4、「無人島エリアの謎」
デカエネーアと名乗った少女は、膝から下が無いせいで移動もままならないのだろうか。
長い緑色の髪はぼさぼさで、着ている白いワンピースも泥まみれ。女の子相手にこんなことを言いたくないけれど、微妙に臭う。
それに頬には殴られたような跡があり、身体のあちこちにアザがある。
……ちょっと普通じゃない。
「きみたちはどういった経緯でこの島にやってきたのだろうか?」
傷だらけの少女はそんな状態にもかかわらず、どこか楽しそうに微笑みながら言った。
「出戻りではなさそうだし、もしかしてエムケー・ツーという男に誘われたのではないかな?」
「え、うん。そうだけど」
ボクがうなずくと。
「んッ!? ちょっと、またっ!?」
ファナちゃんがぴくんと肩を震わせた。
これ、もしかして。さっきMK2もやってた飛沫族の共振ってやつ?
「ふふ、はは、ついに飛沫族を送ってくれたか! でかしたっ! エムケー・ツー!」
デカエネーアはこちらに腕で這い寄って来て、ファナちゃんの足に抱きついた。
「デカエネーアちゃんも飛沫族ってこと?」
「わたしのことはネーアでいい。エムケー・ツーもそう呼ぶ。それで、ヤツは一緒じゃないのか?」
そういやMK2からは、ネーアって子あてに伝言もらってたっけ。
無人島エリアに仲間がいるといってたのは、きっとこの子の事なんだろう。
「えーっと、確か、”もう少し準備に時間がかかるけど、必ず行く”だったかな」
一言一句違わずってわけじゃないけど、だいたいこんな内容だったはず。
「……そうか」
少しだけ肩を落として、ネーアちゃんがため息を吐いた。
「ん、そういえば確認がまだだった。きみたちは、騙されてきたのか? それとも自分の意思で?」
「……一応は自分の意思、だけど。半分は騙されたような気も」
なんかMK2に騙された感じがしてしょうがないんだよね。
ポータル使えないし。
「ふむ。騙されてムカツクというのなら、一発くらいわたしをぶんなぐってかまわんぞ? エムケー・ツーがあんなことをしているのはわたしの夢のためなのだからな!」
ぺたりと地面に座り込んで、ちょっとだけ悪戯っぽく笑う。
「もっともそれ以上のことは許さんがな! 足が不自由とはいえ、飛沫族の武器は声だから、不埒な行いをしようと思ったらそれなりの覚悟をするようにっ!」
「……うん、覚悟かんりょー」
よいしょ、とネーアちゃんをファナちゃんから引っぺがして抱き上げる。
思ったよりも軽い、そして……臭い。
これ一週間はお風呂入ってなさそうな匂いだよ……。
なんでそんな具体的にわかるかは乙女の秘密だけどね!
「な、なにをする!?」
「女の子なんだからさー、もうちょっと身ぎれいにしようよ?」
「ま、待て、何を」
「待ちませーん」
ネーアちゃんが逃れようともがくけど、驚くほどに非力だった。小柄で痩せていると思っていたけれど、痩せているというよりやつれてる感じかも。
「シェラちゃん、近くに水場とかないかな?」
「ピ」
ありますよ、とばかりに指さすシェラちゃん、さっすがー。
「わたしは、ここで、エムケー・ツーを待たなくてはならない。だから、ここを離れるわけには……」
「今、もうしばらくかかるって伝言を伝えたばっかでしょ? しばらくはへーきだって」
「……むむ」
「それに、そんな薄汚れた格好で迎える気?」
「……むー」
「ってわけで、シェラちゃんと一緒に、この子丸洗いしてくるねー」
「え? アユムが? んー。じゃ代わりにわたしがここで番しとくね」
ファナちゃんが少し考えて、さっきまでネーアちゃんが座っていた場所に腰かける。
「ナィアさんはファナちゃんについててもらえる?」
「うむ、了解した」
まあ、ポータルのすぐそばだし。危険はないと思うけどね。
「ピ」
シェラちゃんに案内されて少し歩くと川に出た。
「ほら、脱いで―」
「……むー。手早く頼む」
覚悟を決めたのか、ネーアちゃんがバンザイしたのでするんとワンピースを脱がす。
つるんとしたなめらかボディがとってもステキ。
……ってこの子下着つけてないのっ!? いきなり全裸は心臓にわるいよっ!?
