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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第四話「セカイを救っちゃおう!」
134/228

10、「ようじょのくにへようこそ!」

 ……遅くなりました。

「えへへー。すりすり」

 幼女化したグレちゃんを抱きしめて頬ずり。

「……ぐぬぬ、アユムめぇ」

 グレちゃんはボクの手から逃れようとじたばた暴れるけれど、現地の人は幼女化すると無力化、ということでグレちゃん必殺の雷の魔法も飛んでこない。

 そういや、魂の煉獄エリアのゼノちゃんも普通サイズだったけど、イズミちゃんがいろいろイタズラしまくるせいで結局最後まで変なことできなかったなーとか、思い出した。

 ギルドに残ってた人たちは幼女化したらほとんどがリターンで離脱しちゃったので、占拠するのにぬこぴー兵の数が足りなかった。だから、シェラちゃんはちょっと遠征してくると出ていってしまったので、ボクを止める人は誰もいないのだった。うふふ。

「人形サイズのグレちゃんも、ぎゅーってしたらすっごく落ち着くけど。普通サイズだともっとイイネ!」

 いけないとこころに手を伸ばすのは、流石にアカバンされちゃいそうだから止めとくけどね!

「アユムの、バカー! 変なとこ触ったら許さないからねっ? わたしはノーマルなんだからっ!」

「……その辺にしとけよ、アユム。つーか、いくら女同士つってもでも限度があんだろ」

 幼女化光線銃を構えた幼女化アンジーがため息を吐いた。

 幼女化自体が種族変更みたいな状態異常らしく、樹人族の特徴は消えて普通の人間の幼女になってる。髪の毛が普通に生えてるし、もしかしたらアバター自体が別物だったりするのかも。

「あれ? アンジーは女神側じゃなかったの? リターンで離脱すればいいのに」

 ボクの邪魔をしないでくれたまへっ!

「残り十五分ちょいだからな。女神ポイントかせげねぇなら、せっかくならぬこぴー兵のカードを確保してぇ」

 なるほど。

「ん、じゃあ、上官命令でアンジーにもイタズラしちゃおうかなー」

 意外にかわいいんだよね、ちみっこアンジー。幼女なんだけど、なんかキリリとしててちょっと男前。

 へいかもーんと腕を広げたら、アンジーがそっぽ向いた。

「アホ、オレは中身男だぞ。そんな恰好で抱きしめたりとかすんな、はしたねぇ」

「……あれ、アンジーって意外に紳士?」

「オレぁ、ロリコンじゃねーだけだ。お前がむっちむちのぷりんぷりんだったら胸に顔うずめてウハウハいってたかもな!」

 おおう、おっぱい星人でしたかー。

「樹人族の格好は、やっぱり趣味かー。自分でおっぱい揉んでみたりした?」

「いや。正直自分のだと面白くねぇ……って何言わせんだよ」

「あはは、やっぱりやるよねぇ。って、んー?」

 ってゆーか、今気が付いたけど。

 アンジーはぬこぴー兵になったのに、他の子みたいに「上官殿~!」って感じにならないのはなんでだろ。ギルドで幼女化した他のぬこぴー兵は、ボクの後ろに並んで命令待ち状態になってるのに。

「ところでアンジーってなんで普通に喋ってるの? 幼女化するとロボットみたいになるはずなんだけど」

「ん? ああ。さっき掲示板で知ったんだが、志願兵って仕組みがあるらしくてな」

「……志願兵?」

「おう、魔王側につくにゃあ、ぬこぴー兵のカードがなきゃダメだろ? だが、最初は撃たれなきゃカードを得られねェ。けど、撃たれた状態だと自由に動けないだろ? だから、魔王側に付く、と選択すると志願兵扱いになってある程度自由に動けるようになるらしくってな」

