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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第四話「セカイを救っちゃおう!」
152/228

26、「作戦、開始!」

 ……周回遅れで逆に更新サイクルが戻ったように見える不思議!?

 毎度遅くなって申し訳ないデス……。

 ダロウカちゃんとまおちゃんは、Vカスタムは流石に身体が持ちそうにないとキューちゃんと交渉した結果、ぬこぴー飛行兵の試作品を改造したぬこぴー飛行兵・ゼロカスタム型を使うことになった。試作品なので重装歩兵のガトリングガンとか、死神兵の隠密機能とかがある程度搭載された万能型。見た目は飛ぶと光の羽が飛び散る感じで、このカードを持ってる人が増えると処理落ちが発生するんじゃ?ってことで正式採用されなかった見た目重視エフェクト付き。

 試作品のためおまけでカラー変更機能までついてるらしく、まおちゃんとダロウカちゃんは大興奮でカードをセットしにプライベートルームに戻ってしまった。


 とりあえず、ボクはぬこぴー死神兵(デスサイズ)・ヘルカスタム、シェラちゃんがぬこぴー飛行兵(ウィング)・Vカスタム、ファナちゃんがぬこぴー重装歩兵(ヘビーアームズ)・改をキューちゃんからもらった。重装歩兵は改ってついてるけど武装がちょっと追加されてるだけみたい。

 ファナちゃんはさっそく「セットして来るね!」とウキウキしながらプライベートルームに戻ってしまい。シェラちゃんもいったん、プライベートルームに戻ってしまった。

 良く考えたら今日はまだお昼ごはん食べてないんだよね。

 おなかへったねーって言ったら、最近はシェラちゃんご飯もお料理も出す一方であんまり作り置きが無かったから、シェラちゃんはお料理をたくさん用意してきます!って戻っちゃったのだった。

 ボクもカードをセットしに一緒に戻ろうかと思ったんだけど、その前にまだキューちゃん達にも状況の説明をしとかないといけない。


 ――というわけで。


 艦橋で、キューちゃんと太郎さん、なぃあちゃんやシス子ちゃんたちまで交えて状況の説明をする。

「――ってわけでね、色々ぬこぴー兵用意してもらったけど、実はあんまり意味が無さそうってゆーか、最悪、敵と永遠に戦い続けることになりそうなんだよね」

 どうも敵はこっそり隠れてるわけじゃあなくって、確率的に発生してるっぽいので、いくら倒してもキリがない可能性があることを説明すると、太郎さんとキューちゃんが目をぱちくりさせてた。

「……え? システム改変されてるっ!?」

「それ、マジかー? どこのレトロRPGなんや」

「うん、マジです。ただ前回街に攻めてきた時にはわらわら周りから寄ってきたらしいし、戦艦ヴェータの攻撃で追い払えてるから、戦闘が全く無駄になるとも限らないけど。どうも、いくら倒しても敵が減らない可能性が高いんだよね……。戦艦ヴェータの攻撃も、追い払っただけに近いっぽくて、実はやっつけてないみたいだし」

「にゃるほど……いやでもな? オレの幼女化光線銃はそもそも殺したりせんからナ? どのみち減らんのと違う?」

「おー? ……言われてみればそうかー」

 言われてみれば、確かにキューちゃんのぬこぴー兵器は基本的に非殺傷武器なのだった。特に幼女相手だと傷ひとつつけられない。

 ん? いや、待てよー?。

「んー、でもさでもさ? キューちゃんの幼女化光線銃ってさ、幼女化しちゃうわけでしょ?」

「おうよ、可愛さ3割増しでな!」

「……もしかしたら、幼女化したら”敵”と意思疎通できる? 言葉通じそう?」

 ようがん○じんは問答無用で攻撃しかしてこないけど。無力化した状態ならあるいは。

「まあ、可能性はあるんじゃね? オレの妄想力はてけとーにええ感じに解釈してくれるからにゃ。無生物ですらぷりちー幼女にしてまうで?」

「んー、まあ、試してみるしかないよね。意思疎通できるなら、なんで攻めて来てるのかとか母船?がどこにあるのかとか情報得られそうだし」

「えっちな拷問!じゃなかた、尋問ならまかせときー。どんな幼女もアヘアヘにしたるでー」

 両手の指をうねうねと蠢かせてキューちゃんが笑みを浮かべた。

 うん、ようがんまじ○がかわいい女の子になったらボクもイタズラしたいかもっ! じゃなかった。あくまで情報入手の手段だからね? 目的と手段を取り違えてはいけないのだ。

「あとさ、今現在、”敵”が無限に攻め続けて来ていないってことは、もしかしたら同時に存在できる数に制限があるとか、もしくは実は何らかのリソースを消費してて、無限にポップさせることが出来ない可能性があるよね? でもって、幼女化したらそれはどういう扱いになるかな。リソースから解放されて別の存在になるのか、あるいはそのリソース枠を奪ったままになるのか」

