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ボク的セカイの歩き方  作者: 三毛猫
第四話「セカイを救っちゃおう!」
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 6、「ようじょばーさすようじょ」

「――あ。なぃあちゃんに連絡するの忘れてた」

 ポータルへ移動しようとして気が付いた。

 ナィアさんともしばらくぶりの冒険だったし、今日は一緒にいろいろするつもりだったのにすっかり忘れてた。どうしよう。

「……なぃあちゃんは、野井さんとこに任せとけば大丈夫かなぁ」

 とりあえず、魔王侵略戦のものすごく大ざっぱな内容をシスタブでナィアさんにメッセージで通知。

 敵は概ね三か所の重要拠点を狙ってくるということ。

 だからボクとファナちゃんはポータルのある神殿に向かうこと。

 なぃあちゃんには野井さんやネーアちゃんと一緒に戦艦ヴェータで巨大UFOと戦って欲しいこと。

 それから一緒に戦えなくてごめん、と。


 ……嘘はついてないけど、報酬欲しさに敵方についたとは言えないよねぇ。


 なぃあちゃんからは、「艦隊戦は久しぶりで血がたぎる。アユムも頑張れ」と返ってきた。

 うん、まあ、楽しんでください。




 なぃあちゃんに連絡とかしてたら、かなりギリギリの時間になってしまった。

 慌ててドアをくぐってポータルに向かうと。

「アユム、おっそーい!」

 にゃんこな天使が待ってたよ。わーい。

 お耳は片方が白、もう片方が茶色で、しっぽが黒の三毛にゃんこ。

「ファナちゃんかわいい!」

「ピ!」

 思わず抱きしめてぎゅーってして、さらにぎゅぎゅー。おまけにしっぽもさわさわ。

 問答無用でお持ち帰りして頬ずりしながらお休みしたい。

「もー、アユムったら。しっぽくすぐったいからやーめーてー」

 ため息交じりでファナちゃんもぎゅーを返してくれる。

「えへへー。やめませーん」

 おまけとばかりに、ファナにゃんこのほっぺにちゅってしてぺろぺろ。

 このくらいはいいよね? そろそろこのくらいのスキンシップは許されると思うのです。

「はんげきだー!」

 って、ひゃあ。ファナちゃんもボクのしっぽさわさわしてきたっ!?

 これ確かにくすぐったい。ってゆーか、お尻触られてるみたいなかんじがする。

 なんかちょっとムラムラしてきたかも。

 チュ、とついばむようにキス。

「……えへへ」

「……もー、アユムったら」

 よし、ファナちゃん怒ってないよ! せーふ。

 それにしても。ファナちゃんは元々見た目が小さいせいか、あんまり背の高さが変わらない。

 ボクはすっかり幼女になっちゃってるから、ファナちゃんの方がお姉さんに見えるくらい。

「幼女化にも違いがあるんだねぇ」

「わたしちっちゃいころは成長早かったし、そのせいかなぁ」

「あー、そうなんだ?」

 なるほど、ぬこぴー兵は職業カードじゃなくて種族カードだし、そう言うところはやっぱり人によるんだね。

「ピ、プー」

 あれ、なんかシェラちゃんが。

 ボクたちの腕をくいくいって引っ張ってる

「どしたのシェラちゃん?」

「プ」

「え? あ」

 言われてようやく気が付いた。ポータルなんていうとにかく人の出入りが多い場所で、ぬこぴー兵の格好で戯れている幼女三人とか。目だってしょうがないよねっ!?

 ボクだったらスクショ撮りまくるし。


「……尊い」「かわいい」「お持ち帰りしたい」「アレ、こないだのイベキャラ?」

「イベ通知あったっけ?」「あ、これから始まるのか?」「白ぬこたんハァハァ」

「オレ、迷彩にゃんこがいい」「NPC?」


 ざわめく様な声と、突き刺さる視線。

 もー、シェラちゃんもファナちゃんもボクのだからね!

 じろりと周りを睨み付けてから、そそくさと端に寄ったそのとき。


”――おう、おまいら! また遊びに来たでー!”


 キューちゃんの侵略宣言が島中に響き渡った。

「はじまった!」

 ファナちゃんが幼女化光線銃を顕現させる。この銃って侵略時間中じゃないと使えないんだよね。

「ファナちゃん、シェラちゃん、作戦はこう。たぶんすぐに情報が広まってポータルから続々人がやって来るから、とにかく撃ちまくりっ! 以上! ポータルはボクたちで落とすよっ!」

「らじゃー!」

「ピ!」

 ボクも幼女化光線銃とニャン鉄剣を顕現させる。

 あ、剣は出したら自動でチャージ始まるんだ。

「わははー! 撃ちまくれ~!」

 銃を構えてさっそく一発!

「のわっ!?」

 近くにいたプレイヤーが、ぽん、と煙を上げて幼女化する。

「あはは、ばきゅーん! ばきゅーん!」

 ファナちゃんは連射が効くように調整したのか、瞬く間に三人ほど幼女化する。

「ピ――――!」

 シェラちゃんは大出力の光線で、横なぎになぎ払ってあっという間に十数人も幼女化した。

 ボクだけ負けてるっ!?


