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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第三話「セカイを解放しちゃおう!?」
78/228

 5、「そのためのシス子シリーズです」

 ユキノジョウのお師匠様は、ディアネイラと名乗った。

「ピ! pipipipippppppppppp」

「~~~~!」

 シェラちゃんがシェラちゃん語でピピピと話すと、ディアネイラさんもガーピーとなんだか高周波?っぽい謎の音で返す。

 30秒足らずで情報の交換が終わったのか、シェラちゃんが一礼してボクのそばに戻ってきた。

「……師匠、シェラ殿をご存じでござったか?」

「ああ、あたしらの原型(アーキタイプ)にして最高到達点さ」

 にやりと笑ったディアネイラさんが、興味深げになぜかボクをじっと見つめてきた。

「シェラから聞いたが、あんたが起こしたんだってね、この寝坊助を」

「え、はい」

「……あたしらの姉にして一番最後に目覚めた妹だ。泣かせたら承知しないよ?」

「はい」

 それからしばらく、いろんな話を聞いた。

 ディアネイラさんは野井さんが自ら作った十二体のオートマタの一人で、元は一緒に行動していたらしいんだけど、いろいろあって今は趣味のモノ作りをしているのだとか。

 シェラちゃんの心の中で会った、赤メイドさんと青メイドさんみたいに。野井さんと一緒に宇宙で何かと戦ってたみたい。

「野井さん、たまに戻って来るみたいだけどその身体、直してもらわないんですか?」

 そう聞いたら。

「……動けなくなった時が、あたしの死だ」

 って、セリフの割に明るい顔で笑った。

「まあ、まだまだくたばる気は無いよ。手のかかる弟子もいるしね」

 ユキノジョウの頭をガシガシとなでまわして、その胸に抱きしめてさらに微笑む。

「……し、師匠ッ! 息が、息がっ!?」

「ハッ! あたしの胸に抱かれてなんか不満でもあンのかい?」

「ち、違うでござ……がくん」

 あ、ユキノジョウが落ちた。




 なんか作りたいものがあったら力を貸すよ、と手を振るお師匠様に別れを告げてポータルまで戻る。

 最後は島エリア。

「えっと、島初めてなのはユキノジョウだけだよね?」

 確認のために声をかけたら、なぜかユキノジョウにダロウカちゃん、まおちゃんがじと目でボクを見つめてきた。

「……そうでござるが。それよりシェラ殿はいったい何者なのでござる?」

「迷宮アトラクションに参加していたから、プレイヤーだと思っていたのだが。もしや、シェラ殿はこちら側の人なのではないだろうか? いったいどうやって迷宮アトラクションに参加したのだろうか」

