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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第四話「セカイを救っちゃおう!」
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38、「もうひとりのボク」

 オサちゃんは司令部に置いて行こうと思ったんだけれど、イズミちゃんのことが心配らしくどうしても付いて来るというので、しかたなくぶら下げたまま東の方へ。

 そこでは、さっきキューちゃんのシスタブのログで見た通りにすごいことになっていた。

「……おー。ゆーり無双だ」

(すっごーい!)

 九尾のきゅーちゃんにまたがったゆーりちゃんが、巨大怪獣同士の決戦のノリで巨大溶岩人形とがっつんがっつん、激突を繰り返している。普通の溶岩人形はあっという間に蹴散らされて、イズミちゃんが指揮出来ないせいかあっちこっちに散らばっている。

 そういえば。

 こっちの護りについたもう一人のボクはどうなったんだろ? 姿が見えないけど。


≪ジュ・トゥ・ヴーのアユムセカンド様は、拡散ビームの処理に失敗して中破したようですね……≫


 えー。ボクのくせに情けない……。

 って良く考えたら、セカンドの方はレイちゃんの分身体とボクの分身だけだから、シェラちゃんもファナちゃんもいないんだっけ。うーん、ボクだけだと所詮はその程度かー。


[ん。レイでは力不足だった。シェラほどうまくうごかせない]


 レイちゃんのせいじゃないから。ボクがヘボなだけだよ。


≪現在はナーガ・ナイアーツェで修復中のようです≫


(あゆむ、どする? セカンドちゃんからジュ・トゥ・ヴー取り返してくる?)

 んー。今は修復中みたいだし、イズミちゃんを助けるにはぬこぴー兵のままの方が小回り効きそうだし、いいかな。

 とはいえ、今はゆーりちゃんとガチバトル中で割りこめそうにないしなぁ。


『ぐぬぬ、生き物とか反応速度ちがいすぎでしょーっ!? ロボにはロボで来なさいよっ!』


 イズミちゃんの悔しそうな声が響き渡った。

 イズミちゃんの乗る巨大溶岩人形は、ビームによる攻撃力はものすごいけれど、所詮は岩でできた人形。移動速度は遅いし、当たればそれなりの威力はあるんだろうけど手足の動きも非常に遅い。そこへ文字通りのケモノが超スピードで飛び掛かって翻弄しているものだから、完全に巨大溶岩人形の動きは封じられていた。

 ロボ対ロボが美しいとはボクも思うけどね……。有効な手段があるなら使うのが正義というものなのです。

(勝てばよかろう、なのでーす!)

 ひとの事言えないけど、ファナちゃん意外と黒いよね。

(悲しいけれど、これって戦争だから仕方ないのでーす!)

 まあ、キューちゃんのなんちゃって侵略と違ってガチだしね。

 野井さんと交渉中のイェーラさん?がどういう考えなのかよくわからないけど、とにかくデカブツは止めなきゃいけないしね。

 戦艦ヴェータには機人種の修復施設とかあるし。もし乗っ取られたら、溶岩人形でなくってオートマタ部隊が量産されかねないかも。あるいはそれが敵の目的なのかもしれない。

 状況は……膠着状態?

