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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第四話「セカイを救っちゃおう!」
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24、「わりとよくある昔風のRPG」

 非常におそくなりました……。

 思ったほど敵には出会わないけれど、それでも移動していると不意に溶岩弾が飛んでくるのであまり気は抜けなかった。

 街を中心に、大きな渦を描くように右回りに回りながら、少しづつ半径を広げてゆく。

 ようがん○じんに出会った場所に印をつけながら、ぐーるぐる。まあ目が回るほど半径は狭くないけれど。なるだけ交戦は避けて、かといって襲われないとそもそも存在が確認できないので、急に襲われても対応出来る程度の低空飛行。

 ゆーりが一緒でなければ、シェラちゃんファナちゃんと一緒にちょっとしたお空のデート気分、といったところなんだけど。

 ……うーん。

「なんかさ、変だよね?」

(え、何かおかしい? 思ったより敵に出会わないとは思うけどー)


≪敵の分布があまりにも均一過ぎます≫


「そうそう。どこかにおっきな大元が居てさ、そこから攻めて来てるならもうちょっと、どこか偏りがあると思うんだよね。例えば東に向かうと敵がいっぱい出て来るとかさ、そういう傾向見つける目的で偵察に出たんだし。なのに、ちょっと、あんまりにも均一過ぎるよね?」

 灼熱エリアに碁盤のように縦横に線を引いて、大体四角1個に付き1匹いる感じ。まるでナワバリが決まってて、お互いに不可侵にしてるみたいな。

(ここはオレサマのテリトリーだぜぇ! 馴れ合いなんてしねぇぜー、へへっ! ってかんじー?)

「うーん、それだとついさっきわらわらと街を取り囲んで襲ってきたっていうのと整合性がないよね」

 街の周囲に集まってきたのは戦艦ヴェータがなぎ払ったらしいから、その分減ってるはずだし、その意味でもこんなに均一に分布してるのは変なんだけどなー。

 街をほんのちょっと離れた場所でも、割と離れてきた今の場所でもほとんど敵に出会う確率が変わらないんだよねぇ。

 ……ん?

 減ってるはずなのに、結構街の近くても遭遇してる?

 確率が、変わらない……?

「ん、シンボルエンカウント方式でなく、エンカウント率が決まってて、何もない所からいきなりでてくるタイプ、かな」

 ゆーりが、ちょっと首を斜めにしながら言った。

「乱数に偏りが少なすぎるから、確率だけでなくて一定歩数で確定ポップのかのうせいもある、かな」

「えー、そんなコンピュータゲームのRPGみたいなー? まさかぁ」

 シンボルエンカウントって、敵キャラが表示されててぶつかると戦闘になる感じのだっけ。

 ってゆーか、ゆーりは普通にボクたちの脳内会話に混ざって来るね。女神を名乗るのは伊達じゃないってゆーか、ほんとに自称神様みたいなことしてくるね。

「そもそも、この世界もセカイツクールによって女神につくられたゲームに過ぎない、かな」

「……女神って、そんなてきとーに世界を創っちゃうんだ?」

 セカイツクールってゆうのがどんなのか知らないけど。名前からしてマップ作ったり、アイテム作ったり、モンスター作ったりして自分でRPGを作れるあのゲームみたいな感じなのかな。

 まあボクだって、ルラレラティアという異世界をLROっていうゲームとして楽しんでいるわけだから、間違ってはいないんだろうけど。

 なんかフクザツ……。

「ん、あまり深くかんがえない方がいい、かな。そのあたりかんがえすぎると、発狂する可能性がある」

「ついでとばかりにSAN値削りに来るのやめてほしいんですけどっ!?」

 とはいえ、確かにあんまり深く考えない方がよさそうな気がする。

 自称神様、ボク達のリアルの方を創ったとかゆってるし。

 ……ボクも実はNPCでしたーとか、あんまり笑えない。


≪アユム様≫


 うん、これ以上は考えないようにするね。

 というわけで、敵の考察に戻ることにする。

 ゆーりがエンカウント制とかゆった時には、ふざけてるとちょっと思ったけど。

 よくよく考えてみれば、確かに今の状況によく合っている。

 誰かが襲われるまで、その存在が自称神様にすら全く関知出来ないってことは、つまり襲われるまでは敵そのものが存在していないって考えた方が正しい?

 出現した敵の痕跡が無くなってしまう、あるいは改変されてしまう理由というのは、まだ良くわからないけど。

 ん?

