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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第三話「セカイを解放しちゃおう!?」
72/228

ぷろろーぐ

 第三話開始です。第二話の改稿がまだ完了していないのですが、改稿版を前提として書く予定ですので、微妙におかしな部分が出てくるかもしれません。あらかじめご了承ください。

 →改稿完了。

 ――週末がやってきた。


 今日の目的は、先日お友達になったダロウカちゃんやまおちゃんと合流して、互いにエリア開通することだ。

 一緒に冒険もできたらいいなと思う。

 久しぶりのログインなので、少し島の様子とかも見て回りたいし、かなり早い時間にログインすることにした。

「じゃ、そろそろ行こうか」

「ピ!」

 すっかりこっちでの生活に慣れた様子のシェラちゃん。

 先週末にいろいろあってから、ほとんどの時間をこっちで過ごすようになった。まあ、平日でも毎日LROにログインしてた理由はシェラちゃんといちゃいちゃしたいからだったわけだし。リアルで一緒に過ごせるなら無理にログインする必要はないよね。

 一緒に夕飯のお買いものイベントとか、二人であっちこっち出かけていちゃいちゃしたよ!

 シェラちゃん用のお洋服とか、えっちな下着とかもいっぱいそろえた。細かい生活用品とかもそろえて、なんとなく新婚さん気分♪

 こっちのお風呂が狭いのだけは困りものだったけど、まあ狭い浴槽にぴったりくっついて二人で浸かるものまたよいものでした。えへへ。

「シェラちゃん準備おっけー?」

「ピ!」

 ゴーグルを被ってベッドに横になると、寄り添うようにシェラちゃんがくっついてきた。

 ボクがLROにログインするときにくっついてると、シェラちゃんも一緒にログインできるのだった。

「すいっちおーん!」

 シェラちゃんを抱きしめるようにしてちょっと頬ずりしながら、ボクはLROMの電源を入れた。




「あら、いらっしゃーい。アユムちゃん。少し間が空いたけど、リアルで忙しかった?」

 プライベートルームに入ると、人魚なハーマイオニーちゃんが小さく手としっぽを振って出迎えてくれた。

「ん、一週間とちょっとぶりー。シェラちゃんがリアルの方に来てたから、向こうの方でいろいろやってたよー」

「そっかー。それはそれとして。お仕事、たまってるよー?」

 ハーマイオニーちゃんが、部屋の隅、書斎みたいに整えられた机の上を指さした。

「……え?」

 そこには山の様な書類の束ががが。

 あ、島のギルドマスターとしての印鑑ぺったんがあったんだったー!

「アユムちゃんがいないとどうしても決済が通らない物だけになってるから、ざっと目を通しておいてね。そこ以外のはグレイスが自己裁量で承認してるから、詳しいことはグレイスに聞いてねー?」

「うわーん!」

「ピ」

 がんばりましょうね、とシェラちゃんがガッツポーズをしてみせた。

「うー。がんばりマス……」

 幸い早めにログインしたから、約束の時間にはまだまだ余裕あるしね。




 シェラちゃんが淹れてくれた紅茶をすすりながら、ぺったんぺったん印鑑を押す。

 先週の時点でも結構書類多かったと思うのに、案件を絞った上でこの紙の山はちょっとボクの能力超えてる気がするー。

 なんていうか、相当、島を訪れる人が増えたみたい。

 まとめられた資料を見た感じ、βエリアの次くらいにポータル開通者増えたっポイ。たったの二週間ほどなのにすごいね。

 LROの正式サービス開始から、1ヶ月近くになったけれど。新規の募集はかけてないみたいだから、プレーヤーの数は増えていない。初期の1万2千人のうちやらなくなった人も何割かはいるだろうけれど、そのおおよそ半分が一度は島を訪れた計算だ。

