表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第五話「ボク的セカイの歩き方」
194/228

13、「島の支配者は誰だ」

 シェラちゃんの反応を追いかけて突き進むと。

 すぐに激しい戦闘音が聞こえて来た。

「こんのォ、ちょこまかとっ! いいかげん当んなさいよメイドちゃんっ!」

「プー!」

 イズミちゃんの怒鳴り声と、シェラちゃんの声がする。

「ここみたい」

「突入だー!」

 会議室のひとつに飛び込んだら。

 部屋の壁と天井と、飛びまくってはねまくって天使なイズミちゃんに集中攻撃を仕掛けているシェラちゃんの姿が見えた。

 イズミちゃんが周囲にたくさん魔法の矢を浮かせて迎撃しようとするけれど、シェラちゃんは片手で叩き落としてものともしない。

 さっすがシェラちゃん!

「シェラちゃん、来たよ!」

「ピ!」

「あっははは! おちろー! 蚊トンボっ!」

「ってファナちゃんっ!?」

 ファナちゃんがいきなりぶっ放した。

「ぬわっ! ちょ、不意打ちとかずるくないっ!?」

 ぬこぴー兵の機能は使えないのに、天使側の一定回数攻撃無効化は有効らしくって、ファナちゃんの放った魔法の矢は、イズミちゃんの目の前でバリアみたいなものに弾かれて消えた。

