように威力が最悪だった。


「はあ...先が長そうだ...」


 魔法剣士として、どうにか剣技も魔法も中級くらいにしていかなければ。修行をおえて家に帰ったころには、もう日は沈んでいた。


「た、ただいま戻りました」

「おかえり、イヴ。どれだけしたのか目に見えるくらいボロボロだね」

「はは...」

「明日は筋肉痛を覚悟しないとだめだよ」

「はい」


 思わず白目を向きそうになる。筋肉痛なんていつぶりだろうか。


「お風呂沸かしておいたから入ってきな」

「ありがとうございます」


 怠い身体を何とか動かして風呂に入る。


「ふぅ...」


 あたたかい。やっぱり、お湯につかるっていうのは気持ちがいい。身体を少しもんで、洗って、お風呂から上がっても少しだけマッサージをする。明日も同じようなメニューをするんだ、今はできることを。


「カトリーヌさん、先におやすみなさい」

「ああ、おやすみ。私はもう少し明日のしこみするから少し音がするけど...」

「あ、大丈夫です」


 もう半分意識がない私はベッドに入ると気絶するように眠った。






「ぐ...ぐぅあ」


 起き上がるのもやっとな今日。約束通り筋肉痛がいらっしゃったようだ。だが、今日やらなかったらだめだ。三日坊主どころではない。ゆっくり服に着替えて外に出る。


「イヴ!」

「カトリーヌさん」

「これもっていきな!」


 パンを渡される。しかも焼きたてだ。


「これは...」

「朝ご飯と昼ごはんの分だよ。しっかり食べないと」

「ありがとうございます!」


 少し朝が早いからまだ店は開いてない。だから焼きたてなんだろう。


「がんばんなよ!」

「はい!」


 カトリーヌさんからもらった焼きたてのパンを食べながら昨日の場所に向かう。


「おいしい...」


 頑張ろう。そう思える気持ちのこもったパン。


「よしっ!」


 頬をバチンと叩いて気合を入れる。

二回目開始だ!













「999...1000!」


 ふうと鉄剣を置く。あれから3カ月半たった。その間で私はかなり成長した。身体は日々の風呂の上がりのカトリーヌつきの柔軟で体操選手並みに柔らかくなった。崖は上まで登って降りるのを30往復は余裕にできるようになったし、木剣では軽すぎて鉄剣で素振りを1000回するようになった。素振りだけでは本番では使えないとわかっているから、あの赤髪青年そして、青年今まで見てきた剣士、前世の時に見た侍の殺陣を思い出しながら真似て振っている。


「次は魔法か」


 魔法の威力を上がった。相変わらず適正性質は不明だが、全ての性質を中級以上、上級に行くか行かないかくらいまでは魔具なしでもできるようになった。

この前なんて調子に乗って木を一本丸焼きにしてしまって、危うく山火事を起こすところだった。今は魔法を組み合わせることをしている。剣に魔法をまとわせるのだ。よくあるゲームやアニメであったそれをイメージした技だ。これがなかなか難しい。上手く纏わない。



「はぁ!!」


 風の性質を纏わせた剣で少し大きめの岩を斬る。真っ二つだった。


「あ...買い時だな」


 どうやら剣が魔法の力に耐えきれなかったらしい。


「まあ、それもそうか」


 そもそも普通の剣なのだから、耐えるには難しい。街で売っていたあの魔石付きの剣だったらかなりいい相性だと思う。この剣も使いすぎてボロボロだったしちょうどよかったかもしれない。かといって私にはお金がない。


「カトリーヌさんに頼むしかないか...」


 折れた鉄剣と木剣、その他もろもろをもって家に戻る。


「ただいま戻りました」

「おかえりイヴ、今日は早かったじゃないか」


 いつもは火が沈んで見せ店が閉まったころに来るのにと言いながら視線を私の持っている折れた剣を見る。


「折れたのかい?」

「はい...それでその」

「買いに行かないとね!」

「え」

「ん? なんだい」

「いや、お金を貸していただきたくて...」

「でも、この2本の剣も買ってもらたのにそれは...!」


 さすがに気が引ける。


「う~ん...よし分かった。ならここにあるパンあと20個全部売ってくれるなら私がその分と今まで手伝ってもらった分の給料を渡す。それでどうだい?」

「20個? 少なすぎます!」

「だけど今日はもうこれしか残ってないんだ。それにアンタが売ってくれれば、あたしは早く明日の仕込みに取りかかれて早く終われるんだけどねえ」

「う...それなら...」

「じゃあ、頼んだよ」


 私は急いで手を洗い服を着替えて店に立つ。今までも何回かやったことがあるから、分かるがカトリーヌさんのパンは結構人気だ。今日もあれだけの量を作ったのに、もう残り20個。これだけだとすぐに売れる。





 その予想はやはり的中した。


「ありがとうございました」

「はーい、ありがとうねイヴちゃん。カトリーヌさんにもよろしくね」

「はい」


 最後のお客さんがドアを開ける。ものの30分くらいで全て売れた。私はドアにかかっている札をcloseにして店を閉める。


「カトリーヌさん、全部売れました」

「ん? ああ、早かったね」

「今日は特に早かったですね」

「そうだ、お金はそこの袋に入れといたから持っていきな」


 カトリーヌさんの視線の先の袋を手にして開けてみる。


「こ、こんなにもらえません!」

「いいんだよ。アンタ頑張ってるし、いいのを買ってきな」

「カトリーヌさん...ありがとうございます」

「明日買いに行くんだろう? 今日は休みな」

「はい」


 本当にカトリーヌさんには頭が下がる。


 

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