 ユキノジョウの姿は見えない。今は艦に引っ込んでるのかな。シスタブないとほんと連絡つかなくって不便……。

 地上部隊はバルムンクさんが再編して、なんとか溶岩人形を押し返しているみたい。

 アリアさん、クルリンさんもそれぞれ部隊展開しているみたいだけど、重装歩兵はかなり減っていて、ほとんどがレオタードが破れたのーまるぬこぴー兵になっちゃってる。

 重装歩兵の面制圧力がないと流石に厳しいよね……。

 ノーマルの幼女化光線銃だと、何発か当てないと倒れないみたいだし。

 ゆーりが巨大溶岩人形押さえてるうちに、ボクが地上を爆撃するべきかなー。全力のツイン幼女化ライフルはあと2回撃てるし。

 どうしようかと考えていると。

「アユムさん、妹には近寄れないんですか!?」

 ぶら下がってるオサちゃんが、怪獣大決戦を指さしながら無茶なことを言った。

「ゆーりちゃんが完全に押さえこんだら近寄れるかもだけど、今は無理だよ。あの激突に巻き込まれたらボク達がぺしゃんこになっちゃう」

「……なんとか割りこめないんですか?」

「んー」

 動きがとろいし、足を破壊したらゆーりちゃんもこっちに気が付くかな。

「試してみる。ちょっとごめんねー」

「わわっ!?」

「しっかりつかまっててー」

 オサちゃんを、脚で抱え込むようにぶら下げて、手を自由にする。オサちゃんも幼女化しているとはいえ、幼女なファナちゃんボディだと小柄だからオサちゃんを脚で抱えるのはちょっと大変。

(わたし、短足じゃないからね?)

 もちろん、ファナちゃん様はぷりちーぼでぃです。

(よろしい!)


≪ツイン幼女化ライフル、いつでも行けます。が、オサ様の巨大溶岩人形に重装歩兵の爆撃が効かなかったことを考えると、効果が薄いかもしれません≫


 ん、まずはやってみてから考える。演出とかいってたけど、さっき撃ったときは地面をえぐってたりしてたからあるていどは物理的にも効果あると思うんだよね。ダメなときはジュ・トゥ・ヴーかな。今度は遠距離用装備積んでこないと。

(近接戦闘用にいろいろ積んだけど、ほとんど使わなかったねー)

 まあ、準備なんてそんなもの。

「オサちゃん、目つぶって。かなり眩しいよっ」

「は、はい」

 ゆーりちゃんがアタックして、素早く離れたタイミングを見計らって……。

「撃てーっ!」

(ばっきゅーん!)

 ツイン幼女化ライフルを、巨大溶岩人形の足目がけてぶっ放した。

 にゃーん♪と少し気の抜ける音とともにエネルギーの奔流が解き放たれ、巨大溶岩魔人の足に狙い過たず命中。思ったより反動が小さい。というか良く考えたらさっき撃ったのはシュ・トゥ・ヴーで強化された巨大ツイン幼女化ライフルなんだったっけ。

 ……失敗だったかも。全然効いてなさそう。

 でも、それでこちらに気が付いたのか、飛び掛かろうとしていたゆーりちゃんが一瞬足を止めた。


『ふん、へなちょこびーむなんか痛くないわ! カエルのツラになんとやらってヤツね!』


 そこへ、イズミちゃんがチャンスとばかりに大きく拳を振り下ろして。

 あっさりと九尾のきゅーちゃんが躱す。


 ――その躱した先を、巨大な岩で出来たしっぽが、轟、と音をたててなぎ払って。

 どん、と鈍い音がして九尾のきゅーちゃんが弾き飛ばされた。


「わ、大丈夫かな」

 ゆーりちゃんは殺しても死にそうにないけど。

 でっかい狐のきゅーちゃんはどうなんだろ。

「ん、下手な援護は邪魔だからやめてほしい、かな」

 っていつの間にかゆーりちゃん居るし。

「翼もなしに空飛べるんだ……?」

「情報共有する、かな? 反対側は終わった、かな?」

「向こうのでっかいのは、オサちゃん助けたので止まったよ。あとはこっちだけ」

「ん、了解。意外と硬くて、面倒、かな」

「ボクもジュ・トゥ・ヴー取ってくる。ゆーりはもう少し、巨大溶岩人形押さえててくれる?」

「……別に倒してもかまわんのだろう、かな?」

「かまわないけど、出来るならなんでやらなかったのさー」

「ん。本気出すと、たぶんこのエリアが消滅する、かな」

「……抑えるだけでオネガイシマス」

「前向きに、善処したいと、おもわないでもない、かな。きゅーちゃん殴られて、ちょっと怒ってる、から」

「思うだけじゃなくて、お願いねっ!?」

「……努力はする、かな」

「あ」

 不吉な言葉だけ残して、ゆーりちゃんが消えてしまった。

 というかいつの間にか九尾のきゅーちゃんの頭の上に戻っている。

 女神を名乗るひとたちってゆーのは、ほんと不思議な感じ。同時存在でも出来るのかねー。

(……今現在、アユムも同時に二人いるわけですがー。アユムも女神になっちゃう? ちゃうちゃう?)

