メイドがオレを落とすまで
「ご主人様は面白い方なのですね?」
「……え?」
予想外のメイドさんの言葉に、土下座をしたまま恐る恐る顔を上げる。
そこには、相変わらず輝くような笑みを浮かべたメイドさんが……いるはずなんだけど、胸が大きすぎて顔が見えません。ご馳走様です!
「知らないからこその事もあれば、逆にただの人間でありながら意志を示し。
魔王様には平然と口を聞きながら、メイドを相手に土下座をする。
不思議な方です」
あと、スカートの裾が短すぎて色々やばいです。
必死で、見たい誘惑を押さえつけて、額を床に打ち付ける。
「どうされましたか?」
「い、いえ、何でもないです、許しを請うばかりです」
自分のえろさを責めるべき?
いやいや、我慢できた自分をほめるべきだ。
オレ、すごい頑張ったよ、魔王様。
「そうですか。
顔を上げたままでしたら、またいい絵を撮って差し上げられましたものを」
「う、うぐ……」
「きっと、懲役、11年くらいです」
そんなに長くない、と思う。
「……もしかして、そんなに長くないとか、都合のいいこと考えてませんか?」
「いいいいえいえ、滅相もない」
何この子、どんだけ鋭いの!?
「ふふ、大丈夫ですわ、ご主人様。
たっぷりと、余罪をつけて差し上げますから」
「そんなとこ盛らないで!」
オレの必死な叫びに、面白そうな顔をしながらしゃがみこむメイドさん。
うん、きっと、いやぜったい、スカートの中見えてるはずだ。
必死で力を込めて額を床に押し付ける。
この頭は上げない。絶対だ!
「……ご主人様は、顔を上げて、メイドのことを見て下さらないのですか……?」
甘く可憐で、だけど寂しそうな声に胸が苦しくなる。切なくなる。
だが、これは罠だ、罠に違いない!
「ま、まずは許されるまで、顔は上げられません」
「まあ……素敵ですわ、ご主人様」
笑いながら、メイドさんが傍らにふわりと寄り添って
「まずは、顔を上げて私とお話して下さいな。
そうしてくれないと、今すぐポスターサイズに拡大印刷して地球のお部屋に送り込んでしまいそうで……」
「わ、分かりました」
顔を上げる―――が、ただ上げるんじゃだめだ!
目を閉じたまま、土下座を解除して立ち上がってから目を開ける。
よし、変なものは見てない!
「ふふ……おかしなご主人様」
「おかしくないよ、必死なんだよ!
肉体的に殺されるのは魔王様のおかげで慣れたけど、社会的に殺されるのは勘弁だよ、復活できないよ!」
思わず叫んだオレに、一瞬だけ驚いたように目を開くと
「……うふ、ふふふ、あはは。
やっぱりご主人様は、おかしな方ですわ」
とてもおかしそうに、どこか嬉しそうにメイドさんは笑い声をあげて。
その笑顔は、さっきまで以上にいきいきとして魅力的で、オレはそんな彼女から目を離すことが出来なかった。
オレの前に並べられた、オレとメイドさんを映した、少しだけ現実と違う気がする証拠写真。
……うん、これだけ並べられたら、間違いなくロリコンで犯罪者だわ。
冷や汗だらだらである。
「ご・しゅ・じ・ん・さ・ま?」
「は、はいっ」
主人とか、欠片も思ってないんだろうなー。
あはは、怖くてそんな事突っ込めません!
「これだけあったら、懲役何年くらいになるものでしょうか?」
「さ、さあ……」
怖いのは、犯罪者としての懲役期間じゃない。
社会的に、死ぬことなのだ。
「怖いのは懲役ではなくて、社会的に死ぬことなのかもしれませんけど」
「読まれてる!?」
やだこの子、鋭いよ、怖いよ!
でも可愛いよ、すごい可愛いよ!
「ふふ。
私、欲しいものがあるんです」
「うっ……は、はい」
きた、交渉きた!
「ご主人様が私の望みを叶えて下さるなら、この写真については処分しますわ」
ちょっともったいないな……いやいやいや、違うそうじゃない、処分でお願いします!
「ふふ。
私の写真をもったいないと思って下さるんなら、処分ではなく、ご主人様にお譲りします。
昼でも夜でもベッドの中でも、いつでも私の肢体を見て想って下さるなんて、私も嬉しくなってしまいますわ」
あの写真……いやだからそうじゃない、処分でいいんです処分して下さい!
ナニかに使おうとかそんなこと考えません、もういじめないで下さい!
「私、メイドという立場ですので、この城の中で一番低い立場なのです。
一応教えている子もいるのですが、それでもメイドですから」
それは、職業を考えれば、立場が比較的下になるのは仕方ないんだろうな。
「ですから……
恥ずかしながら私、一度、下僕というものを持ってみたいのです」
「……はあああ?」
色々ありましたが。
結局は、超絶美少女なろりメイドさんの、どこか寂しそうな姿に心討たれて。
魔王様の協力者にしてイヌイさんの世話役でありながらも、その身をメイドの下僕に落とされたのでした。
ほんとだよ!
脅されたから下僕になったわけじゃないよ、脅迫に屈したわけじゃないよ!
まして、超絶美少女の下僕なんて最高だぜひゃっほうとか思ってないよ!
いつも近くで、あの笑顔と香りと声に包まれていたら幸せで最高だとか思ってないよ、ほんとだよ!
あ、もちろん写真は約束通り処分して下さいお願いします!
そんなこんなで新キャラ登場、今度は爆乳ろりメイド!
えろ担当で、やりたい放題なサービスキャラです。
今後とも、えろさと下僕の振り回しっぷりにご期待下さい♪
メイドさんが出れば、サービスカットも多分あるよ!
それでは次回
『第五話 ~ 魔王が一歩を歩むまで』でお会いしましょう!
ついに、魔王様がイヌイさんと…… 大 歓 喜 !
「なんだか、当初のプロットと違う性格になってしまったといわれたのですが……
気のせいですよね?
写真はいつでもお守りとして肌身離さず持ち歩いておりますから、どうぞ末永く可愛がって下さいね、ご主人様♪」