 そして。

「……なんか現地の人も、ものすごく増えてない?」

 一時的にプレイヤーが連れてくることはあるだろうけれど。書類によると、ほとんどが移住の申請だった。

 つまり、この島に定住しようとしてるのだ。それも数百人のオーダーで。

 ボクの所に書類として来ているのはその代表者のものだったりするんだけど、職種も種族もさまざまな人たちばかりだった。

「アユムちゃんが、戦艦みつけたでしょ? あれで島と大陸の定期運航が始まってねー。すでに結構な数の人がわたって来てるよ?」

 ハーマイオニーちゃんが、どさりと次の書類束を机に乗せながら小さく笑った。

「あー、そっか。もう艦の修理とか改装とか終わったんだね」

 そういえばさっき書類見た気がする。

 つまり、ボク自分で自分の仕事増やしちゃってたわけかー。

 ううー。肩書きだけエラそうなのもらって遊び呆ける予定だったのになんでこんなことにー。

 ……うん?

「ってゆーか、今さらの話だけど。この書類ってほとんど冒険者ギルド関係なくない?」

 どっちかってゆーと、島議会の関係者、アンジーあたりが取りまとめるのが正しい気がするんだけど。前から思ってたけど、なんかおかしくない?

「え、だってアユムちゃん、この島の代表でしょ?」

「え、いつのまにっ!?」

「アユムちゃんがログインしてないときに島議会が招集されて、全会一致で正式に可決されたよー?」

「うにゃー! それ、係を決めたりするときに学校やすんでたら、勝手に体育祭の実行委員とか押し付けられてるパターン!?」

 ううー。アンジーめぇー! いつかあのハゲ頭、ピカピカにみがきあげてやるー!

 アンジーを領主にして、ボクが裏で暗躍する計画だったのに……。



「はいおつかれさまー」

「……つかれたー」

 超優秀なシェラちゃんが、優先度の高い書類を選り分けてぱぱぱーと整理してくれたので、とりあえずの書類の処理は終わった。あとは少し余裕がある。

 ダロウカちゃんとまおちゃんに会う前に。ちょっとだけ島の様子を見に行こうかな。

「あ、ナィアさんに連絡するの忘れてた」

 ハナちゃんとはリアルの連絡先を交換したので毎日メールしたり長電話したりしてたけど。

 先週はぜんぜんログインしてなかったのでナィアさんに予定を伝えてなかった。慌ててシスタブからナィアさんに連絡。

「連絡遅れてごめんねー、ナィアさん」

『アユムか。記事を見たぞ』

「……記事?」

 記事って、なんだろう? 新聞?

『サークリングス・トリビューンの取材を受けたのだろう? おかげでナィアーツェの投稿したアユムとの冒険談の閲覧数もうなぎ上りでな』

「……あー」

 わん子さん、だったっけ。こっちの新聞の取材だったのかー。どおりで迷宮アトラクションに関係ないことばっかり聞くと思った。

「で、今日は都合、大丈夫? 他のエリアに行くことになってね……」

 簡単にダロウカちゃんとまおちゃんのことを説明し、巨獣エリアと和風エリアに行くことを告げると。

『問題ない。むしろ早く冒険の続きを書けとせっつかれていてな』

「そうなんだー」

 一度ナィアさんが書いた冒険談ってゆーのも見てみようかな。ちょっと興味あるよね。サイトのURLはシスタブに登録しといたはずだけど。まあそのうちに。

「あ、ナィアさんはたぶん、βエリアって魔法の鍵じゃいけないよね。じゃ、島で合流しようね。ファナちゃんとは現地集合の予定」

『うむ。了解した』




「……あれ、ここ、どこ?」

 ポータルの石舞台に降り立ったはずなのに。

 プライベートルームのドアから出た先は、石造りの大きな部屋の中だった。

 こういうポータルって、ボクの記憶にあるのはβエリアと砂漠エリアだけ。

「……もしかして、間違えた?」

 ポータルが機能してなかったころは、グレーアウトされててプライベートルームから無人島エリア以外のエリアを選択できなかったけれど、島が発展した今ではポータル開通して別エリアも選択できるようになっていたから、うっかり間違えたのかもしれない。

