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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第四話「セカイを救っちゃおう!」
168/228

42、「戦う女神様」

 さて、イズミちゃんがぶっ倒れてるうちに処理しちゃわないとね。あの黒いもやもやを分離しないといつまでもおかしくなったまんまだし。


[ん。レイに任せる]


 お願いねー。

 というわけで。

 ようやくジュ・トゥ・ヴーの出力が上がり始めたので、スラスターを吹かしながら巨大イズミちゃんの頭部の方に回り込む。

 けれど。

「……あれ? イズミちゃん居ない?」

(え、逃げちゃった?)

 いや、そんな感じじゃないよね? 普通に気絶してる感じだし。

 ……そういや天使みたいな人型になってから、姫人形みたく感覚同調してたっぽいけど。

 まさか、ジュ・トゥ・ヴーみたくどこか体の中に取り込まれてる??


≪冥闇縛鎖から逃げ出せたとは思えません。……首の後ろあたりに異邦人の生命反応があるようです≫


 SFとかでたまに生命反応がどうとかいうけど、一体何をどうやって検知してるのか謎だよね、生命反応。レーダーとか探知波みたいなのでどうやって調べるんだろ。


≪ルラレラティアの一般人と異邦人のアバターは明確にインスタンスの生成方法が異なりますので。その差異から判別しています≫


 ボクたちは死亡するようなダメージ受けると光になって消えちゃうアバターだから、ちょっと違うんだね。違いが分かるシェラちゃん、凄い。

(どうでもいいけど首の後ろって、○撃の巨人みたーい)

 んー。びーむさーべるで切り裂けるかな?

(イズミちゃん、丸コゲになっちゃわないかな?)

 でもせっかく用意した武器使わないのはもったいないしー?


≪安全に切除できる位置を視覚に表示します≫


 あいあい。さっすがシェラちゃん。

 巨大イズミちゃんは仰向けに倒れているけれど、のけぞるような格好なので首の後ろには隙間が出来ている。そこに潜りこんで、シェラちゃんが視界に指示した通りの線にそってびーむさーべるを突き入れた。

「ぐぬぬ、見た目は人間みたいな肌の質感なのにやっぱり岩の塊だー。硬い~」

(あゆむがんばれー)

 んしょ、んしょ、と何度もびーむさーべるを突き入れて、ぐるんと円形に切れ目を入れる。


[あとはレイに任せる]


 お願いねー。

 レイちゃんが黒いもやもやを出して、今つくった切れ目から侵入する。

 ごくん、と飲み込むように岩の欠片ごと取り込んで。

 もしゃもしゃと咀嚼するように黒いもやもやが蠢く。


[……味がしない]


 え? もしかしてイズミちゃん居なかった? それともびーむさーべるで焼けちゃってプライベートルーム送りになっちゃってた?


[ちがう。これ、レイたちに憑りつかれていない]


 んべ、っと黒いもやもやから全裸のイズミちゃんがジュ・トゥ・ヴーの手のひらに吐き出され。

 口を半開きで、気持ちよさそうに眠ってるみたい。

 目をつむってると普段の目つきの悪さとかわからないし、黙ってれば意外とイズミちゃんかわいいかも? 中身がアレだけど。

(ふむー。なかなかディテールが凝ってますなぁ)

 いやファナちゃん、これ本人だから。そんなマジマジと見つめないの。

(でも、おもったよりおこちゃま~)

 ファナちゃんどこ見てるの。ってゆーかイズミちゃんボクたちより年下だからね?

(でもおっぱいは負けそうかも……)

 うぐ。そういうの勝ち負けじゃないから!

 ってゆーか、これ本当にイズミちゃん本人だよね? いやあの言動って、イズミちゃん本人としか思えなかったし、シェラちゃんが間違うはずはないと思うけど。

 操られてないんだったら、イズミちゃんのアレ、まさか素でやってたってこと……?

 オサちゃんは確か、イズミちゃんが黒いもやもやにつつまれてからおかしくなったとか言ってた気がするけど。矛盾してる?

 ということは、やられたときに。イズミちゃんを解放して逃げ出した、のかな?

 ……わかんないや。

(とにかくこっちのデカブツも止まったってことでいーんじゃない?)

 そうかな。そうだよね。深く考えるのはボクたちの仕事じゃないしね。野井さんとかに任せよう。

 状況分からないけど、西側でも何か起こってるみたいだし。

 念のため、巨大イズミちゃんはバラバラにしておこう。

(人体バラバラ殺イズミちゃん事件~)

 ファナちゃん、人聞きの悪いこと言わないでー。




「びーむさーべる、出力最大。いっけー」

 二本を重ねて一本にした上に、リミッター解除して通常の3倍近くまで伸びたびーむさーべるで、巨大イズミちゃんの解体を行う。

 イズミちゃんの解体ってゆーのなんかすごい語弊がありそうな気がしないでもないけど。ボク猟奇趣味ないから。すぷらったーなの好きくないから。

(血が出なくってよかったよね)

 うん、まあ見た目がどんなに人間ぽくても結局のことろ材料が岩だしね。

 血が出るようだと流石にボクも、巨大イズミちゃん人形の解体とか無理。

 まずは首を落とし、腕を落とし、脚の方に回るとまだぬこぴー兵がたむろしてた。

 ほんとーにえっちなのが好きだよね。

(まあ、無修正だしー?)

 ボクは中身がアレって考えると全然イズミちゃんの裸には萌えないんだけど。

(知らない人にとっては中身関係ないし)

 そうかもねー。

「こらー。ぬこぴー兵どもじゃまー!」

 大声で叫んで、ぬこぴー兵を蹴散らす。

 まだ溶岩人形の掃討が残ってるんだから、そっちをガンバレって話。

 ……ってこれアリアさんの部隊かー。指揮官が率先して見物してるし。意外にアリアさん守備範囲広い?