「へー?」

 そうすると、もしかして上官殿~って言ってた子たちって、志願兵だったのかな。サバゲー好きとかそう言う感じの。自分から撃たれに来た子も結構いたみたいだし。

「あ、ほんまや」

「身体動くようになったぜー」

 ボクの後ろに居たぬこぴー兵の子たちも、動けるようになったみたいで、ぴしって敬礼してにこにこ笑ってた。

「んー、じゃあ、残り十五分、しっかりギルドをまもろー!」

「おー」

「おー」

「おうよ」

 アンジー達が光線銃を構えて、ギルドの入り口を固める。

 そろそろシェラちゃんも戻って来るかなー。

 抱きしめていたグレちゃんを解放して、ボクもギルドの入り口に向かおうとして。

「……え」

 オサちゃんの生首が、床に転がったままなのに気が付いた。

「え、ちょっと、え? オサちゃん、光の粒になって消えてない? まさか、本当に死んじゃってたり」

 オサちゃんはルラレラティアに住んでる。つまり、現地の人扱いになるんだろうか。

 なら、もしかして。

 ほんとうに、死んじゃった、とか。どどど、どうしよう。

「……ん?」

 今、ぴくってオサちゃんの目が動いたような。

 口が、ぱくぱくって。

 なんだろう。

 ご、め、ん、な、さ、い?


 ――背後で何か気配がした、と思ったら。



「おかえり、アユムちゃん。惜しかったねー」

 気が付いたらプライベートルームにいて、ハーマイオニーちゃんが出迎えてくれた。

「……あれ? ボク、もしかしてやられちゃった?」

「そだねー。オサちゃん?の死んだふりに騙されたね」

「うわー。あー、もしかして、オサちゃんが持ってるって言ってた飛頭族のカードって、ほんとに首飛んじゃうの?」

「そだよー。斬られる前に、自分から分離してたってわけだね」

「してやられたって感じかー。くやしー」

 完全に勝ったつもりで油断してたかなぁ。

 ぬこぴー兵も少ししかいなかったし、ギルドはオサちゃんに取り返されちゃっただろうなー。

 ドアに触れてみるけれど、まだ侵略時間中みたいで島には入れなかった。

 とりあえずシスタブでファナちゃんにやられちゃった、と送っておく。シェラちゃんはタブレット持ってないんだよなぁ。神殿に行けばたぶんもらえると思うんだけど、いつも一緒にいるからついつい忘れちゃう。

「はー……」

 シェラちゃんも居ないので、自分でお茶を淹れてふう、と一服。

 デスペナ直後ということもあって、しばらくボーっとしているうちに侵略戦が終わったみたい。

 シスタブにキューちゃんから連絡があった。

『おう、アユム! あんがとな! おかげで勝ったでー』

「え、そうなんだ? ボク途中でやられちゃって最後どうなったのかわかんなかったんだよね」

 死人に口無し、というかデスペナ中はいろいろ制限されててファナちゃんとかからも返事届かなかったんだよね。

『あん? アユムはやられたんか。今回MVPはメイドちゃんやで』

「おー。じゃあ、あれからシェラちゃんがギルド取り返したんだ?」

『細かい状況はシラネ。メイドから聞いてくり。オレはこれから議事堂占拠して魔王城にすっから、あとで来てくれなー』

「わかったー」

 通話を終えたら。

「ピ!」

 ってシェラちゃんが帰ってきた。

「ごめんねシェラちゃん、ギルド守れなくって」

「ピ!」

「うん、シェラちゃんが取り返してくれたんでしょ?」

「ピピ!」

 シェラちゃん、影族のカードが使えないから瞬時に合流は出来なかったけど、ボクがやられちゃったのは把握してたみたい。すぐに、ぬこ部隊をまとめてギルドを奪還したんだって。

 オサちゃんも、天使ひとりで50人を超えるぬこぴー兵には対抗できなかったみたいで、やられちゃったみたい。

 オサちゃんにも連絡しとこうかな。

 シスタブを手に取ったら、ファナちゃんから連絡が来た。

『アユム、だいじょぶ? やられちゃったって』

「うん、オサちゃんにだまし討ちくらっちゃったー」

『そうなの? ログインしてるなら、みんな呼んで反省会とかする?』

「あ、それいいかもね。キューちゃんが議事堂を魔王城にするとか言ってたし、そこ集合で」

『りょうかーい』

 というわけで、侵略戦に参加してたと思しきメンバーに一斉メッセージ。

 見かけなかったけど、ユキノジョウもログインしてたみたいだからついでに送っておく。

「あー。あとなぃあちゃんもかな」

 敵側で戦ってたって言ったら怒りそうだけど。議事堂で会おう、って連絡を入れておく。

「じゃあ、行ってくるね、ハーマイオニーちゃん」

「いってらっしゃーい」

 って、あれ?