一度、深呼吸して息を整える。それから濡れてもいいようにズボンと靴を脱いだ。
上着の裾が長いからミニスカで通るよねきっと。まあ誰も周りにいないしぱんつくらい見られてもへーき。ちゃんとかわいいの穿いてきたから!
シェラちゃんはメイド服の裾を持ちあげて、腰のあたりで縛った。
ネーアちゃんの発育途上の流線型ボディは水の抵抗が少なそうで、いかにも飛沫族っぽい感じがする。絵画とかイラストの人魚は結構巨乳に描かれること多いみたいだけど。本物はそうじゃないみたいだねー。
そういやファナちゃんが幼女体型なのって、もしかしたら飛沫族のカードの影響受けてるのかな?
煩悩を振り払うように余計なことを考えながら。シェラちゃんと二人でネーアちゃんを川に浮かべて、全身の汚れを落とす。なぜかシェラちゃんが石鹸とかお風呂セットを持っていたので、隅から隅まで磨き上げた。シェラちゃんも今は影族だから、影収納とか使えるのかもしれない。
ネーアちゃんはじーっと動かず、ただされるがままになっている。
その身体には所々にあざがあり、先の言葉通り、MK2に騙されてきた人たちに乱暴されたのかもしれなかった。
「……んッ。そ、そこは」
「うふふ。ちゃんとキレイにしようねー」
少しばかりデリケートな部分を丁寧に手洗い。役得ってやつ? 邪な意図はほんのちょっとしかないよ? ほんとだよ?
それにしても。
ネーアちゃんって妙に他人に世話をされるのに慣れているってゆーか、普通は同性相手でも初対面の相手にここまで好き放題されないとおもうんだけど。
「……」
「かゆいところはありませんかー?」
最後に頭をシャンプーしながら話しかけるが、ネーアちゃんは無言だった。
ちょっとやりすぎて嫌われちゃったのかも?
「えへへー、ぴっかぴかだねー。って、ネーアちゃん寝ちゃってる?」
ネーアちゃんの髪を拭いていたら、かくんと首をうなだれて小さな寝息を立てていた。
疲れてたんだろうね……。ずーっとポータルでMK2を待ってたみたいだし。
なぜかシェラちゃんが替えのワンピースを持っていたのでネーアちゃんに着せた。サイズ的にボク用だったりするんだろうか? ボク、スカートとか穿かないんだけど。シェラちゃんはもしかしてボクにそういう格好させたいんだろうか。
シェラちゃんが、ネーアちゃんが着ていたワンピースをぱぱっと川で洗って。
洗い立ての新品になったネーアちゃんを背負って、ポータルのところに戻る。
「……誰?」
ポータルのところに戻ると、ファナちゃんたちの他に、知らない男の人が立っていた。
まだ若く見えるのに、見事な禿頭にねじり鉢巻き。上半身裸で、下はぼろぼろの膝丈ジーンズに裸足。手にはなんかごっつい銛みたいなのを持っている。漁師?なんだろうか。
「なんだお前、ネーアに何をした?」
不機嫌そうな顔で、ボクをねめつけてくるハゲ男。なんかムカっときたのでこちらも睨み返す。
「臭うから洗ってあげただけだよ。そういうあんたは何なの?」
「お前が? ネーアを? はッ、動けねェネーアに付け込んだだけだろ?」
こちらの誰何に答えず、不審げにボクを睨み付けてくる。
しかし、シェラちゃんが一緒だったとみると、ふん、と鼻を鳴らして目をそらした。
「そういうことを言うってことは、キミ、この子がどういう状態にあるか知ってて放置してるってことだよね?」
――ならボクの敵だ。
あのアザやケガの痕。事情はよくわからないけど、ネーアちゃんがこの島でろくな扱いを受けていないことだけはわかる。
「……言っても聞かねーんだよ、ネーアは。こうしてオレもなるだけ様子見に来てるが、プレイヤーだから24時間常に見ていられるわけじゃねーし、男のオレじゃ身の回りの世話をするのも憚られるしな」
「もー、二人ともなんでいきなり喧嘩腰なのー」
そこにファナちゃんが割り込んできた。