「めいどさーん!」

 ……まおちゃんだけ意味不明。

「えーっと。かくかくしかじか」

「なるほどー、ってそれじゃ意味不明でござるよっ!?」

 ……んー、どしよ。

「ピ!」

「え、うん。そお?」

 なぜかシェラちゃんが、お任せください、とばかりに胸を叩いたので任せることにする。

「……ピ」

 ボクからはシェラちゃんの背中しかみえなかったから、何をしたのか見えなかった。

「……」

「……」

「……」

 黙ったままの、ユキノジョウ、ダロウカちゃん、まおちゃんの三人。

 しばらくそのまま黙っていたけれど、三人そろってひとつため息を吐いて。

「なるほど、そういうことでござるか」

「うん、それならば仕方がないのではないだろうか」

「めいどさーん」

 相変わらずまおちゃんだけ意味不明。

 じゃなくって。

「……何したのシェラちゃん?」

「ピ」

 振り返ってにっこり笑うシェラちゃん。

 顎の下に人差し指を当てて、ナイショです、とばかりに微笑む。

 ……謎だー。




「島エリアだよー」

 ファナちゃんがいぇーいと両手を上げて宣言。

「ここが島でござるか」

 神殿から外に出たみんながあっけにとられている。

「……つい、この間訪れたときは、まだほとんど建物がなかったのだが。本当に同じ場所なのだろうか」

「うん、ボクも驚いた。すっごいよねー」

 いきなり大都会の摩天楼だもんねー。

 せっかくなので、冒険者ギルドに案内することにした。ユキノジョウも登録だけしといたらいろいろ便利だろうしね。

 ユキノジョウは鍛冶系でこの島ではあんまりいないから、結構重宝されるんじゃないかなー。

 歩きながら、簡単に島のシステムを説明する。

 ユキノジョウは、ほほうと感心しながら実際にデイリーミッションをクリアしてカードゲットして喜んでいた。

 はい、島の住人がまた増えたー。やったー。



「あれ、おかえりアユムー。今日はよそのエリアで遊ぶんじゃなかったの?」

 冒険者ギルドに入ると、グレちゃんが手を振ってきたので。

「うん、ちょっとお互いにポータル開通してるとこー」

 とユキノジョウを紹介する。

「グレイス殿、でござるか。拙者はユキノジョウでござるよ。島エリアはすごいところでござるな!」

「あはは、わたしは砂漠エリア担当なんだけどねー」

 苦笑するグレちゃん。

「あと、本質的に全シス子は同じものだからちゃんとあなたのことも知ってるよ? ロリータちゃんにハァハァしてたこともね?」

「……ぐはぁっ!?」

 ユキノジョウが血を吐いた(比喩表現)。

 ロリータちゃん、っていうのは多分、大工房エリアのシス子ちゃんかな。名前からして幼女っぽい。自称ロリコン紳士のユキノジョウのストライクだったのかなー。

 うん、まあ、グレちゃんにセクハラしたボクは笑えないけどー。

「あ、そういえばこの島には全シス子がそろっているという話ではなかっただろうか?」

 ダロウカちゃんが急にぽんと手を叩いて言った。

「うん、そうみたいだね」

 そういえば、そのうち全員会いに行こうと思っててなんかなかなか機会が無かったよね。

「あいにいきたーい!」

「いきたーい!」

 ファナちゃんとまおちゃんが、子供みたいに両手を上げた。

「ん、じゃあ、全員でシス子めぐりしちゃう?」

「いえーい」

「やっちゃう、やっちゃう!」

 まおちゃん、ファナちゃんとハイタッチ!

 ……ってゆーかなんかテンション高いけど。ファナちゃんって関係者なんだから全員知ってるんじゃないの?

「あ、じゃあ、わたし案内するねー」

 ギルドの受付にいたグレちゃんが、ぱたぱたと羽を動かして飛んでくる。

「え、受付業務はどうするの?」

 思わず尋ねたら。受付にはいつのまにかもう一人グレちゃんがいて手を振っていた。

「アユム、忘れてるでしょ? わたしはひとりじゃないんだってこと」

「そういえばそうだったー」

 普通に触れるし、本当の人間みたいだし。システム的なサポートなんだってことつい忘れちゃうよね……。




「最初はやっぱりNo.0(オリジナル)かなー。呼ぶから待っててー」

 グレちゃんがウィンドウを出してどこかと連絡を始める。

「あれ? どこかのギルドとかにいるんじゃないの?」

「んー、オリジナルはね、島全体担当であっちこっちぶらぶらしてるの」


≪ぶらぶらではなく、視察と巡回であると訂正を要求します≫


「わ」

 なんか頭に響く様な不思議な声がして。気付いたらちびねこちゃんそっくりの女の子が立っていた。ちびねこちゃんよりは大きくって、十歳前後くらい? 違いはねこみみとしっぽが生えていないこと。

「……え、この子が、オリジナルのシス子ちゃん?」

「わぁ、ずいぶんと久しぶりではないだろうか!」

 ダロウカちゃんが女の子に抱きついた。


≪ダロウカも元気そうでなにより、と喜びを表現します≫


 抱きつかれてちょっと苦しそうにしながら、ダロウカちゃんの背中をなでるシス子ちゃん。

「……オリジナルシス子ちゃんって、グレちゃんたちみたいにちっこくないんだね」

「あー、それはね。βテストの時にアユムより性質の悪いのがいて、オリジナルにえっちなことしようとしたから、だから正式サービスではわたしたちサイズになったってわけ。ほら、プライベートルームって二人っきりだしさ。こんなかわいい子がいると、妙な気おこしちゃうわけよ?」

「……あー。つまり、物理的にツッこめないサイズに変更された、ってこと?」

 ナニがとは言わないけど。

「そうそう。……まあ、このサイズでもスカートめくってくるようなのがいるんだけどね?」

「~~♪」

 グレちゃんにじと目で見つめられたのでしらばっくれる。


≪アユムは女児のぱんつがお好みでしょうか?とアピールしてみます≫


「……いや、自分でめくらなくっていいからー」

 短いスカートの裾を持ちあげて、かぼちゃぱんつを、ん、と見せびらかすようにするシス子ちゃんの頭をなでなで。

 ユキノジョウが鼻血噴いてるし。


≪……かぼちゃぱんつは不評なようですね、と反省します≫

≪グレイスのような紐ぱんつがお好みでしょうか?と確認します≫


「もー! なに言うのオリジナルってば!」

 顔真っ赤にしたグレちゃんが、オリジナルシス子ちゃんの顔に貼りついてポカポカなぐる。


 ……本質的に全員同じっていう割には、オリジナルシス子ちゃんってなんかだいぶ変わってる気がするねー。

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