「え、そゆのありかよっ!?」「ポータルで待ち構えてるとか卑怯くさくね?」

「ぬこかわええ」「オレも幼女にしてくれーっ!?」「白ぬこたん、オレを撃ってくれ~!」

「く、かわいすぎてこんなの攻撃とかできねぇ」「こいつらイベ開始前からいなかったか?」


 ようやく動きはじめたプレイヤー達だけど、突発的に起こってるし慣れないイベントで何をすればいいのかわかっていない人が大半で、おろおろするばかり。

 ええっと、ボクもちょっと調整しちゃおう。

 銃のダイヤルを回して単射から連射に変える。ってゆーかボクの銃だけなんか実弾っぽい?

 ファナちゃんのとシェラちゃんのはびーむみたいの出てるのになぁ。

「よしっと! くらえー」

 見よう見まねで腰だめにかまえて、引き金を引く。

 パララララ、と軽い音がして銃弾がばらまかれて、瞬く間に周囲を幼女に変えてゆく。

「あー、なんかアユムずっるーい。わたしも機関銃っぽく撃ちたい~」

「魔法騎士だと銃は三連射止まりなの? だったら魔法撃ったら?」

「そうするー!」

 ファナちゃんが魔法のステッキ振り回すと、光の輪がファナちゃんを中心に広がって、プレイヤーを幼女化してゆく。

「確か五十人くらい幼女化で占拠できちゃうんだっけ? これならすぐかなー」

「んー、半分くらいはリターンで帰っちゃたかも」

「あー、そうなるかー」

 そうなるとリターンで逃げられない現地の人を狙う方が効率がいいんだろうけど。

 プレイヤーを撃つのと違ってかなり心情的に抵抗があるし、島にも増えてきたとはいえまだまだプレイヤーの方が多いからなー。

「ん?」

 気が付いたら、幼女化したプレイヤーがボクたちの後ろで整列していた。

「ご命令を! 上官殿!」

 にゃんか、幼女がせいいっぱい胸を張って、整列してるのがかわいい。

「あ、ボクたち上官扱いなんだ? 上意下達があるぬこぴー兵に命令できる?」

「あ、じゃあ、ファナ三毛ぬこ小隊は全員で神殿の入り口封鎖に行くね! 向こうも塞がないと」

「お願いファナちゃん! こっちは新規プレイヤー押さえてる。アユム黒ぬこ小隊は現状維持、プレイヤーを発見次第発砲!」

「ピ! ピピピ!」

「うん、シェラちゃんは神殿内巡回と制圧をお願いね。ここはボクと、追加される黒ぬこ部隊でおさえるから」

 パララ、と撃ちまくりながら手早くぬこぴー兵に指示。

 やっぱりぬこぴー兵のカード欲しい人多いんだね。



 しばらくはこちらが優勢。五十人はとっくに超えてると思うけど、これを侵略終了まで維持しなきゃいけない。

「撃て撃てーって、あっ!?」

 ボクの撃った弾が、カキンと音を立てて弾かれた。

 【護りの盾】だ。

 情報が出回って、魔法使った状態で転移してきたっ!?


「よし、黒ぬこのは実弾系ってのは本当だったな。物理で弾ける」

「後続続け―! 一気に取り返すぞ!」


 うわー! カモ撃ち状態だったのに、敵が落ちなくなっちゃった。どうしよ。

 ぬこぴー兵のカードは他のカードの効果を全部使えなくするから、いつもの影を使った戦法も無理だし。シェラちゃんかファナちゃんを呼び戻して。

 いいや、ここはボクが押さえなきゃ。

 ちょうどチャージのたまってるしねっ!

「アユム黒ぬこ中隊は援護おねがいっ!」

 銃をしまって、背中に背負った剣の柄を握る。


「うおおー! にゃんてつけん!」


 黒ぬこ幼女ボディは、しなやかでばねがあって、リーチが短いのは難点だけど思った以上に身体が動く。

「うお、なんか幼女がつっこんできたっ!?」

 驚くプレイヤーに、にっこり微笑んで。


 ――抜刀。


「またつまらぬものを斬ってしまったー」

 かちん、と鞘に納める。

 あらゆる防御を無視できるのと説明にあった通り、護りの盾ごとずんばらり。

 剣の届かないはずの場所まで切れちゃってるのは謎だけどおいしい。

 斬られたプレイヤーがぽぽぽん、と幼女化して。

「く、リスポーンキルとは卑怯ではないだろうかっ!」

 ひとりだけ耐えきったその姿は。

「……ダロウカちゃん?」

 あ。もしかして、ニャン鉄剣の注意書きにあった、ただし幼女には傷ひとつつけられないって、あれのせいでダロウカちゃんぬこぴー兵にならなかったってこと?

「アユム殿か。なぜ敵方についているのか理由は聞かないが、いささかイヤラシイ戦術には文句を言わせてもらえないだろうか。イベントに参加すらさせてもらえないのはひどすぎる」

「あ、だってやるなら勝ちにいかなきゃ。ダロウカちゃんもほら、ぬこぴー兵になってカードゲットしない?」

「あいにく、私は女神側の報酬にも心惹かれている。上官クラスを倒せばカードをドロップすることがあるというが、アユム殿を倒せばゲットできるのだろうか」

「それは、わからないけど。実験に付き合う気はないかなー」

「では、いざ、尋常に勝負といこうではないだろう、かっ!」


 ダロウカちゃんの周囲に、10個近くも光の玉が浮かんで。

 一気にボクに向かって飛んできた。


「かげいどー、って、あーっ!? 使えないんだったっ!?」


 ぬこぴー騎士のカードには防御手段や回避手段がぜんぜんないんですけどっ!?

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