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1話

文字数少ないうえにおそくなってすみません!




 ヘレーニャ王国とヴォルガリグ帝国はある土地を巡って現在戦争中である。ある土地とは「ノーネーム」両国とは三角形の形であり、名前の通り名のない土地。しかしそこにあるのは魔法を使う時に必要な魔具のコア、魔石、しかもレアものである。レアものであればあるほど魔法の使用に大きく差が出る。だからこそ両国とも欲しいのだ。

 私は戦争にかり出される。ありもしない罪によって。前世の記憶はあるが、私はこの先の事は知らない。辿り着く先は死であることは確かだけど...。

鏡の前に立って、ずっと着ていたピンクのフリフリがついたドレスをそっと脱ぐ。そして着るのは白いワンピース。クルクルに巻いた銀髪を一つにまとめて完成。


「銀髪に白い瞳に白いワンピース...」



 殿下が餞別にとかなんとか言ってくれたものだけど。


「皮肉なものね。これじゃあ戦場では殺してくれと言っているようなものじゃない」


 嫌でも目立ちまくるだろう。


「エーファ入ってもいいか?」


 コンコンとノックしたのはお父様、ヴィルヘルム公爵である。


「どうぞ」


 お父様は私の姿を見ると泣きそうな顔をして私を見つめた。


「すまないエーファ。私はお前の無実を証明することができなかった」

「お父様...」

「私はお前を信じている。お前がこんなことをする娘じゃないと。今からでも遅くない馬車を用意してある」

「いいえお父様」


 ダメです。そんなことはしてわいけない。王の言葉に従わず私を逃がそうだなど。


「私は戦争に行ってまいります」

「だが!!」

「いいんです...お父様。信じてくれてありがとう...」

「エーファ...。こちらに来なさい」


 お父様に近づくとそっと優しく抱きしめられる。


「エーファ。我慢しなくていい」


 お父様の言葉が私の心を揺さぶる。


「我慢など...しておりませんわ」

「エーファ」


 優しい声で名前を呼ばれる。

こんなの耐えられる訳がありません。

涙が頬をゆっくりとつたう。


「わたし、は...無実です! いじめなんてしていないわ! 何故信じてくれないの?! わたしは、私は!!」



 涙が止まらない。心の叫びが止まらない。


「エーファ、私はお前が何かを隠して、必死に何かに逃げているのを知っていた。それなのに私はお前に何もしてやれなかった。すまない、本当にすまない」


 お父様が私を強く抱きしめる。私が落ち着くまでずっと。







「ひっく...」

「落ち着いたか?」

「はい...ありがとうございます」


 吐き出したら少しだけすっきりした。もう、死ぬしかないと割り切れる。


「エーファ、これを」

「これは...?」


 渡されたのは青色の魔石が埋め込まれた指輪だ。



「それはお前の母、そして私の妻であるウィンリアのものだ。きっとウィンリアがお前を守ってくれる」

「お母様の?」

「そうだ。...いいかエーファ私が必ずお前の無実を証明する。...必ず生きなさい」


 生きる...。私は...。


「生きるんだ」

「私は...」


 わたしは...!


「生きたい! 必ず生き残ります」


 そうだ死んでたまるものか。必ず生きてやる。


「ヴィルヘルム様そろそろ」


 迎えが来た。ドアをあければ私を待ってるのは戦場だ。


「これだけは覚えておきなさい。お前は何があっても私たちの娘だ」

「お父様...」


 お父様の白い瞳が私を優しく見つめてくれている。


「行ってきますお父様」


 生き残ってみせます。

お父様を部屋に残して外に用意してある馬車に乗る。戦場に行くまでは公爵令嬢らしく、馬車は用意してくれた。戦場に歩いて行った兵士もいるのにこんなことは卑怯だと思うけど国が決めたことだから何も言わなかった。

戦地につくまでは馬車でも約一週間はかかる。私は馬車の揺れを感じながらそっと目を閉じた。


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