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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第二話「世界を歩こう」
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 5、「不条理なシステム」

 別に女の子扱いされたいわけじゃないけれど、ボクがかわいそうな少女にひどいことをするようなヤツだと思われるのは、とてもイヤだった。

 ……いやでも、いつものボクだったら。実際、セクハラとかしてたかもれないけど。実際ちょっとセクハラじみたことやっちゃったけど。……うん、なんか腹立つけど、とりあえず怒りは収めよう。

「まあ、あとは好きにやりな。ミッションをクリアしてくとだいたいやり方がわかるだろ」

 ハゲ男アンジーは、そう言って去って行った。

 あんまり世話にはなりたくないなー。



「お手軽にカード手に入るのはほんとみたいだし、やってみる?」

 ファナちゃんがシスタブを操作しながら言った。

「そうだね」

 傷だらけの少女、ネーアちゃんはまだ眠ったままで、シェラちゃんに世話を任せることにした。よっぽど疲れていたみたい。ずっとMK2を待ち続けて、そしてボクが伝言を伝えたから少し緊張の糸が切れたのかもしれない。


 さて。

 シスタブを開いて内容を確認する。

 大きく分けると、ミッションはデイリー系とウィークリィ系の繰り返し可能なものと、一回しかクリアできない物があるようだった。さらに言うと繰り返し可能なものも、特定のミッションをクリアしないとできないようなものもあるらしい。

 すぐにでもできそうなのは調達系。木材を手に入れろ、とか、お魚を釣ろう、とか、そんな感じのヤツだった。

 試しとばかりに近くに生えていた木にダブルスラッシュ。何度もクールタイムが終わるのを待って、枝を掃って丸太にする。これを指定して納品を行うことでミッションクリアとなるらしい。

「納品、っと」

 とたんに丸太がどこかに消え失せて、代わりにシスタブ上にポイントゲットの表示が現れた。

 さらに。

「おー、スラッシュのかーどげっとだって」

 確かにあっさりカードもらえてしまった。それだけじゃなくて、初回クリア報酬でなんかオノが出てきた。カードだけじゃなくて、装備とかもでて来るっポイ。

「わたしもためしてみるー」

 ファナちゃんも近くに木に魔法の矢を撃って切り倒した。枝を掃うのには魔法の矢は向いていないので、ボクとナィアさんで枝を掃った。

「わぁ、スラッシュのカードだ」

 ファナちゃんも無事カードをゲット。

「これ、あっという間にカードレベルMAXになるんじゃないかな?」

 あんまり簡単に手に入っちゃったので、よからぬことを考えてしまう。

 もしかして無人島エリアの情報がほとんどないのって、ここがカードを稼ぎやすいと考えた初期の人たちが掲示板とかに書き込むのを自主規制したせい?

 独占して、人が押し寄せるのを防ごうとしたんじゃないかなって気がする。

「……そうでもないんじゃない? これデイリーミッションだから、1日に1枚だけみたいだし、仮にレベル10までこれで集めようと思ったら512日かかっちゃうよ?」

「あ、そっか」

 そういう制限があるのかー。いやでも、普通の人はスロットレベルが高くても5、くらいだろうし。5なら16枚、二週間少しでいけるし、3レベルなら4枚、たったの四日で行けてしまう。

「……少し待て」

「え、どしたのナィアさん」

 自分のタブレットを見ていたナィアさんが、何か思案気に首を傾げた。

「ナィアーツェのタブレットにも、異邦人のアプリとやらがインストールされているようだ。カードとやらが手に入るか試して見たい」

「おー?」

 え、何? 仲間にカード稼いでもらうのもありなの?

 でもって、ナィアさん。ボクが初回報酬でゲットしたオノで、ずばん、と木を切り倒して。

「……木材、となっておるが。ふむ」

 腰に差した短刀で枝を掃ったあと、ナィアさんがボクたちに少し離れるように言った。

「何するの、ナィアさん」

「先ほどのアンジーが言っていた、加工した場合の話が気になる。この丸太を柱や板にしたらどうなるのであろうな?」

 ナィアさん、弓や短刀だけでなく魔法も使えるらしい。

「まずは乾燥させねば木材としては役に立たぬ。極冷波(ヴァリス・ドライ)

 見た感じ、どう見ても冷却系なんだけどー。

死の鎌(グレシェード)

 黒い風が、まるで死神の持つ鎌のように吹き荒れ、丸太の皮を削り取り、さらには。

百の死の鎌(レクト・グレシェード)

 複数の鎌が並行に走り、丸太を縦に等分。あっというまに板にしてしまった。

「……ナィアさん、砂漠に住んでたのになんで木材の扱いとか慣れてるのー?」

「ふむ? 災害が起きた五百年より前、ナィアーツェの住んでいたあたりは密林だったからな。あの災害以降砂漠化が進み、今ではあのような土地になっているが」

「そうなんだ?」

 砂漠に蛇ってのもおかしくはなかったけど。やっぱり密林に大蛇の方がらしい気がする。確かに。

「さて、ちゃんとするならもう少し表面の処理などしたいところだが。これを納めるとどうなるか、と」

 ナィアさんがタブレットを操作して出来たばかりの板を納品すると。

「あ、カードが5枚も!?」

「ポイントは10倍近いよっ!?」

 思わずファナちゃんと顔を見合わせて大騒ぎ。

「なるほど、木材というカテゴリ内であれば、品質を高めるほど良いものが手に入るというわけだな」

 ナィアさんが満足そうに頷いて、カードを差しだしてくる。

「ナィアーツェには不要だ。ファナとアユムで分けるといい」

「あ、ありがと」

 驚いたことに、スラッシュ以外のカードも含まれていて。

「★2の下級魔法ってなってるけど、これってもしかして、魔法使いのジョブとかが持ってそうな魔法をまとめたやつ?」

 影族の双剣術はスラッシュしかなかったけど、格闘術は色々まとまってたし。そうするとたぶん、下級魔法って魔法使いとかそういうジョブが持ってる魔法をまとめたスキルに違いない。