しかしそのファナちゃんを押しのけるように、ハゲ男がボクを睨み付けてくる。
「ふん。このちみっこには聞いたが、お前にも聞いとくぞ? お前らMK2のやつに騙されてきたんだな? この島のことを知ってきたわけじゃなく」
「一応は自分の意思でここに来たけど。それが何か?」
口調がとがるのを押さえられない。
「ちっ、わかってねぇのか、しょうがねぇ。……オレがこの島について全部教えてやる。だから、まずは一度リターンでプライベートルームに戻れ。そうすればあらかた自分の置かれた状況がわかるだろ。そうだな、十分後にここに集合だ」
「何勝手に仕切ってるのさー」
「なんでネーアがこんなことしてるのかも、教えてやる」
「……」
事情が分からないまま騒ぐのは確かによくない。ただ見たままの状況から、ボクは怒りを覚えているけれど。
「アユム、言うとおりにしてみよう?」
「わかった」
ファナちゃんに袖を引かれて頷く。
「悪いけどナィアさんとシェラちゃんは、ここでこの子守っててくれる?」
「うむ、心得た」
「ピ」
ナィアさん達に任せればとりあえず安心。
ボクとファナちゃんはリターンを使ってプライベートルームに戻った。
「いらっしゃーい、アユムちゃん」
「……え?」
プライベートルームに戻ったボクを出迎えてくれたのは。白い翼の生えたグレちゃんではなくって。白いワンピースを着た、緑の髪の少女だった。
どことなく、あの島で会ったネーアちゃんに雰囲気が似ている。足はちゃんとそろっているけれど。もしかして、飛沫族なのかな。
「システム・オペレーティング・コンパニオン、略してSYS-COのNo.8、ハーマイオニーだよ、よろしくね」
ペコリ、と空中でお辞儀。
「あ、初めまして。ボク、キノサキ・アユムです」
ボクもお辞儀を返す。礼儀は大切だよね。
「あと、グレイスから聞いてるけど、わたしのスカートめくっちゃだめだよ? 飛沫族だから、この下なんにも穿いてないんだから」
「あー、下半身お魚になるからなんだよねー」
ファナちゃんはすぐに解ける紐ぱん穿いてるけど。普通の飛沫族は、男女ともにスカートみたいなの穿いててぱんつ穿かないんだよね。ネーアちゃんも穿いてなかったし。上も何もつけてないとは知らなかったけど。
「……グレちゃんはどうしたの?」
「あ、アユムはエリア移動したの初めてなんだ? えっとね、エリア移動すると担当のシス子も変わるんだよ。無人島エリアはわたしの担当なんだー」
「そうなんだ?」
そういや影族のスキル教えてもらったデイジーちゃんも、自分のエリアに来た時にはよろしくって言ってたっけ。担当って、ずっとグレちゃんだと思ってたのに、エリアごとに変わっちゃうんだ。ちょと寂しい。
でもなるほど。MK2やファナちゃんのシスタブにシス子ちゃんがいっぱい居たのは、こういう理屈だったわけかー。エリア開通するたびにシス子ちゃんが増えるんだね。
「これからよろしくねー。長い付き合いになりそうだし」
「え? どういうこと」
場合によっては、すぐに無人島エリアなんか出ていくつもりだったけど。
「ん? アユムはポータルで来たから知ってると思ってたけど。ほら、ポータルがいま最低ランクだからよそに行けなくなってるでしょう?」
「……もしかして」
慌ててフィールドに通じるドアのところに行く。
表示されている行先は……無人島、のみ。他の場所は全てグレーアウト状態になっていた。
つまり、無人島エリアにしか行けないってことで。
「あの島に、閉じ込められたってことっ!?」
「まあ、無人島だしー? 全員で協力して島を開発して島のレベルを上げて、そうすればいずれはまた他のエリアともつながるし、世界一の楽園になるはずだからー。がんばれ!」
なんてこったー。
再び無人島に降り立つ。
「……」
先に戻って来ていたファナちゃんは、暗い顔でため息を吐いていた。
