第六話 海藤成実家の静寂
「本?」
達也が聞き返すと、由香はさらに声をひそめる。
「うん、それが統一された本じゃないの。今あんたが言ったように歴代の校長の写真とか、学校の歴史とか、迷信の本とか……さっぱりわからないわ」
「……わかった。じゃあちょっとその本持ってきてくれ。今すぐそっちに行くから」
由香は達也に海藤成実の家への道を説明して、電話を切った。
達也の頭の中は、ただ海藤成実で埋まっていた。
副会長として、と言うのとは少し違う。そういうのじゃなくて、ただ、なぜ海藤成実が行方不明になる必要があったのか、今彼女が何をしているのかが気になったのだ。
要するに、個人的にそれを知りたいだけ。
「ほら、これにこれとか、これも」
海藤成実の家に来ると、いきなり由香が何冊かの本をどさっと出してくる。
「……こんな大量に、本が?」
それ自体不気味だな、と思いながらも達也はパラパラと本をめくる。
すると、不思議なことが書いてあった。
『汝、汝は生きるものであり、同時に死すものである』
その本には、他のページは普通の雑誌と変わりないのに、そこだけ何百年何千年と年代を過ごしてきたかのように黄ばんでぐしゃぐしゃになっていた。
「なあ進藤、これ……」
その時。
ピリリリ……
携帯の着信音がなって、達也はすぐに出る。
「もしもし?」
そうすると、乙葉の声が途切れ途切れに聞こえた。
「達……也。急いで……学校に来い……」
「乙葉か? どうしたんだよ――」
ブツッ
達也の顔色を見て、由香がすぐさま聞く。
「会長が、どうしたって?」
正直、達也にもわからなかった。