「んー、そのリソースがどういうものかにもよるんじゃね? 単に岩オバケ創る材料が足らんとかMPが足らんので回復待ってるとかなら、まったく関係の無い話やけど。岩オバケの中身、あの黒いもやもやな? アレの数に限りがあって無限に呼べないとかなら、中身作り変えてるわけやないし、幼女化は拘束の一種やしな。リソース奪うことになるんじゃねぇ?」

「アユムさんが遭遇した敵がいくら倒しても減らなかったということは、材料とかMP的な物が原因とは考えにくいな。エンカウント方式と防衛戦でシステムが異なるように見えるけど、その違いはなんらかのルールにのっとったものだと思う。防衛戦に関しては、幼女化が有効な可能性が高いね」

 キューちゃんに続いて太郎さんも肯定のようだった。

「じゃあ……やってみる価値は、あるかも?」

「まあ、なんもかんも仮定だらけやしなー。まずは無駄でもやってみるしかないんじゃね?」

「うん、そうだね。防衛戦を前提として、まずは敵の拘束、情報収集を目的とするのが良いんじゃないかな」

「ん、じゃあ、そんな感じでいこうかー」

「りょうかいした。ではせんかんヴェータへはそのようにれんらくしておこう」

 話がまとまったとみて、なぃあちゃんが連絡をしに行ってしまった。

「おねがいねー、なぃあちゃん」

 そうなると、あとはどれだけプレイヤーが参加してくれるかっていう人数の問題かな。

 さすがにボクたちだけでは囮になるほどの人数じゃないし、仮に再度防衛戦が発生しても護りきれるかは微妙なところだしね。戦艦ヴェータも改装中だし、ナーガ・ナィアーツェは武装が微妙だし。地下から脱出したときの主砲は出力0.2%だったけど、たぶんアレ撃ったら街ごと消滅するよね。敵だけなぎ払うみたいな器用なことできなさそう。そう考えると戦艦ヴェータはずいぶん器用なことしたよね。ヴェータはたぶん、もっと口径の小さい武装積んでるんだと思うけど、ナーガ・ナィアーツェは主砲以外は軒並み使用不可なんだよね。

 そうなるとやっぱりプレイヤーに対応してもらないとダメなわけで。

 って、そういや作戦への参加募集どうなってるんだろ。

「太郎さん、公式HPとかでプレイヤーに募集掛けてましたよね? 人の集まり具合はどんな感じ?」

「あー。公式はツイッターとかもやってないから、ユーザからの応答はわからないんだよね。ネット関連はユキノジョウくんに任せているんだが」

「ん、ユキノジョウに聞いてみますね」

 さてユキノジョウはどこかな。掲示板とかネット関係でいろいろやってるってことは、リアルに戻っちゃってる? プライベートルームからアクセスしてる可能性もあるけど。

 シスタブで確認すると、ユキノジョウはナーガ・ナィアーツェに居るみたいだった。状況聞かせて―とメッセージを飛ばすと、ふひーと息を切らしながらユキノジョウが艦橋にやってきた。……魔法少女の格好のままで。

「……いい加減着替えたら? ユキノジョウ。それともそう言う趣味なの? 趣味ならしょうがないけど」

「この灼熱エリアでもまたキュー殿の侵略戦を行うのでござろう? なら、着替える必要はないでござる。すぐにユキちゃんに戻るのでござるからしてー」

「……うん、そういうことなら。まあ、気にしないことにするけど」

 成人男性が魔法少女の格好してるのはちょっとキモチワルイんだけど。ボクもあんまり他人の趣味に関してはとやかく言えないしね。

「ところでアユム殿、そちらの状況はどうでござるか? こちらは掲示板やネットでいろいろ情報を拡散したのでござるが、あまり状況は芳しくないでござるな」

「あれ、そうなの? 島イベとか結構盛り上がったのに。人集まりそうにない感じ?」

「島エリアで侵略イベントが終わったばかりというのが問題でござる。幼女の国と化した島エリアで楽しんでいるプレイヤーが多いようでござるな。そこに新しいイベを行うと告知しても、いつイベントが始まるのか、いつ終わるのか、勝利条件や敗北条件、それに報酬など未定のことが多すぎて、詳細が決まるまで様子見が多いということのようでござる。いちおう、既に各地に臨時ポータルが設置されて、多少は街に集まりつつあるのでござるが。人数的にはまだまだでござるな」

「んー、そうなんだ?」

 ゴッド・ジーラはデカブツを倒して島エリアを解放するという明確な目的があって、ガチ勢リーダーみたいに最初からそのためにずっと準備していた連中もいたから人集まったし、終わったら島なだけに海で遊ぼうという連中もいっぱいいたけど。

