プロローグ
「エーファ・ルディグリフは公爵家の名を剥奪し、戦場に送る処罰とする」
何故? 何故このような事になってしまったのでしょうか?
私、エーファ・ルディグリフは公爵家の娘であり次期ヘレーニャ王国の王妃になるはずだった。3歳の時に前世の記憶が戻り、この世界が前世でやっていた乙女ゲームと同じ世界で、私がヒロインのライバル役だと知った。エーファ・ルディグリフが辿り着くのはBadendのみ。公爵を剥奪され、戦場に送られそして戦死。それが嫌で死にたくなくて、全てを回避してきたというの...何故でしょうか。何故、陛下のいらっしゃる謁見間にいるのでしょうか。何故昨日、一昨日まで仲良くしてた人達が私に冷たい眼差しを向けているのでしょうか。
「私は無実です!」
「黙れ! エーファ、俺は失望したぞ」
違う、私は何もやってない。
「アレク...」
「キヤスク俺の名を呼ぶな。貴様はルディグリフ家の恥だ。俺の姉でも何でもない」
何故?
「皆さん、その、そんな言い方は…」
「優しいなアイカ」
「さすが次期王妃です」
アイカ、ゲームヒロインである。名前の通りきっとこの人も異世界人。彼女が私を貶めた犯人だとは分かってるけど、もうどうしようもないらしい。全てを回避したと思っていたのに。
殿下のことを好いていたし、殿下も私のことを好いていたはずだったのに…。
「エーファさん、なんで私のこと虐めていたんですか?」
虐めていた? 私が? そんなことは1つもやってない。何も関わっていない。
「私はそんなこと…」
「まだ口答えするのかエーファ」
「殿下…」
キツイ眼差しで私を睨んでくるジルベール殿下。睨みたいのは私の方だ。死にたくなくて3歳の時から今日までの15年間必死だったというのに、それが今日になってパーだ。イキナリ婚約を解消されたかと思ったら名前を取られ、戦場前線送り。死ねと言っているようなものだ。
「まあいい、貴様の魔力も技術もなかなかだからな。戦場に行けば国のためになるだろ」
フンッと鼻で笑われる。
何をどこで間違えた?
「エーファ、貴殿が活躍するのを期待しているぞ」
陛下の言葉が胸にささる。
期待だと? 私は戦場で死ぬというのに。
「国のために働けば神も赦してくれるだろう」
殿下、神と言いましたか? ああ、そうか…そういう事か全てを回避しても、何をしても死からは逃れられなかったのは神のせいか。
「神のお心のままにだ」
ふざけるな何が神だ。私は神など認めはしない。