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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第三話「セカイを解放しちゃおう!?」
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 1、「ロリコン勇者、襲来」

「あ、アユムー! ひさしぶりー!」

 冒険者ギルドに入ると、グレちゃんが満面の笑みで出迎えてくれた。

 誰だ?とでも言いたげなまわりの視線がチクチク突き刺さる。

 ボク、他人に注目されるのってあんまり好きじゃないんだよね……。

 ひとつため息を吐いて、グレちゃんに軽く手を振って挨拶。

「グレちゃんひさしぶり、奥使うね」

「はーい」

 ぐるりとギルド内を見回してみるけど、大まかな部屋の構造は変わってないみたい。おっきな階段と、エレベーターっぽい両開きの扉が増えてるけど、たぶん、奥のボクの部屋の位置は変わってないから、ナィアさんが魔法の鍵使っても大丈夫だよね。

 部屋に入るとナィアさんがとぐろを巻いていた。

「来たか、アユム、シェラ」

「あ、ナィアさんもう来てたんだ。こんにちわー」

「ピ!」

「うむ、先週は冒険できなくて退屈であった。今日は楽しむとしよう」

 にやぁ、と牙を見せて笑うナィアさん。ちょっと怖い。

「うん、お願いねー」

 まずはナィアさんと簡単に打ち合わせ。

 ナィアさんの魔法の鍵はどこでも使えるみたいだけど、記憶しておけるポイントに限りがあるので、どこでも好き放題につなげるというわけでもないらしい。島エリアの時にはボクたちが島以外に出入りできなくなってたからしょうがないけど、今度行く巨獣エリアと和風エリアの両方にポイントを作るのは出来れば避けたいとのこと。

「じゃあ、今日みたいに島で合流してから行く感じでいいかな?」

「うむ。よろしく頼む」

 まあ、なんだかんだで島がホームみたくなっちゃってるしね。ボク、初期エリアは砂漠エリアなんだけど。




「……おや?」

 ナィアさんと一緒に部屋を出て、グレちゃんに挨拶しようとしたら。知ってる人がカウンターでグレちゃんと話をしていた。

「あれ、太郎さん、なんでここに?」

 ハナちゃんのお兄さんで、LROの開発もしてる太郎さんだった。

「やあ、アユムくん。……いや、キノサキさんと呼んだ方がいいのかな」

 軽く手を上げて太郎さんが挨拶してきたので、こちらも小さく頭を下げる。

 なんでわざわざ苗字の方でいいなおしたんだろ?

「今日は、ハナは一緒じゃないのか?」

「ファナちゃんとはお昼過ぎにβエリアで待ち合わせです、けど」

 ちょっと周りを見回してから太郎さんの耳を引っ張る。

「(あの、開発の人がこんなとこでナニやってるんですかー)」

「ん? 宇宙戦艦が来たって聞いてね、見に来たんだけど」

「……とりあえず、ちょっと奥行きませんか」

「え? うん」

 よくわからないけど。ここで話をするのはまずそうなので太郎さんを引っ張って再び奥の部屋へ。

 シェラちゃんが、ささっと片づけてお茶の用意をしてくれる。

「ええっと。改めまして、こんにちわ」

「ああ、こんにちは。先日はすまなかったね、大人げないことをして」

 太郎さんが頭を下げる。

 確かに妹に近づく虫を退けるために、職権をつかってハナちゃんを引っ張ってったのは大人げないよね。そのかわり、新しい出会いもあったから、まあいいんだけど。

「アユムさん、でしたよね。ハナさんといつも仲良くしてくださっているようでありがとうございます」

 そして。太郎さんの隣にもうひとり。

 さっきは太郎さんにしか目がいってなかったけれど。今日はこめかみのあたりに角の生えた女の子が一緒だった。銀の鎧を着て、腰には細かな細工の施された長剣を差している。

 角付きって、竜族か半竜族だっけ? どういう知り合いなんだろう。

 中学生くらいの見た目で、太郎さんの隣にいるとかなり犯罪臭がするんだよね……。

 どこかで見た気もするけど。誰だっけ?