 そもそもあまり知られていない灼熱エリア。

 敵も不明、いつ襲ってくるかも不明、報酬も未定、とりあえずイベントやるから来てー?みたいな募集じゃ確かに暇人くらいしか来ないよねぇ。

「うーん、でもボクたちだけだと人手が足りないよねぇ。またいつ敵が攻めて来るかも不明なのに」

「いや、そこは島イベと同じかもよ、アユム?」

「え、グレちゃん? どゆこと」

 一応、会議に参加しながら、ずーっと何かウィンドウを操作していたグレちゃんがいきなり口を挟んできた。

「灼熱エリアに来ていたプレイヤーの動向をシス子全員でログ追っかけてたんだけど、なんか新しいダンジョンが見つかったって、人集めて攻略しようとしてたみたいなんだよね」

「あー。掲示板でもなんか一緒に灼熱エリアで遊ぼうとかしてて異常発覚したみたいだったけど。……それ、もしかして。資産とか島のポイントが一定値以上になったら襲ってきたゴッド・ジーラみたく。灼熱エリアにエサとなる一定以上のプレイヤーが集まったせいで敵が攻めてきたってこと?」

「その可能性があるよ。でもってその新しいダンジョンってゆーの、システム側で把握できないんだよね。ログ改ざんされた可能性高いけど、そこが落ちてきた謎の巨大物体の可能性あるかも?」

「わお、グレちゃんすごい! なんか一気にいろいろ解決した感じ?」

 たぶん、時系列順にまとめてみると。


1、野井さんが巨大な何かを取り逃す。

2、何かが灼熱エリアのどこかに潜む。

3、それをプレイヤーの誰かが発見して、新規ダンジョンと勘違いする

4、ダンジョン攻略しようとして街に人が集まる。

5、敵が街に集まった人を襲うために襲来。

6、たまたま異変を察知した戦艦ヴェータが憑りつかれたプレイヤーごとなぎ払った。

 だいたい今この辺。


 こう見てみると3、4のあたりが怪しいよね。

 誰かが敵の本拠地?を発見したのだとして、憑りつかれずに逃げ出せたというのが。

 ボクはジュ・トゥ・ヴーに乗ってたから対処できたけど、普通のプレイヤーがアレにいきなり襲われて、無傷で逃げ帰れるとはちょっと思えない。たまたま強い人だった可能性は否定できないけどさ。

 ……むしろ、憑りつかれたプレイヤーが、エサをかき集めるためにプレイヤーを呼び寄せてそこに敵が一斉に襲いかかったように見えなくもない。わざわざ外から救援がこないようにエリアを閉鎖とかまでしてるし。

 野井さんから聞いた過去の話とも合わせて、どうも敵っていうのは憑りつく対象をどんどん増やしてくのが目的っぽいよね。増えてナニするのかまではわからないけど。むー。

「とりあえず。灼熱エリアの街に人が増えるとまた襲ってくる可能性が高いってことで、とにかく人集めればいいのかな……」

「いや、ある程度の人数の制御は必要じゃないかな? その辺は配布するカードの枚数で制限を付けられると思う」

 太郎さんがキューちゃんを見ながら言った。

「ん、そやな。先着何名さまにとか制限付ければええんと違う? その辺は運営に任せるけどにゃ。あと侵略戦だってことを全面に打ち出せば、今島エリアでウフフしとる連中も来る気になるんとちがう? 灼熱エリアも幼女の国と化すで?」

 キューちゃんがカードの束を振りながら言った。

「んー、侵略戦って言って人集めたら天使カード持ち込む人もでてくるんじゃない? ぬこぴー兵だと通常のカード使えないから」

 まあ、そもそもぬこぴー兵になることで”敵”の憑りつきに対抗できるかどうかもまだ検証出来てないんだよね。もし間違ってたら全員がぬこぴー兵なのは危険なんだけど。

「そこはそれ、みんなで良いぬこぴー兵になって悪い敵をやっつけようイベントでええやん? にゃーにゃー、オレわるいぬこぴー兵じゃにゃいよ?ってなー」

「それいいね、公式HPで正式にそう言うイベントだと告知しておこう。カードの詳細とかも」

 太郎さんがシスタブで連絡し始める。

「すーぱーぬこぴー大戦だねー」

「すーぱー幼女大戦の方がよくね?」

「……なんでかこういうゲーム好きな人って、妙に幼女好きだよね?」

「偏見はイカンで? 幼女が可愛らしく万人に愛されるのは宇宙不変の大法則にきまってるやん」

「……ノーコメントでー」

 ボク別に幼女趣味は無いけど、ファナちゃんちっこくってかわいいって思う気持ちは良くわかるしなぁ。

「……ところでそんなにカードばらまいたら、次からの侵略戦がひどいことになるんじゃ?」

 まだ天使カード持ち少ないだろうし、飛行兵とか重装歩兵とか死神兵とかだらけになったら女神側にまったく勝ち目無くなるようなー?

「先のことより、まずは目先の敵を倒すこと考えるべきとちがうん? とりあえずカスタム版はばらまく気ないからにゃ。あと、天使と違って武器固定やから今後も兵種をいろいろ増やしてく手もあるからなー」

 なるほど。

 まあ、まずは結構具体的に方針が確定したってことで。

 戦艦ヴェータ側にまた連携してから。

 作戦、開始! だね。

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