 リターンを唱えようとして。

「ピ」

 シェラちゃんが、ポータルの魔法陣のそばにある謎の石像を指さした。

 こんな石像のあるポータルって、無人島エリアだけ、だった気がする。

「……ここ、無人島エリアなの?」

 だいぶ人が増えたから無人島ってゆーのもおかしな気はするけれど。

 きょろきょろ見回してたら次から次にポータルでやって来る人、逆に移動する人がいてなんだかとてもにぎわっている。

「んなとこに、ぼーっと突っ立ってないでどいてくれ」

「あ、ごめんなさい」

 見知らぬ人に軽く肩を叩かれて道を開ける。十人近い団体さんだった。

「……にぎわってるねー」

 とりあえずはぐれないようにシェラちゃんと手をつないで。ポータルの部屋を出た。




 軽く迷った末に、巫女さんっぽい服を着た神官さんに案内されて外に出た。どうやらポータルのとこにはいつの間にか立派な神殿が建ってたらしく、何人かの巫女さんが神殿業務を行っているようだった。

 そういやこのあたりって一番最初に神殿予定地にしたとこだっけ。

 たったの一週間ちょっとでこんな神殿とか建てちゃうなんて。すっごいなー。

「……って、ここどこ?」

 神殿を出てまたびっくり。

 建設中のものを含めていくつものお店が建ち並んでいた。そして、すごく活気があっていろいろな取引が行われているみたい。木材に、食料品、布に、武器や防具まで。

 それも、ガラスのショーケースみたいなのがあったり、かなり近代的な建物で、しかも3階建てくらいだったりする。少し離れた場所にはもっと高い建物も見えるし。

 いつのまにこんな商店街ができたんだろう? いや、計画だけは確かに書類で見た覚えがあるんだけど。確かに神殿の前には商業地区を作る予定だったけど。

 なんか浦島太郎状態。いったい、この一週間で何が起きたんだろ。

 つい先週までは、そこそこプレイヤーはいたものの、ちょっと森を切り開いていくつか建物が建っているだけの開拓村みたいな感じだったのに。町を通り越してもう既に街になっちゃってる感じ。

 あと。

「冒険者ギルド、どこ……?」

 いつもなら石舞台の上から見える冒険者ギルドも、建物に隠れてどこだかわからない。

 一応、都市計画通りなら大通りに沿ってすぐの場所のはずだけど。

「ピ!」

「あ、シェラちゃんわかる?」

 シェラちゃんが指差したのはボクのシスタブで。島アプリを立ち上げるとタウンマップが表示された。

 いつの間にこんな機能までー?

 マップを見ながら少し歩いたら。

「……ここが、冒険者ギルド?」

 全面ガラス張りの、オフィスビルぽいのが建ってた。さっき商店街からちらっと見えた高い建物。元は敷地面積はそこそこあったものの平屋建てだったのに、5、6階はありそうなビルになっちゃってるー!?

「あん? 子猫か、最近見なかったけど今日は来たんだな」

「……あんじー?」

 聞き覚えのある声に目を向けると、見事なハゲ頭がビルの反射光をさらに反射してきらめいた。

「いったい、何が、あったのさーっ!?」

「お前がやったことだろーが」

 アンジーは額を押さえて何言ってやがる、とばかりに肩をすくめる。

「えー? 知らないよ?」

 この状況がボクのせいって、そんなバナナっ!

「宇宙戦艦とか、リアルと比較しても数百年は先の技術を持ち込んどいて、なにしらばっくれてんだ。島の文明レベルが一気に20近くあがってんだ。たぶん、ルラレラティアで一番進んでんじゃねーか? ここ」

「あー」


 ……確かに、ボクのせいだった。

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