「おう戻って来たな。状況は理解したか?」
「まあねー」
ハゲ男に頷く。なるほど、騙されてこんな島に閉じ込められたら。誰かに怒りをぶつけたくなる気持ちもわからないではない。
「端的に言うと、この状況のきっかけを作ったのが、そこにいるネーアとMK2ってわけだ」
「MK2はこのエリアの外にいたけど、どうやって出て行ったの?」
「順番に説明してやる」
そう言ってハゲ男が話してくれたのは次のようなものだった。
一番最初は、初日ということもあり、ログイン人数も多く、その時はまだポータルもよそに通じていた。しかし、このエリアの仕様が判明するにつれて、βプレイヤーたちがどんどん他のエリアに移ってしまった。人口が減ると、島のレベルも下がってしまい、島のレベルに連動してポータルも最低ランクにまで落ち、それ以降外に行けなくなった。
「大きく分けると、【人口】、【食糧】、【資源】、【資材】、【資産】、【施設】、【エネルギー】の七つの項目の合計により島のレベルが上下する。一番単純なのは人を集めることだが、好き好んでこんな島に閉じ込められたくはないから誰もこねぇ。後ろめたいのかよそに行ったβプレイヤーも余計な口をつぐんでるからな。MK2みたいなのが騙して引っ張り込んでるがまあ、焼け石に水だな」
「……★1のカードを集めやすい、初心者向けの場所だって聞いたけど?」
「ああ、それは確かにその通りなんだが。ここ、ミッション形式でカードが手に入るんだ。シスタブ見てみな。アプリが増えてるだろ」
言われるままにシスタブを見ると、確かに見覚えのないアプリが入っていた。
起動すると。デイリーミッション、ウィークリーミッションなどと表示されたリストが並んでいた。なんかソシャゲみたい。
「えーっと、木材を手に入れよう、とか書いてあるけど」
「大まかにいうと、木だとか石だとか、この島の【資源】を加工して【資材】にする、【資材】を使って建物なんかの【資産】を作る、といった流れで島の開発を進めていくわけだ。初期カードでスラッシュとか魔法の矢とか持ってるだろ。木を切るくらいなら、あれを使えば割と簡単なんだが……」
「……あー、なるほど」
リストの先をざーっと目で追って納得した。
木を切って、枝を払って丸太にするくらいなら何とかなる。
でも、皮を剥いで正確に切って柱にしたり板にするには技術が必要だ。丸太を組み上げて家を作るのも、一人じゃ無理だし知識と技術が必要だ。このLROというゲームは、基本的にリアルで自分で出来ることしかできない。
「つまり、ほとんどの人はやってらんねーってよそに出て行っちゃったわけか」
「まあ、そういうわけだ。オレみたいに好き好んで残ってるやつもいるんだが少数派だな。あとは出て行ったか、ログインしなくなるかのどっちかだ。まあ、行為はポイントとして積みあがっていくから、いずれはまた外にもつながるだろうし。こういう場所だと説明した上でよそから人を引っ張ってくるって手段もある。カードを入手しやすいのはウソじゃねーし、生産要素が好きなヤツだっているだろうからな」
ハゲ男が、自分の頭をぺん、と手で叩いてため息を吐く。
「だがβの時にはこういった生産要素が皆無だったからなー。βの情報見て新規で始めたやつらにもそういうのを期待してるやつがほとんどいない。さらに言えば、ゲーム的な材料集めてポン、って感じの生産システムじゃねーからな。とにかく人を選ぶ。宣伝とやり方間違えた、クソゲーってわけだな」
「……そうかもー?」
まあ、まだ何もやってないからやってみてからかな。カードが手に入るっていうのは本当みたいだし、やり方によっては悪くない気もする。
「ところで。ネーアちゃんとMK2がきっかけって、どういうこと? 今までの話だとこの島独自の仕様のせいで人が離れちゃった、ってだけみたいだけど」