「ハーマイオニーちゃんが幼女化してるっ!?」

「あー。島エリアが魔王に占領されたからかなー」

「そうなの?」

 そういえば、魔王に占領された島がどうなってるのかも気になるよね。

 キューちゃん、全員幼女化してぱんつ着用禁止とかいってたけど。

 とにかく、行って見よう!




「……どこを見回しても幼女だらけ」

「ピ」

 まるで小人の国に、いや幼女の国に迷い込んだような不思議な気分。

 いや、ボクたちもぬこぴー騎士のまんまなんだけどね。

 まあ、眺めてないで議事堂に向かわなきゃ。

 シェラちゃんと手をつないで仲良く歩いていると、姿が変わった仲間同士で、なんだかきゃぁきゃあ、とかわいらしく騒いでいるのが見えて微笑ましかった。

「おまえ、かわいすぎんだろ」

「おまえこそマジ幼女!」

 顔を見合わせて笑い合うおふたりは服装もそんな感じだし、元男同士かなー。

「……」

 なぜかもじもじとスカートの前を押さえている子もいる。

 スカートだから元々女の子かなー、って思ってたら、ぴゅーって風か吹いておしりがぺろんって見えた。

 ……ぱんつ着用禁止とか、マジだったんだー。

 ボクやシェラちゃんはレオタードだから、違いがないけどね。

 ぬこぴー騎士とかのカードって、レオタードまでがセットになってるから脱げないんだよね……。

 幼女になっていちゃいちゃは、ちょっと不自由だったりする。



「あ、アユムー」

 議事堂の前には、ファナちゃんとダロウカちゃん、まおちゃんが待っていた。

 三人ともぬこぴー兵のカードは外して来たらしい。ファナちゃんおぱんつ大丈夫なのかな。スカートみたいだけど。

「ファナちゃん! ダロウカちゃんにまおちゃんも。ポータル押さえてくれてありがとね」

「うむ、わりとわたしは頑張ったのではないだろうか」

「勝ったねー!」

 ダロウカちゃんとまおちゃんはガッツポーズ。

 そこに、空からいきなり飛び込んできたのが天使モードのイズミちゃん。見た目はちみっこになっている。空を飛ぶせいかズボン着用なのがとっても残念。

「ぐぬぬ、負けたわっ! メイドちゃんは、強すぎッ!」

「もー、二葉はまたひとりで特攻するー」

 オサちゃんもふわりと天使モードで降りてきた。こちらもちみっこだ。

「ほほう、もしかしてそれは女神側の天使カードだろうか、ふむー」

 ダロウカちゃんが興味深げにイズミちゃんたちの羽を見つめる。

「くすぐったいからベタベタ触らないで欲しいんだけど。代わりにあたしもあなたの身体を触りまくってもいいかねっ!?」

「イズミちゃん、押さえてー」

「なによー。羽さわらせるのと交換条件なんだしいーじゃないのよっ!?」

 ほんとにもう、所構わずセクハラしようとするんだから。

 それにしても。

「女神側のって、侵略中以外でも空飛べるんだ? いいなー」

 ぬこぴー兵の武器は侵略中じゃないと使えないんだよね。

 それに天使カードは種族カードとは別物なのか、幼女化してるのに羽生えてるし。

「あん? 天使カードはEXカードだから、そゆの関係なしに使えるのよ。有翼族が付けたら羽四枚になるんじゃないの? 知らないけど」

「……そうなんだ?」

 EXって、ゴッド・ジーラ人形とかみたいなオプション枠?

 ぬこぴー兵は他のカードを全部使えなくするから、さすがに併用は出来ないと思うけど。

 女神側のカードも欲しくなってきたなー。

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