20、「新たな騎士っ!?」
掲示板を覗いたら、ルイくんらしき人とユキノジョウらしき人がボクの写真貼ってたので。
報復処置として、ユキちゃん→ユキノジョウの劇的びふぉーあふたーのスクショを貼り付けてやった。ってゆーか、未だにユキノジョウってばユキちゃんモードの時の魔法少女っぽい服着たまんまなんだよね……。
まあ、今、掲示板では島エリアで幼女化した姿の見せ合いっこみたいなのが流行ってるみたいだから、そこまでダメージもないでしょー。
でもって。
ルイくんはこっちでは男の子とはいえ、リアルは女の子だし。変な写真貼り付けるのもあれかなーって思って。
「ひゃ、ひゃーっ!? アユムさん、やめてくださいーっ!? ううーっ!」
「うん、オシオキだからあきらめて?」
うるうるとした涙目で逃げようとしたルイくんを操影術で拘束。
相変わらず信じられないくらいかわいいよね。でも。
「忘れなかったら、1、2時間で出してあげるね。【闇影牢】」
「あー……」
ちゅるん、とボクの影でルイくんを飲み込む。
「んー、やっぱりなんか、お腹いっぱいな感じ」
スズちゃんが泣いて許しを乞う、真っ暗地獄へご招待なのだった。
「あっはは、アユムちゃんはえっちだねっ! 男の子を咥えこむとかさっ!」
「……自称神様は変な言い方をしないでください」
影を伸ばしてみるけど、一応、運営側のキャラだしあっさり弾かれてしまった。
本当ならこの人にオシオキしたいところなんだけど、そんな場合じゃあないし、腐っても神様なので向こうが付き合う気にならないと、はっきり言ってボクじゃあまったく歯が立たないのだった。くやしー。
所用を片付けたので、再び艦橋で作戦会議。
自称神様が腕組みしてむふー、と鼻息を荒く吹きだした。
「さて、というわけで今後の方針なんだけど。何人かで戦艦ヴェータの方に行きまっす。どこまであたしの力が通用するか不明なとこがあるんだけど、乗っ取られないように対策をしなきゃいけないんだよね。あんまりぞろぞろ行くのもあれだし、たろーくんはこっちの船護って欲しいからお留守番ねっ?」
「了解です」
中華な幼女の太郎さんが頷く。
開発の人だし。太郎さんも色々出来るのかな。
「なぃあちゃんも艦長さんだから残ってもらうとして、アユムちゃんたちは来るよね? あとマキちゃんも」
「当然だ。さっきは結局シスタブでちょっと話しただけだったからなっ!」
MK2が頷く。見た目はねこみみ幼女なアヤノちゃんモードのままなのに、ネーアちゃんが絡むとすぐにいつものMK2になっちゃうよね。
……リアルは大人しめの小学生女子なのに、なんで素がこうも男前なんだろう。
「なぃあーつぇはかんちょうなのでもんだいないが。またあゆむとバラバラなのはすこしさびしくはある」
「ごめんね、なぃあちゃん。このバタバタ終わったら、どこかがっつり冒険しよう」
「うむ。しょうせつのネタがそろそろつきてきたからな、ネタをしいれたいところだ」
あー、そういや最近ナィアさんとは別行動が多かったからね。
「うん、灼熱エリアでそのまま遊んでもいいんじゃないかな? 火山とかあるし温泉なんかもあるのかなー?」
「ふむ」
「温泉っ! 入りたいっ!」
なぜかファナちゃんが反応した。
「こらこら、ハナちゃん。まだ全然片付いてないんだからまずは目の前のことからやろうねっ!?」
「はーい」
自称神様に突っ込まれた。
「でも全員で温泉とかイイネ。とっとと解決しよっ! おいしーお酒とか飲みたいねっ!」
なし崩し的に温泉で打ち上げが決まってしまいました……。うふふ。
「あー、ところで神さん、オレらはどーしたらええんや?」
キューちゃん? そういやまだ名前上がってなかったね。
「んー、キューちゃんは戦艦ヴェータとドンパチやってたし、さっきもノリで侵略しかけたからお留守番かなー?」
「ぐぬぬ、まあええわ。あ、んじゃ、ちょっと思ったんやけど。アユムのロボこぴーしてええか? こっちの船の守りに付くからにゃ」
「え? コピーってどゆこと」
思わず何度も瞬き。
「あん? ぬこぴー兵とかどうやって作ってるともってんのや? ウチのぬこどものコピーやで? ミニUFOだって以下同文ってやつだにゃ。ってわけで、ロボの一匹や二匹簡単に増やせるで?」
「……増やせるんだ? ってゆーか、シェラちゃん居ないと動かせないと思うんだけど」
シェラちゃんを見ると、「ピ!」と当然ですとばかりに頷いた。
けど。
「ウチのぬこどもは優秀やからにゃ。三匹おれば大概なんでもイケル」
「そんな適当なー」
「世の中、わりとてけとーで何とかなるもんや。まあ、試さしちくりー」
「んー。まあ、試すだけなら……」