「うわー。閉じ込められてうわーって思ってたけど。ここ、ほんと初心者向けなんじゃない?」

「こんなぽこぽこカードゲット出来るとか、すっごいねー」

 木材でこれだし。ボクたちはもう、今日は木材納品は出来ないけど。出来るミッションはまだまだある。

「えーっと釣りでしょ、裁縫系の納品とかもあるし、鉱物系の納品とかは鍛冶系なのかな。栽培系?に、あー、まとめwikiが欲しいー!」

 出来ることが多すぎて、何から手を付けたらいいものやら。

 とにかく、色々ためしてみようっ!




 それから色々ためしているうちに、ふと気が付いた。

 アプリの上の方に、ゲージがあって、それがこの島の状態を表しているらしいのだけれど。

 木を切ったり、石を拾ったり、木の実をとったり魚を釣ったりすると、資源の値が減る。

 そして加工して納品すると、資材の値や、食料の値が増える。

「……あれ、もしかして。資源が形変えてるだけで島のレベルには影響ほとんどない、の?」

 島の経験値というか、総合的なポイント?っぽいのはわずかながら増えてはいるようだけれど、資源や資材の増減に比べたら微々たるものだった。

 そういえばハゲ男のアンジーが言ってたっけ、行為はポイントとして積みあがるって。

 いや、加工した分、資源から資材への変換も1:1じゃなくって資材の方が増えてるみたいだし。無駄ではないはず。

 けど。デイリーって制限がおおきいなー。木材加工とかだけして稼ぐってことができないようになってる。

「うー。なんかじれったい」

 そりゃ大勢の人間が集まってミッションクリアすることで徐々に島が発展していく、といった感じのシステムなんだから、ボクが一人で頑張って、目に見えて変わるようだったらそれこそバランスがおかしいけど。人が減り過ぎてる現状では、覆す手段がほぼないに等しい。

 なにか、どかんと島のポイントを増やす手段はないんだろうか。

 ミッションのリストをざーっと眺めていて、気が付いた。

「ダンジョンをクリアしよう、って」

 ポイント、でかそうだよね。MK2とかネーアちゃんは、このミッションにチャレンジしたんだろうか。

 ミッションの説明をタップすると、大雑把ではあるが概要が表示されて。

「……え? ダンジョンも納品できるの?」

 どうやら資産として登録出来るらしい。なんとなく、すごくポイント増えそう。

 今すぐに行こうというわけじゃないれど。これなら現状を覆す手段になりそうだ。

「まあ、それはそれとして……」

 ちょっと思い付いたことを試してみることにする。

 木材の納品で丸太、石材なんかその辺で拾ったただの石でも納品可能なんだし。たぶん可能だと思うんだけど。

 基本的に、資材や食料よりも、資産の方がポイント多いし。

 ファナちゃんとナィアさんに手伝ってもらって。とあるものを納品。

 ……目に見えて、はっきりと、島のポイントが増えた。



「……おい、お前ら何かやったのかっ!? なんかいきなり島のゲージが増えたんだが」

 ハゲ男がやってきて、周りを見て首を傾げた。

「なんだ、これ。いや、待て、これってありなのかっ!?」

「んー、これまでなんで誰もやらなかったのかボク不思議でしょうがないんだけど」

 んふふー、と笑ってアンジーを見つめる。

 何のことは無い。

 施設を作ろう、というミッションがあったから。

 少し開けた土地に川から取ってきた砂で白線を引いて、野球のダイアモンドを書いただけ。

 こんな簡単なものでも、そう言い張ってしまえは野球場の出来上がり、という寸法だ。

 他にも地面に簡単に線を引いて、区画を分けるだけで。建物すら立っていなくても住宅予定地という資産になる。そこまでまだ広い土地はなかったので村程度だけれど。

 ポータルの辺りは謎の像を中心として、神殿ということにする。

 ボクとファナちゃんとナィアさん、三人がそれぞれ資産として納品したら、一気にゲージが増えたのだ。幸い、資材や食料と違って、納品されても資産は消え無いようだった。

「誰かが音頭とってさ、みんなで作業分担してさ、それぞれが出来ることをしたら、あっという間にそれなりな場所になると思うんだけど、アンジー?」

 生産職向けのエリアというのは間違いじゃない。

 けど、エリア担当のハーマイオニーちゃんが言っていた通り、このエリアっていうのは無人島をみんなで開発して作り上げていくのが本筋なんだろうとおもう。

 あれだよね、ほら、いわゆる内政チート?

 みんなプレイヤーなんだからネットでいろいろ調べて、畑作ったり家立てたりすれば、いくらでも無双できると思うんだけど。


「アンジー、キミ、この島の領主やる気ない?」


 ボクは裏で暗躍するのさー。面倒なことは他人に任せるに限るしね。

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