「MK2曰く、この島の周囲の海底にはダンジョンがあるそうでな。ネーアと二人で海に潜って、で、とんでもないヤツを呼んできちまいやがった」
「とんでもないやつ?」
「この島の周りの海には、海の獣、海獣ってよばれるでっけえバケモンがいっぱいいるんだ。海獣っていってもアシカとかアザラシなんかじゃなくって、バケモノの方の怪獣みたいなもんだ。本来そいつらは、でかい図体してるだけあって海が生活の場でな、普通にやってる分には出会うことはほとんどないってゆうシロモノなんだが。海に潜って、怪獣に襲われたネーアとMK2は逃げ出して……そいつを島にまで連れてきちまったんだよ」
「にゃんと、水陸両用ですかっ!?」
「……たぶん、何十人規模で戦うために用意されたレイド用のボスだ。そいつにネーアは足を食われ、戦いを挑んだ何十人ものプレイヤーが死に戻り。おかげで、地上のこの島にエサがわんさかあるって知っちまったんだろうな……。それ以来、不定期に島に件の怪獣が上陸するようになったんだよ。魚は”釣り”、”食料”、”骨素材”と一匹でいろいろミッションがかせげるので、比較的誰でも簡単にカードを稼ぐ手段として、初期は海での釣りが人気だったんだがな。海に釣りに出ることも難しくなり、海岸にまで現れて襲ってくる。こんな危ないとこじゃやってられん、って一気にβエリアに移動する動きが加速したわけだ。その結果、人口が減りすぎてあっという間に島に閉じ込められた」
「……それ、確かにきっかけかもしれないけど、ネーアちゃんあんまり関係なくない?」
少なくとも、ネーアちゃんが暴力を振るわれるのをよしとするほどの理由だとは思えない。
ネーアちゃんを連れてきたのはMK2なんだし、悪いのは全部MK2なんじゃ?
「MK2はβプレイヤーで、帰還石というアーティファクトを持っていた。これはざっくり言うとNPC用のリターンが使えるアイテムだ。NPCは単独ではポータルが使えない。プレイヤーが仲間NPCを連れ歩くと、プレイヤーが死に戻りした場合なんかにNPCが帰れなくなるからな。そういう時のためのアイテムなんだが。ネーアはそれをMK2に使ったんだ。”この状況を覆せる強力な仲間を見つけて来い”ってな。足のない自分が戻るより、MK2の方がよっぽど役に立つとな」
「あー」
人をだましてこの島に連れて来るのって、MK2が、っていうより首謀者はネーアちゃんなの? しかも殴られる覚悟ありって、絶対、確信犯だよね。
「そして、それ以来、MK2に騙されたやつらがやって来る。ネーアは自分がMK2に頼んだのだからと、一、二発殴られるのはよしとしているし。島に残った連中に対しても怪獣を引きこんだ負い目があるから助けを求めない。たった一人でMK2が強力な仲間を連れて帰ってくるのを今か今かと待ち続けているってわけだ。ポータルの石舞台に貼りついたまま、動こうとしねぇ」
「けなげだね……」
MK2からの伝言はないかと必死ですがりついてきたネーアちゃんの姿が思い起こされた。
「まあ、あとは好きにやんな。なんかあったらこの辺いるから、聞いてくれ。お前らがこの島の発展に協力してくれりゃ嬉しいが」
ハゲ男が手を振って立ち去ろうとした。
「待ってー。ハゲ男、あんた名前は?」
「誰がハゲ男だ。オレはこっちじゃアンジーって名乗ってる。木工関係なら強いぜ?」
「漁師じゃなかった!? ボクはアユム。こっちはファナちゃん、シェラちゃん、ナィアーツェさん」
「おう、よろしくなー。あと」
ハゲ男アンジーが向き直って頭を下げた。
「ネーアのこと、よろしく頼むな。男のオレにゃ手をだせねぇことが多いんでな」
「ん、任せて」
返事をすると、なぜかアンジーは首を斜めにした。
「あん? オレぁそっちのちみっこちゃんに言ったつもりだったんだが」
「……うー」
……ボクも女の子なんですがー?
やっぱりこのハゲ男、なんか気に食わないっ!




