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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第五話「ボク的セカイの歩き方」
215/228

32、「下手な考え休むに似たり」

 最初から岩船が2つあったとした場合、イェーラちゃんのことをレイちゃんが知らない、というのと、りぇぷた?りゅえぴた?ええっと、リェピュタだっけ……すごく言いにくいけど、その子のことをイェーラちゃんが知らなかったっていうのは成り立たなくもない。

 その場合、巨大天使になって、バラバラになって逃げだしたイズミちゃん人形の方がイェーラちゃん側だよね。

 ええっと。確か、灼熱エリアでのざっくりした流れは。


①東の方で巨大岩人形イズミちゃんが現れる。

②西の方で巨大岩人形オサちゃんが現れる。

③西側の巨大岩人形からオサちゃんを助けて、西側の巨大岩人形停止。

④東側の巨大岩人形イズミちゃんが天使化。シェラちゃんの魔法で拘束してバラバラに。

⑤中央でイェーラちゃんと野井さんの交渉が決裂。

⑥西側の巨大岩人形が首なし天使化して動き出す。

⑦西側の首なし天使をブラスターライフルで完全消滅。

⑧東側のバラバラ巨大イズミちゃんから大量の偽イズミちゃんが発生。

⑨グレネード乱舞で吹っ飛ばしたけど、1%ほどは逃げられた。

⑩けど自称神様が網張ってて、灼熱エリアを脱出しようとしたイェーラちゃんを確保。


 補足すると、実際には⑨の時にオサちゃんがもうひとりのイェーラちゃんを回収してて、オサちゃんの飛頭族デュラのカードのEX【界渡り】でリアルの方に逃げだしてたんだよね。

 で、⑩で捕まえたイェーラちゃんが今は妖精さんになってここにいるわけで。

「ねえねぇ、イェーラちゃん。ちょっと聞きたいんだけど……」

 と上記①~⑩の流れを説明したところ。

「……変ね。いくつかわたしが知らないことが混ざってるわね」

「具体的には?」

「そうね……。もしかしたら、もうひとりのわたしが意図的に記憶を複製しなかった可能性もあるけれど」

 少し首を傾げながらイェーラちゃんが説明してくれたんだけれど。

 実はイェーラちゃん、西側の方の戦いを全く認識していないとのこと。

 ボクたちは⑤で交渉決裂した結果、西側の岩人形に潜んでいたイェーラちゃんが⑥で首なし天使を動かしたと思っていたんだけど、イェーラちゃんの認識では交渉決裂後、⑧で既に逃げに入っていたらしい。良く考えたら、そうだよね。西側のって⑦で完全消滅してたし。そっちに潜んでたら逃げる暇がない。

 つまり、イェーラちゃんは最初っからずっと、東側の岩人形に潜んでて、西側の方なんか知らなかったってことみたいなんだけど。そうなるとイズミちゃんとオサちゃんが謎だよね。オサちゃんの話だと、二人で岩船に侵入して、リェピュタちゃんに返り討ちにあったらしいんだけど。それは西側の岩人形のはずで、東側の岩人形にイズミちゃんが囚われてた理由がよくわからなくなる。

「イズミちゃんはどこで捕まえたの?」

「岩人形の核にした人間のことなら、最初の侵攻時か、その後にその辺をうろついてたのを確保したんだと思うわ。複数確保した中で、確かあの子が一番、核に適していたから使ったんだと記憶してるわね。なんていうか、すっごく染めやすかったのよね」

「……イズミちゃん、思い込みが激しい方だからねぇ」

 むむむ。

 一番最初の侵攻時には、まだイズミちゃんは灼熱エリアにはいなかったはずだから、推測になるけど、リェピュタちゃんに返り討ちにされたあとにイェーラちゃん側に運び込まれたのかな。こうなるとオサちゃんの証言とかもずいぶん怪しくなってくるよね。あのとき囚われのイズミちゃんを心配してた様子がウソだとは思いたくないんだけど。

 そして、⑥で首なしの天使を動かしてたのはリェピュタちゃんと推測できる。東側と連携した様な動きをしてたことといい、どうもリェピュタちゃん側ではイェーラちゃん側のことを認識していた上に、状況まで把握してたっぽいよね。

 そうなると、⑦で完全に消滅して決着ついたつもりでいたけど。西の方の中身って、実は逃げた後だったのかな。西の方の首なし天使って、中身がスッカスカでなんか怪しかったんだよね。推測だらけで微妙だけど、まさか、リェピュタちゃんってまだ灼熱エリアのどこかに潜んだままだったりするのかな……?