「え、いやそれってつまりさ、そもそもの話で”敵”はセカイの仕組みそのものに干渉してるってこと?」

 ルラレティアおよびLROは、システムで用意されたダンジョンであっても、いきなり敵と遭遇して戦闘になるタイプではない。普通に敵がその辺をうろついているタイプだ。

 自称神様がお手上げな時点で、もしかしたらそう言うこともあるのかなって思ってたけど。

「……”敵”って、別の神さまによる侵略ってこと?」

「ん、そのかのうせいがかなり高い、かな。アユムたちが戦おうとしている敵自体はただのどうぐだとおもう。システムに介入して敵を発生させたナニカはまだわからない、かな」

「謎だらけだー」

「ルラレラティアのかんりしゃである、ルラちゃん、レラちゃん、太郎、それにねいこが感知できないということは、さいあく格上のそんざいのかのうせいもある。かな。セカイを管理する女神は存在自体はどうれつだけど、セカイツクールによって作成される世界は無限の縦構造だから、系列によっては明確に存在の格がちがう、かな」

「……よくわかんないね」

 なんにしても。

 少なくとも当面の敵が、灼熱エリアに潜んでいるわけじゃあなくって。

 確率的にエンカウントするような存在であるならば。

 やみくもにプレイヤーがそこらをうろつきまわって、ようがんまじ○を倒しまくったとしても、あんまり意味が無さそうだってことはわかったね。


≪いったん戻って、対策を協議しましょうか≫


 あいあい、シェラちゃん。

 ……あとファナちゃんは、なんかだんまり?

(難しいことはわかんなーい! もう、どうでもいいから撃ちまくっちゃおうよー)


≪それも調査する必要がありそうですね≫


 よーし、じゃあ、逆回りで何体かやっつけて、それでも分布が変わらないか確認してみようか。

 エンカウント率によるっていうのも、まだゆーりの仮説にすぎないしね。




「……これは仮説の仮の字がとれちゃったかなー」

(撃っても撃ってもぜんぜん、エンカウント率かわらなーい)

 某国民的RPGのように、一定の範囲を行ったり来たりしながら敵を倒しまくってみたんだけど。

 ぜんっぜん、敵の数減らないってゆーか、エンカウント率が全く変わらないんだけどっ!

「ん、同じてきばかりでおもしろくない、かな。せめて色くらいかえるべきだとおもう、かな」

「ゆーりはのん気だね……」

 まあ、ジュ・トゥ・ヴーに乗って空中から一方的に撃ちまくってたら普通に楽勝だしね。

 敵の分布が均一で、しかも必ず1体しか出て来ないから、不意打ちの溶岩弾にだけ気を付ければぜんぜん怖くないし。


≪やはり、いったん戻って対策を協議しましょう≫


 そだね。じゃあ、いったんもどろー。

(弾薬補給しなきゃっ!)

 ああ、そういや撃ちまくってたしね。

 魔法の矢とかの方がコストかからなくていいんだけど、溶岩の塊みたいな敵なだけに、物理攻撃の方がなんか安心感あるんだよね。

(ショットガンばっかり撃ってたから、弾切れはやいのかもー)

 ライフルは要らなかったかもね。視界に入らない距離だとそもそも敵が出現してないし。


≪戻ったら近距離用の強力なハンドガンと取り替えましょう≫


(ショットガンのカートリッジ増やした方がいいかもー?)

 そういや、ボクたちの設定したマーカーでポータルとか使えるようになってるんだよね?

 影収納とかも普通に使えるレベルなんじゃ?


≪街のそばなら大丈夫でしょうが、この辺りではまだ不安定かもしれません≫


「それなら、今度はマーカー持ってきてあっちこっちにばらまこうよ。そうすれば影収納に詰め込めば残弾気にせずに撃ちまくれるんじゃ……って、あー」

 そういえば、ルイくんを闇影牢に閉じ込めっぱなしだったよっ!? あれから何時間たったっけ。

 今、ここで出すわけにもいかないし……もう少し我慢してもらおうかな。




「……あはっ、アユムさんの中、すごかったですぅ~」

「なんか誤解を招く表現はやめてほしいんだけど」

 闇影牢から引っ張り出したルイくんは、ちょっと人にはお見せできない恍惚とした表情でなんだかモジモジと悶えまくってた。

 顔が真っ赤で、なんかすっごくえっちぃ顔してる。

「真っ暗だけど暖かくって、身動きできないくらいぎゅうぎゅうにせまくって、ん、私、もう、アユムさんに包まれてるって思ったら、それだけでっ、うう~!」

「いやだから、誤解を招く表現はやめてほしいんですけどっ!?」


 まさくルイくん、闇影牢の中で変なことしてないでしょーね?

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