第四話 再び・生徒会室の静寂
「企んでた?」
達也が訳がわからないというように呟いた。
「……様子が変だったらしいの。心配して声をかけてみたら、変な事をぼやいてたみたい」
「変な事?」
由香は訝しげに言った。
「『あの計画は私にしかできない』」
達也は、それを聞いた瞬間、冷や汗をかいた。
きっと行方不明になったその日、海藤成実はなにかを実行しようとした……
そうなると、失敗した可能性が高い。
しかし、今のところ変死体とかの遺体は見つかっていないし、そういう情報もない。
「とにかく、もうちょっと情報を洗い出さないと海藤成実を追えないわ」
由香は目を細めて、覚悟を決めたように言う。
「遠藤はちょっと学園に戻って情報を探して。いい? 誰に邪魔されようと絶対何か見つけて」
「……わかった。んで、進藤はどうするんだ?」
すると、由香はさらりと言った。
「もうちょっと情報を探ってみる。絶対にこれは何かあるわ」
そうして、由香と達也は急いで自分の仕事にとりかかった。
「……やっぱり、この方法しかないな……」
誰もいないはずの生徒会室には、生徒会長・真藤乙葉が本をパラパラめくっていた。
そして、乙葉は何の感情もない顔に、少し不安をにじませている。
「お互い、命をかけた戦いだからな、達也には悪いがしょうがない……」
乙葉はそう呟いてから、何事もなかったかのようにまた単調な作業を繰り返す。
それは誰も知らない、乙葉の『覚悟』だった。