 ちゃわないよー。

「とにかく、幼女化兵器効かないみたいだし、ジュ・トゥ・ヴー取りに戻ろう。オサちゃんは悪いけど、ナーガ・ナィアーツェで待機お願いね。流石に鎧には乗せられないし」

「……わかりました」



 また、がっつんがっつんと激しくぶつかり合い始めた怪獣大決戦を尻目に、ナーガ・ナィアーツェに着艦。シスタブが使えないので甲板の通信機で艦橋に連絡する。

「なぃあちゃん、アユムです。ジュ・トゥ・ヴーはどうなってるかな?」

『む。せかんどではないあゆむか。しすこどのたちがかいしゅうちゅうだが、まもなくおわるであろう』

「了解、格納庫に行くね。あと、オサちゃんは艦橋に入れてあげてくれる?」

『りょうかいした。だれかあんないをよこす』

「おねがいねー」

 通信を済ませると、すぐにドアのロックが解除されて艦内に入れるようになった。

「オサちゃんはここで誰か来るの待ってて」

「……はい。二葉を、妹をお願いしますね」

「あいあい」

 小さく手を振ってオサちゃんと別れ、格納庫へ向かう。

 直通エレベーターを出た先には。

「わお、シス子ちゃんだらけ」

 ちいさなシス子ちゃんが、何十人もぶんぶんと空中を飛び回っていた。

 普段、同じNoのシス子ちゃんを同時に見ることは少ないんだけど、グレちゃんだけで10人くらい居そう。みんな忙しそうに飛び回って、修理や補給作業を行っているようだった。

 格納庫には通常の鎧形態になったジュ・トゥ・ヴーと、それから半分以上溶けてぐちゃぐちゃになった鎧が横たわっている。

 鎧は外に居なかったユキノジョウのかな。

「あ、アユムだ。こっちもどって来たの?」

「グレちゃん! ジュ・トゥ・ヴーはどんな感じ?」

「あのビームに対抗できるように、表面をリフレクター・コーティング中。もう少しかかるよ」

「おー。あ、あと遠距離用の強力なヤツ積んでもらえる? デカブツには幼女化兵器効かないみたいだから物理的にやっちゃう」

「んー、アユム達なら魔法の矢で行けるんじゃないの? ララ様を秒殺したくらいだし」

「灼熱エリアが消滅してもいいなら撃つけど……?」

「わー、そうだった。了解、ほんとは複数機で運用するヤツがあるんだけど使えるようにしとく」

「おねがいねー」

 さて。

 もう一人のボクはどこだ。

 ぐるりと見回すと、隅っこの方で椅子に座ってぐったりしているボクの姿が見えた。

「セカンドちゃん、状況教えてー」

「……至近距離で拡散びーむ撃たれて死ぬかとおもったー」

「生きてるじゃーん。ってゆーか自分が目の前にいるのって変な感じ……」

「ファナちゃんの顔でボクが話してるのって変な感じ……」

 お互いに顔を見合わせて、にやりと笑う。

「これは、ボク自身にイタズラするちゃーんす? ダミー人形は反応無くってつまらなかったけど」

「これは、見た目ファナちゃんにイタズラされるちゃーんす? ドキドキ」

(……アユム、変態行為してる場合じゃないと思うんだけど)

「「ごめんなさい」」


 ……でもとりあえず、セカンドちゃんのおっぱいは揉んでみた。

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