「奇襲してきた人がそゆこというかな?」

 にんまり笑って、続けざまにファナちゃんが魔法の矢を連射する。まるでマシンガンみたい。

「わたしが押さえとくから」

「ありがと」

 その隙にシェラちゃんと合流する。

「シェラちゃん、大丈夫だった?」

「ピ」

 なるほど。意外にイズミちゃんもやるもんだね。シェラちゃん相手に一歩も引かないとか。

「で、キューちゃんは」

「オレならここやで」

 キューちゃんはなぜか部屋の隅っこにある段ボール箱の下から顔を出した。

 段ボールとか、ステルス性能抜群そう。

「よかった、キューちゃんも無事だったんだ」

「おう、危ないとこにメイドちゃん来てくれたんで助かったわー」

「ファナちゃんが押さえてくれてるうちに移動しよう。」

 キューちゃんに手を差し出したら。

「いや、トロフィーを防衛側が動かすのはルール違反になるんだわ」

 キューちゃんがそういい言いながらお腹に抱えた金色の優勝カップみたいなのを指さした。

「それがトロフィーなんだ?」

 思ったより小さいかも。破壊されるか奪取されたらとかっていうから、もう少し大きなの想像してたんだけど。

「おう、せやで。流れ弾で壊されたらたまらんからこうやって抱きかかえてたんやけど」

「どこまでなら移動可?」

「少なくともこの建物内なら許容範囲と違うかな」

「屋上とかも大丈夫? 敷地内じゃだめ?」

「屋上はぎり行けるんと違うかな。敷地内でも建物の外は微妙かもしれん」

「おっけー。ごめんキューちゃん事後承諾」

「ぬおっ!?」

 トロフィーごと、キューちゃんを。

 ぺろりとボクのお腹に飲み込む。

 いや、お腹じゃなくって【闇影牢】なんだけど。ぱくんってやるとなんか満腹感があるから、なんそんな風に思っちゃう。

「シェラちゃん、建物の中じゃ本気出せないでしょ。このまま屋上に移動する。ファナちゃん! いくよ!」

「あいあいさー!」

 あー。

 ファナちゃんが撃ちまくってたから壁も天井もボロボロだ。

 シェラちゃんはちゃんと手加減してたのに。

「すくらんだーくろーす!」

「わ」

 ファナちゃんが【飛翔】で飛んできて、そのままボクを背中から抱き上げて持ち上げた。

「あ、こら、逃げる気っ!? 待ちなさいよ!」

「プ」

 シェラちゃんが牽制の魔法の矢をイスミちゃんにぶつけ、その隙に魔法のホウキにまたがる。

「あーばよぉ! とっつぁ~ん!」

 ファナちゃんがノリノリで何か叫んでる。

 ほんと好き勝手魔法撃てる時って、ファナちゃんイキイキしてるよね……。




 ばびゅーっと階段を一気に飛んで屋上まで出る。

 あんまり上まで行くとそれもルール違反になっちゃいそうだから、すぐにファナちゃんから離れて足を床につける。

「迎撃よーい!」

「ピ」

 ファナちゃんとシェラちゃんが出口に腕を向ける。

 けど。

「あまいわねっ! 馬鹿正直に後追いかけてどーすんのってねっ!」

 窓を蹴破って出て来たらしいイズミちゃんが、横から襲いかかってきた。

「もーっ!」

 両手に剣を持って、空を蹴りながらイズミちゃんを迎撃する。ボクには翼は無いけれど、【空歩き】があるのだ。

 けれど、振り回した剣は、あっさり【護りの盾】で止められた。

「あはっ、そうそうアユムちゃん。キルコはどうだった?」

「イズミちゃんが満足させてあげなかったから、ボクが迷惑被ったんだけどっ」

「イイコでしょ。いやー、あの子すごいわねっ。メイドちゃんとアユムちゃんと変態もすごかったけどさ、あの子ひとりで何でも斬っちゃうからあっという間だったわ、迷宮クリア。あの白衣の変なのもいなくってモブ爺さんがラスボスだったし」

 イズミちゃんが無数の魔法の矢を飛ばして、地上のファナちゃんとシェラちゃんをけん制しつつ、ボクにも避けづらいところを狙って魔法の矢を飛ばしてくる。

 しばらく見ない間に、イズミちゃんもかなり強くなってるみたい。

 ひとりで雑談しながらボクたち三人相手取るとか、クールタイムの影響で多人数相手無理とか言ってたかつてのイズミちゃんからは考えられないね。

「……ところで魔王はどこ? アレたたっ斬らないと勝ちにならないんだけど」

「ナイショ」

 イズミちゃんの【護りの盾】を蹴り飛ばして、距離を取る。

 どうやらさっき【闇影牢】に取り込んだところは見られてなかったみたいだね。

 ……と思ったら、なんかお腹の具合が。

 え、や、ちょっと。うぷ。


 ――えろれろれろ。


 胃の中のものを戻したような感覚があって。

「アユムのアホ! 敷地内でも微妙つーたのに、異空間放り込むとか何考えてんのやっ!? タイムアウトで負けになるとこやったろっ!?」

 キューちゃんが出て来ちゃったよ。

「……あ、そうなの?」

 それはちょっと、ボクの考えが足りなかったかも。

「見つけたわっ! 魔王、あんたの首取って、この島はあたしの物にすんだからっ! とっとと死になさいっ!」

「死ぬかボケっ! ちゅーか天使の格好してるくせに行動が死神かっつーの!」

 キューちゃんがそそくさと離れてシェラちゃんの背中に隠れた。

「……というか。天使側が勝ったところでこのエリアの支配権とか手に入らないと思うんだけど」

 いや。自称神様の話だと、島エリアはキューちゃんに一時的に貸し出されるっぽいから。

 理屈的にはキューちゃんを倒して支配権を奪い取るって可能なのかな?

 ……普通に、幼女の国から元の島エリアに戻るだけな気がするんだけど。

「一純が居るって。居たって、聞いたから」

「あ」

 一純ちゃん、というのは、オサちゃんのことだ。

 そう言えばグレちゃんが、イズミちゃんにもゼノちゃんの方から伝わってるはずって言ってたっけ。

「この島掌握して、見つけ出すのよ」

「もういないかもしれないのに?」

「それでもよ。だから、邪魔しないで」

 会話しながら裏で溜めていたのか。

「これでもくらって、全員まとめて逝ってらっしゃいっ!」

「でかいのくるっ!?」

「ピ!」

 って、これもしかして【核撃】じゃ。

 そうじゃなくてもそれに近い威力ありそうっ!? 室内で本気出せてなかったのはイズミちゃんも一緒だったのかもっ!?

 防御間に合わないっ!? シェラちゃんは影に潜れるから、ボクはファナちゃんと一緒に。

 それじゃキューちゃんが。


「【クールダウン】」


「え……?」

 イズミちゃんが放とうとしていた光の弾が、突然、何もなかったように掻き消えた。

「【賢者】のスキルで、発動前の魔法を強制終了しました」

 そう言いながら、白い翼をはばたかせて降り立ったのは。

「ルイちゃん?」

「ちょっと変態、何すんのよっ!?」

 イズミちゃんが食って掛かるけれど、ルイちゃんは一顧だにしない。

「アユムさんを倒すのは私です」

 そう言って、ルイちゃんがじっとボクを見つめてきた。

 なんだか、とても思い詰めた表情で。


 どういうこと……なんだろ。

 更新間隔空きがちで申し訳ありません。土日にだいたい死んでるのと、どうにも筆が進まなくて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