運び屋の休息時間…… 3
季節は夏。
夏と言えばあなたは何を想像するだろうか?
まあ………例をあげてみる。
例えば……。
例えば………
………………………………あなたも、そうやってイメージを広げてみてはどうだろうか?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『いらっしゃいませ!!』
『ありがとうございました!!』
これは、僕が店をやっていても欠かさずに言う。
まあ………言わない店なんてないよね?
だから、今日も客にはいい店だなと思ってくれるように挨拶を続ける。
挨拶は、多分魔法の言葉なんだろうね。
ガラガラ………
おっと………
僕は、客が扉を開けた音がしたので…表に出ていく。
「いらっしゃ……って…ひ!!」
すると………
「正直に答えなさい……… 光が来てるでしょう?」
何故か突然……首にナイフを突き付けられた…………
先輩が来てる?
いや、居るけどさ………鮪を食い終わってから長椅子をひとつ占領して寝てるよ。
てか、ある意味営業妨害だよね。うん……
「まず、お名前を教えもらって良いですか?」
「十六夜咲夜よ。」
「で、十六夜さん……何故自分の店に先輩が来てると?」
グッ!!
え?
何かナイフを握る力が強くなったよ!?
「い、いや……来てな「何か言った?」………」
じ、尋問?
い、いや……誘導尋問か?
「もう一度言うわ……… 光がここに来たでしょう?」
くそ……なんだ!!
こ、このメイド……突然来て…狂ってやがる!!
てか、俺が発言する前に封じたら本末転倒だろ!?
「速く答えなさい!!」
ガン!!
僕は、外に投げ出されて地面にぶつかった………
ザワザワ………
突然の出来事に周りがざわつき始める………
「っ…………」
いったいな………
でも、ここでホントの事を言って先輩を引き渡したら、光先輩が………
僕は、内面で恐怖心に怯えながらも……動揺を見せないようにして、言葉を絞り出す。
「先輩……に一体何をするつもりですか?
自分は、先輩から貴女を『自分の所に来させるな。』と言われた。」
しかし…自分がそう言うと、目の前に居るヤバそうなメイドの表情が変わった………
「別にそんな事を貴方が知っても何も変わらないわ…」
ああ………なら、それならこっちにも考えがある………
先輩は渡さない……
渡してしまえば…なんかまずそうだから………
「なら、自分はここを通す訳にはいきませんね……」
「!?」
「知ってますか?
一応、ここは僕が経営する店なんですよ……… 店を壊されたり、営業妨害をされたらたまったもんじゃない!!」
怖い、恐い……
けど……自分は先輩とは違ってスペルカードをもっているから時たま戦闘もするし、自分で言うのもなんだけど……結構出来る。
だから、こんな時に逃げてる場合じゃないんだ!!
「ふ、ふふふふふ………」
「な、何がおかしい!!」
「貴方、そんな事を誰に向かって言ってるのかしら!!」
やっぱし……怖い…………な。
威圧感とかいろいろな物が全く自分に比にならないくらい強い………
……………でも、その方が殺りがいがある…
「ふふふふふははは!!
………じゃあ、殺りますか?」
ふふふふふ………
久しぶりに、場所を考えずに全力で行かせてもらいますよ!!
「ええ……そうね!!」
ガキィン!!
「あら?一発で終わると思ったのに。」
「自分が、人里に居るただの料理人だからって……油断すると酷い目に合いますよ!!」
僕の命の恩人である先輩には、絶対に触らせやしない!!
殺傷攻撃ありの真剣勝負開始!!
〜〜〜〜〜〜
寺子屋
今日の授業が終わり、私は教室の中でようやく一息をついていた…………
がしかし、今日はいつもと違って…宿題を忘れる子供もいなければ、珍しく授業中の問題の出来も良かった。
「ああ、こんな風にいつもなってくれれば………」
と、思わず独り言が飛び出すくらいに良かっ「慧音さん!!」
………いや、やっぱり何かが起こる前触れだっ「大変なんだ!!」
「で、そんなに焦って一体どうしたんだ!?」
私の台詞を最後まで言わせてくれ……
「あ、あっちの方でけ、喧嘩が起きてる………」
「け、喧嘩か?」
私は、何故そこまで焦っているのかが良く理解出来ない…………
喧嘩なら、普通周りの人々が止めに入るために自然消化するはずだ。
…………なら、何故焦っているんだ?
「け、喧嘩と言ってもただの喧嘩じゃない…………
だ、弾幕だ!!
弾幕ごっこだ!!」
「そ、それは本当か!?」
それなら………かなりマズイ!!
「ちょ、慧音さん!! 慧音さん!!」
私は、どのような人物がやっているのかを聞く前に自然に走り出していた……
それは、
人里の守護をしている自分が、人里の人々を守らなくてはならないから!!
「道を空けてくれ!!」
私は、人里の人々を守るために弾幕ごっこが起きた場所へと必死に駆けて行った………
〜〜〜〜
「ぐぅぅぅぅ………」
しかし、運び屋は知らない………
今回の事件が起こったこと……
そして、今回の事件の発端が自分のせいであることを…………