「あー、それ増やせるなら俺も乗ってみたいんだけど。だけどっ!」
太郎さんがなんだか目を輝かせて体を乗り出してきたんですけど。
「おう、材料が足りたらもう二、三機いけんじゃね?」
……というわけで、みんなでぞろぞろと格納庫へ向かうことに。
「ちゅーわけで黒ぬこ、頼むで」
「にゃー」
ジュ・トゥ・ヴーは巨大バスルームから、格納庫の方に移動させられていた。
ボクが乗っていないから、最初に見たときの美術品みたいな鎧に戻っているみたいで。
そんな鎧に黒ぬこちゃんが、ぺたりと手を触れる。
「おう、黒ぬこ。ここに置くでー」
「にゃー」
キューちゃんがそんな黒ぬこちゃんのそばに、どこからともなく取り出したミニUFOの残骸みたいなのを積み上げる。
「黒ぬこはにゃ、錬金術が得意なんよ。黒ぬこだけに黒魔法とかも使うけどにゃ」
「錬金術? 金でも作るの?」
「作れるで? 鉛を金の塊とかに変換とか出来る」
「マジですかっ」
「おう、ただし作るのに、目的のと同じ重さの金が必要なんだけどにゃ」
「……それ意味なくない、キューちゃん」
「まあ、てけとー錬金術やからな。これのすごいとこは、右手のアイテムと左手のアイテムの形や性質をアレコレできるとこやねん」
「んー?」
「形を同じにしたり、性質をコピーしたり、あるいは二つを混ぜこぜにして新しいモンこさえたりとかにゃ。まあ今回はミニUFOの残骸を鎧の形にする感じやわ」
「にゃー!」
黒ぬこちゃんが強く鳴いたら。
ミニUFOの残骸がぐにゃりとゆがんで。
「わー」
ジュ・トゥ・ヴーにそっくりな鎧が出来上がっていた。
細かな意匠が違っていて、さらには白銀のジュ・トゥ・ヴーに対してミニUFOの金色になっている。
「んー、サティつながりでジムノペディって感じかにゃ」
「キューちゃん、サティつながりって、どゆこと? サティってなに?」
「あん? アユムは知らんで乗ってたんか。エリック・サティって作曲家やねん。前、話聞いたヴェクサシオンとか、ジュ・トゥ・ヴーとか、サティの曲やろ? 名前でググればわかるけど、どっかで聞いたことある曲だと思うで」
「へー、そうなんだ?」
ジュ・トゥ・ヴーってなんか響きが好きだなーとかしか思ってなかったけど。
「ちなみにジュ・トゥ・ヴーはフランス語やな。”お前が欲しい”とか”あなたが大好き”とか訳されるらしいで? byうぃきぺでぃあ、ってなー」
「……」
思わずシェラちゃんの方を見る。
「ピ!」
にっこり微笑んで、肯定されちゃった。
「ところでもう一機くらいつくれないのかなっ!? キューさん」
「キューさんとか、なんか一休さんから一どけたみたいな呼び方はなんか落ち着かんからヤメレ。キューちゃんでええから。あと材料がたらんからもう一機は無理っぽいにゃ」
「そこを何とかっ!」
「わりぃにゃー。とりあえず動かしてみたいからあとでナー」
太郎さんが食い下がるけど、キューちゃんは自分が乗る方に気を取られてるみたい。
「おし、ぬこども、フォーメーションZやっ!」
「にゃー」
「みゃー」
「にぅ!」
黒ぬこちゃん、白ぬこちゃん、三毛ぬこちゃんが猫モードになってキューちゃんの頭の上、両肩にちょこんと飛び乗った。
「ふぇーど、ふぇーど、ふぇーど、いーん! やっ!」
その状態でキューちゃんが両手をあげると、金色の鎧ジムノペディからみょみょみょ、と光が伸びて来て。キューちゃんが光につつまれて、吸い上げられるようにして鎧の中央に収まった。
「……キューちゃんやっぱ歳ごまかしてるよね?」
どう見ても、ボクだって古い某ロボットゲームでしか見たことないようなロボットアニメの搭乗シーンだし。というか、ジュ・トゥ・ヴーにも同じ仕組みとかあるんだろうか。キューちゃんがノリでやってるだけにも見えるけどっ。
「オレ、中身はおっさんやゆーたろが」
にやりと笑ってキューちゃんが鎧の中に消える。
と同時に、金色の鎧の各部が変形を始めて。
その姿を、キューちゃんそっくりに作り変えてゆく。
ボクの時よりも、さらに鎧部分が少なくなって、そのくせボクとは違って裸ってわけでもなく、なんてゆーか魔法少女っぽいドレスのような感じになっている。
なるほど、自分のイメージで調整されるのであれば、服を着た姿を想像していればその姿になる、って感じなんだろうか。
「……ん、どや?」
変形が終わったキューちゃんが、巨大な姿でぱちんとウィンクした。
「ところで、キューちゃん」
「おう? なんか変か?」
「……服着たままの姿に変身してるのに、なんでぱんつ穿いてないのさー」
スカートの下はボクの時の絆創膏と変わらないレベルなんですがっ。
「そりは仕様だからだにゃー。穿いてナインよ」
どんな仕様ですかー。