「……うーん。頭から煙でてきそう」

「今考えても無駄じゃないのー?」

「そうかもね、ファナちゃん」

「だいたい、レイちゃんって東の方でげっとしたじゃない?」

「あ」

「そのレイちゃんが、東のイェーラちゃん知らないって時点でいろいろおかしいし」

「うわー。さっきまで考えてたのが前提から全部ひっくりかえったー。ぐぬぬ」

 とりあえず、リェピュタちゃんが灼熱エリアに潜んでいる可能性があることだけは自称神様に伝えておく。

「らじゃったよっ! 調べとくねっ!」

「お任せしますね。あとレイちゃんは、そのリェピュタちゃんのことは今どこにいるかとかわからないの?」

「ん。レイたちが身体を得てから、解放されている?から、わからない」

「そっか」

 レイちゃんが最後の端末として認識してたってことは、憑りついてたってことで。

 けど、みんな身体を得ちゃったから、たぶん解放されちゃっててもうつながってないってわけだ。そうなると、生きていたなら姿を隠しているのが疑問なんだけど。黒幕さんが何か暗躍してそうな気配が。むー。

「そんなことより、はやく、うちう旅行に、行こうっ!」

 ファナちゃんは元気だね。




『――そちらの準備はできたのかね? こちらの準備は整ったよ』

 格納庫に移動すると、野井さんが空中に浮かぶ小さな光るディスプレイの向こうから声をかけてきた。向こうでもいろいろ受け入れのために準備をしてくれてたみたいだけど。終わったみたいだね。

「とりあえず、大丈夫です。いつでも行けますよ」

『そちらも何やら問題がまだ残っているようだが、ますはこちらの話をまとめようかね。目的は、宇宙側でなにか異変が起こっていないかの確認。そのためにアユムくんたちとイェーラが宇宙までやってくるということでいいね?』

「そう言うことですね」

『宇宙側で人が生活している場所は、大きく5つ存在する。私が先に移動して、ジュ・トゥ・ヴーが転移できるスペースを確保してから呼ぶので、順番に回ることとしよう』

「了解です」

『すでにひとつめの場所には移動済みだよ。いつでも来たまえ』

「わかりました。じゃあ、【影憑依】しちゃおう」

「はやくー」

 ものすごく久しぶりの【影憑依】。

 やっぱり、溶けてひとつに混じり合うのはすっごく気持ちいい。

「レイも」

 さらにレイちゃんがどーん。レイちゃんの場合、少し方式が違うから完全に混じり合うことはないんだけど。やっぱり、レイちゃんとも気持ちいい。

「ピ」

「おねがいね」

 ジュ・トゥ・ヴーから伸びたケーブルがシェラちゃんに接続され。シェラちゃんに後ろから抱きかかえられたボクたちは、がぱん、とジュ・トゥ・ヴーの胸に吸い込まれた。

「もう、わたしを忘れないでよ! うわー……キモチワルイ」

 イェーラちゃんが、続けてコックピットに潜り込んで来て。ジュ・トゥ・ヴーの内側の生物的フォルムにげんなりした顔をした。

「イェーラちゃん、狭いけど我慢してね?」

「……わかったわよ」

「ん。シェラちゃん、ハッチ閉じて」

「ピ」

 ハッチが閉じて、視界が一瞬、闇に包まれる。


≪接続完了。ジュ・トゥ・ヴー起動≫


 あいあい。

 ボクの意識が、ジュ・トゥ・ヴーに宿った。

 同時に銀の鎧の姿をしていたジュ・トゥ・ヴーがボクの姿になる。このままだとほとんどゼンラーな感じになるのはわかってるので、すぐさま影でカーテンを作って、インナーを装着。

 ええっと、これにスカートとバックパックを装着っと。宇宙用ってことで、手足の鎧のあちこちにブースターが増設されてるみたい。バックパックもなんかごっつくなってるかな。


≪非殺傷兵器としては、ブレードとアサルトライフルを用意しました≫


 ぬこぴー兵でわりと使い慣れてる感じのやつね、了解。あ、セレクターで通常兵器と切り替えできるのね。ふむふむ。

 用意されていた武装をスカートの内側にセット。宇宙用なのでぶら下げる感じじゃなくって、がっちり貼り付ける感じ。取り出すときにちょっと気を付けなきゃいけないね。


≪実体弾とエネルギー兵器の撃ち分けも可能です≫


 了解。


[火器管制はレイ任せる]


 お願いね。

(あー。撃つのはわたしがやる! レイちゃんはブレードファンネルとか感応兵器だけにして!)


[了解]


 なんか、みんなひとつになってわいわいするの久しぶりでなんか楽しい。

 じゃあ、行こうか。

 ひとつ、大きく息を吸って。思いっきり吐いた。

 いっくよー!

「……【影渡り】」


 いざ、宇宙へ!

 ……月1回更新だけなのはあんまりなので滑り込み投稿。

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