オレはメイドを組み敷いた
「ん、ぁん……もっとぉ」
オレの下で、メイドさんが肢体をくねらせる。
枕を2つ挟んでも全然高さが足りずに、大きすぎる胸が潰されて横にはみ出しているのが上から分かる。
しかもその横乳が、オレが揉むのにあわせてひしゃげ、形を変え。
どんだけえろいんだ。ちくしょう、どんだけえろいんだ!
「ご主人、さまぁ……もっと、もっとしてぇ」
ひどく悩ましげな声を漏らし、枕に押し付けたままオレに流し目をくれる。
なんというか、本当にえろい。たまらない、もう兵器が平気じゃない。
うおおお、違う、違うんだ!
イヌイねこねこ三ねこねこ、あわせてねこねこ六ねこねこ!
「いぃの、きもちいいのぉ……ご主人さまぁ、もっとぉ、もっと私のこと強く揉んでぇ」
う、うあああああ!
という戦いがありました。
組み敷いて背中に少し乗ったけど、肩を揉んだり背中を押しただけである。もう、こてこてにお約束。
マッサージという名のご奉仕を終え、両手と膝をついて荒い息をつくオレ。
だがメイドさんが忍び寄ってきたのであわてて起き上がって距離を取る!
だめだ、オレは負けない、負けないんだ!
「うふ、素敵でしたわ、ご主人様。
新しい、いい絵も撮れましたし、ね?」
「もう勘弁して下さい」
スマホっぽい道具を手に、それはもう飛びきり魅力的な笑顔で微笑むメイドさんに、疲れた声で白旗を振る。
「ご主人様ったら、つれないんですから。
でも、約束は約束ですもんね。ちゃんと働き者の下僕さんのお手伝い、して差し上げますわ」
オレの様子に小さく苦笑しながら、メイドさんはオレの依頼を快く引き受けてくれた。
良かった……
メイドさんへのお願いに対する対価のマッサージは、ご褒美どころか地獄の苦しみでした。とだけ記しておこう。
鋼の精神が鍛えられつつあります。レベルアップした気分。最近何だか、身体が軽いというか活力がみなぎるし。
精神を落ち着けて待つこと、2、30分程。
オレが頼んだものを持って戻ってきてくれたメイドさんから、感謝と共に品を受け取る。
「ご主人様の世界と違うものもあると思いますが、よろしいでしょうか?」
「問題ないよ、そこはどうにか工夫してみる。
どうもありがとうね」
「このくらいでしたら、お気軽にお申し付け下さいませ。
喜んでご協力させていただきますわ。ご褒美をいただくために」
満面の笑みで、わざわざ腕で胸を絞り出すように強調してみせるメイドさん。
「は、ははは……割引してくれると助かるんだけど……」
刺激の強すぎる光景にひきつった笑いを返しつつ、目だけは釘づけですいません。
いや、見ちゃうって、勘弁してくれって!
「い・や・で・す♪
ご主人様は私の下僕ですから、いっぱいこき使いますからね」
残酷な返事を可愛い声で囁くメイドさん。
ああ、心が溶かされそう……負けない、イヌイぴょこぴょこ三ぽこぴょきょ!
「それではまた、いつでもお申し付け下さいませ。
ちゅ」
身長の関係で、洋服に覆われた胸元にキスすると嬉しそうにメイドさんは去っていった。
「う、うあああああ!」
オレは、叫びながら転がることしかできなかった。
やべえ、あのメイドさんやべえ!
魔王様よりやべえ、いっそあの子が魔王だ!
背が同じくらいだったら良かったのに、いやそうじゃないやばいやばいうああああ!!
ああああ、叫びながら転がるしかああもういっそうああああメイドさんがメイドさんが!
暴走気味に頭を抱えつつあーだこーだと心の中で妄想が破裂しそうに―――
部屋に置いてあるタイマーの電子音が、イヌイさんの食事時間を告げる。
「あ、イヌイさんの食事時間だ」
オレはメイドさんから受け取った品を部屋に置くと、イヌイルームの隣の食事の用意部屋に急いで向かった。
「今日はどのご飯にしよっかなー。
エビがいいかタイがいいか、マグロにするか……いや、今日は珍しいところでクジラにしてみるか?」
新しいご飯を出すと、最初は警戒するんだよね。
でも好奇心に負けておそるおそる食べてみるイヌイさん。
臆病さも好奇心も、食事する姿も全部可愛いです!
山のような種類の中から、今日出すご飯を選ぶ。
それだけでも、イヌイさんの反応とか、喜んでくれるかとか、わくわくとちょっとの不安が止まらない。
イヌイさんと一緒の生活をくれた魔王様には、本当に感謝している。
そのためにも、イヌイさんがご飯を終えたら部屋で頑張らないとな。
次回予告クイズはそのまま次へ先送りです。
新兵器、今回では登場しませんでした!
メイドシーンが一番進みがいいとか、いやそんなバカな。流石は魔王。
メイドさんによって倒されたのは人でした。
今回は合意の上なので、脅されたりしてませんけどね。
まさに、Win-Winの関係とかいうやつ。
横文字って難しいですね……