 とそこまで思ってから、思い出した。

「――あ、合法ロリ嫁」

「……人の妻になんちゅうこというんだキミは」

 思い出した。ハナちゃんのお家に行ったときに会った、太郎さんの奥さんだー。

 ええっと、なんて名前だったっけ? 見かけのインパクトが大きすぎて憶えてないや。

 中学生くらいの容姿で赤ちゃん抱きかかえてたし。

 くそー、このロリコン太郎さんめー。こんなロリかわいい子にあんなことやこんなことをしただなんて、うらやましすぎる……。

「……アユム、すまぬがそちらの方たちを紹介してくれぬか」

 そこにナィアさんが遠慮がちに割って入ってきた。

 そういやナィアさんは初対面だよね。

「あ、そっか。えっとね、こっちは太郎さん、ちょっと歳ははなれてるけどファナちゃんのお兄さん。でもって奥さんの……」

「太郎です、どうも」

「……リアと申します」

 ごめんね、名前が出てこなくって。

「でもって、こっちはナィアーツェさん。ボクの冒険仲間です」

「ナィアーツェという。よろしく頼む」

「よろしく。しかし、蛇女種とはめずらしいな。初めて会うよ」

 太郎さんがナィアさんと握手。

 意外なことに、太郎さんはナィアさんのお胸の凶器に目を奪われた様子がなかった。今日はまだ布巻いてないから髪の毛でしか隠れてないドッキドキもーどなのに。

 ……やっぱこの人、筋金入りのロリコンだー。

 こほん。気を取り直していこう。

「……今日は、ご夫婦で仲良くLROですか」

「あー、まあそんなところだな」

 なんだか少し含みのある言い方をする太郎さん。

「宇宙戦艦を見に来たって、自分たちで作ったんじゃないんですか?」

 まあ、ゴッド・ジーラとかも自称神様が関わってたみたいで女神様たちしらなかったしね。

開発の人が知らないこともあるのかもしれないけど。

「ん? キミは知ってると思ってたけど。ティアに聞いてないか? ここが本当の異世界だってこと」

「いちおう、聞いてますけど……」

「俺だって、まだこの世界の全てを歩きつくしたわけじゃないんだよ。ようやく細かい修正パッチと第一弾のバージョンアップのめどがついたんで、ちょっと見に来たってとこなんだ」

「え、もうバージョンアップくるんですかっ!? それ、ちょっと知りたいです!」

「自分で聞いといて食いつくのがそっちかいっ!」

 太郎さんのツッコミをいれられてしまった。




 太郎さん曰く。元は太郎さんを含めた数人だけが直接、ルラレラティアという異世界を訪れて冒険していたが、なにやら問題が発生してVRMMOの体裁をとって一般に公開したものがLROなのだという。カードとかシスタブだとか、そういったシステムを開発しているのは太郎さん達だけど、世界そのものは双子女神ちゃんたちが創ったもので、太郎さんだって全容は不明とのこと。

「……だから、合間合間には俺だってこうして世界を歩いてるんだよ」

「そうなんですかー」

 まあ、ボク的にはどうでもいいかな。いや、シェラちゃんと一緒に世界を歩く参考にはなるかも。

「……ところで、その、メイドさんって、アレだよな? 機人種の。俺、直接見るの初めてなんだ。ちょっと、どこまで本物そっくりに出来てるか見させてもらっても」

「ウチのシェラちゃんを変な目でみちゃだめですー」

 って、何を見る気ですかこのロリコン野郎は。

 自分の奥さんの目の前で。なんてこと言うんだこの人はー。

「もう、太郎さま。落ち着きがないですよ」

「むー」

 奥さんに目隠しされてるしー。あははいい気味。

「ああ、そう言えば宇宙戦艦のクルーも機人種なんだっけ。たしか城之崎さんが、戦艦見つけたんだろ? 案内してもらえないかな?」

「性犯罪者を案内したりしませーん」

 艦長のネーアちゃんとか、太郎さんのストライクっぽい感じするし、ヒフミちゃんにヨイムちゃんとかも危なさそうだしね。

「……ここはバージョンアップの情報をいくつか教えるということで、どうだね?」

 にやり、と目隠しされたまま悪い笑みを浮かべる太郎さん。

 ぐぬぬ。

「……太郎さん、あなたも悪よのぅ」

「いえいえ、城之崎さんほどではございませんなぁ」

「はははは」

「プー」

 シェラちゃんにハリセンでこつんと叩かれた。




 まあ、奥さんが一緒に居るのに変なことはしないよね、と。丁度、島の港に戻っていた戦艦ヴェータに太郎さんたちを案内した。戦艦ヴェータは海上を航行する方向で再構成されたらしく、だいぶ形が変わっていてすっきりしていた。

 まあ、案内って言ってもボクだって改修後の船とかよく知らないし、暇そうにしてた副長のナナさんを捕まえて紹介しただけなんだけどね。

 戦艦はロマンだよな!となんか興奮してる太郎さんとナナさんは、なんか意気投合して楽しそうだった。

 ボク女の子だからそういうのよくわからない。

 巨大ロボットのロマンならわからなくもないんだけどね!

 とりあえず軽く挨拶だけして、ボクたちはβエリアに向かうことにした。



 ちなみに、引き換えにもらったバージョンアップ情報は……。

 掲示板とかで噂されていた、βプレイヤーの特典だった★2以上のカードガチャ。これが★3以上になって回数制限、有料のガチャとして正式に実装されるらしい。

 あと、新規カードの追加と、カード枚数のリセット。最初にグレちゃんが言ってたように、LROって世界全体で取得できるカードの枚数が限定されてるんだけど、合成とかされて数が減っているものがあるので、世界に1枚だけしかないユニークの★5をのぞいて、入手可能数が初期値にリセットされるのだとか。

 うん……大したことないね。

 もっと、うおおお、これはあああって感じの期待してたんだけど。

 例えば、なぜか存在しない銃とか弓みたいな遠隔攻撃系のカードが実装されるとかさー。

 ついでに聞いてみたけど、魔法とかと違って遠隔攻撃は武器その物に依存しちゃうのでカードの出番がないんだって。確かにスキルで剣の技繰り出すのと違って、スキルで矢を飛ばすのって変な感じするよね。それ魔法と何が違うのって感じだし。


 まあ、大したことない情報であっても、誰よりも先にゲットできたっていうのは、ゲーマーとして妙な優越感を感じるよね。うふふ。

 今頃になってPSVR入手しました。新型出たせいか、ようやく入手しやすくなったみたい。

 本当はこの連載始める前に、VR体験してみたかったんですが、1年以上経ってようやくなのですよ……。アユムが被ってるゴーグルってこのPSVRみたいなの想像してたんですけど、これ被って横になるのはちょっと難しそう。

 あとVRやばい。超ヤバイ。口開けっ放しで、ひぇーとか、ひゃーとかしか声出ません。技術の進歩すごすぎ。

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