「よいしょー!」

 ふっとい太ももを切るのはちょっと大変だったけど、これで仮に復活したとしてもすぐには動けないハズ。念のため手足を胴体から離しておいた方がいいんだけど、流石にジュ・トゥ・ヴー一機じゃ無理っぽい。

 とりあえず、東側はあとぬこぴー部隊にお任せでいいよね。

 ブラスターライフルを回収して西側の様子見に行こうかな。

(イズミちゃんどーするの?)

 あ、そういや抱えたまんまだった。

 ゼンラーなのでぬこぴー部隊とかにお任せするのも憚られたんだよね。いったんナーガ・ナィアーツェに寄って置いて行こうか。

(補給もすべき! ほきゅーは重要! 具体的にいうと撃ち足りませんっ!)

 今回は、ばっきゅーんする前に武装はぎ取られたしね。

(ブラスターライフル一発だと不完全燃焼……。表面削っただけだったしー)

 まあ、あと2発は撃てるから。

 空中に浮いたままのブラスターライフルを捕まえる。

 そういや出力足りないのって、バックパックがこっちに装着されてるせいもあるんじゃないの?


≪シス子様たちは、ブラスターライフルを撃ち尽くしたあと、バックパックはジュ・トゥ・ヴーに着け直す想定だったと思われます≫


 予備が有ったらバックパックももらってこよう。

 ブラスターライフルに足をかけて、滑る様に移動する。

 ナーガ・ナィアーツェの甲板に降りると、甲板ではオサちゃんが手を振っていた。

「あ、オサちゃん。イズミちゃん助けて来たよ」

「ありがとうございます! って、なんで裸……?」

「知らなーい。悪いけど、イズミちゃんはお願いね。ボクたちはもっぺん出撃するから」

 格納庫まで戻る時間が惜しいので、甲板から連絡をして必要な装備を届けてもらう。

「アユム、落っことしたグレネードとショットガンの代りね。ブレードファンネルの補充分も。ファンネルはもう予備ないから注意。あとバックパックの予備はないよ」

 補給物資と一緒にやってきたグレちゃんが、目の前で10体くらいに分裂して、ブラスターライフルとジュ・トゥ・ヴーのチェックを始める。感覚同調してるからちょっとくすぐったい。

「ありがとねー。グレちゃん。西の方の戦況ってどうなってる?」

「シスタブがおかしくなって、ちょっと混乱してるけど、向こうの巨大溶岩人形も天使化したっぽいよ。首なし天使」

「わお。オサちゃんが居ないせい? というか、誰も乗ってなくても動くんだ」

 こっちの巨大イズミちゃん解体したのはやっぱり正解だったっぽい。

 ゆーりも残ってるし、もしまた動き出してもなんとかしてくれるでしょー。

「今は太郎様たちが女神ロボで押さえてるけど、羽が生えて一気に詰め寄られたせいで武装ほとんど使えなくて、肉弾戦状態みたい。アユムは早く行ってあげて」

「あー。女神ロボ火力高すぎて、艦やぬこぴー部隊が近いと巻き込んじゃうのか」

 女神ビームとか超火力だしね。

「そゆこと。魔王少女のジムノペディも頑張ってるけど、あの子の魔法ってふぁじー過ぎてダメージになってないみたい。物理的な実弾兵器で削らないとダメみたいなんだよね」

「そっかー」

(うふふ、ばっきゅーん撃ちまくれる予感♪)

 キューちゃんにはびーむさーべる渡せばいいかな。

「ん、チェック完了。ビームは受けてないからコーティングはそのままだけど、ギュって握りつぶされてたからちょっとヒビは入ってる箇所あったから応急処置しておいた」

「ありがとねー。グレちゃん」

「あ、あと。さっきは説明忘れたけど、ブラスターライフルにはちょっと仕掛けがあって。だからバックパックこっちに付いてるんだよ。撃ち終わるか、捨てる時には射撃体勢のままこのレバー思いっきり引いてね。バックパックが外れてジュ・トゥ・ヴーに装着されるから」

「んー、了解。というかそれ早く教えて欲しかったー」

 あやうくイズミちゃんにぱんつ脱がされるところだったし。

「おし、補給完了。あゆむ、行って来て!」

「あいあい、アユム、ジュ・トゥ・ヴー、いっきまーす」

 ブラスターライフルに足をかけて、滑る様に空中へ。


≪急ぎましょう≫


 あいあい。

 シェラちゃんの光の翼も広げて、最大出力で街を飛び越えて反対側へ。

 そういや、野井さん達の話し合いってどうなったんだろ。

 あの、なんとかちゃんってシェラちゃんの姉妹のひとと交渉してたヤツ。


≪……やはり交渉は決裂したようですね。オサ様が拘束されていた巨大人形の中にイェーラが隠れていたようで、実力行使に移ったようです≫


 あ、そうそう、イェーラちゃんだった。

 ん、女神ロボ居た。


『こなくそー!』

 見ると、ものすごい衝突音がして、巨大な首なし天使が頭から(いや頭ないんだけど)地面に叩きつけられるところだった。

 女神ロボ、体術もこなせるっぽくて、なんか柔道とかそんな感じの動きだった。

(いやあれプロレス技だと思うけど)

 そうなの?

 あ、流れるように関節技に持ち込んだ。なんかちょっとえっちぃんだけど。

(スコーピオンデスロックだー)

 というかあんなに密着されてると手が出しにくいよね。


 というか、岩の塊に関節技って有効なの……??

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