第7話「暴走する悪夢」
そして、決戦の時が来た。
ネビュラの最終兵器「ギガント・キメラ」が起動されたのだ。
街の中央広場に現れたその怪物は、これまでの怪人とは桁違いの大きさと、禍々しいオーラを放っていた。
複数の生物を無理やり融合させたような醜悪な姿。
理性の欠片もなく、ただ破壊衝動だけで動く殺戮マシンだ。
「総員、変身!」
俺の号令で、スターガードの五人が強化スーツを装着する。
「行くぞ!」
一斉に飛び出し、ギガント・キメラに向かって攻撃を開始した。
だが、効かない。
ブルーの斬撃も、イエローの重火器も、ピンクのサイコウェーブも、すべてが分厚い皮膚に弾き返される。
「硬すぎる……!」
逆に、怪物が咆哮と共に放った衝撃波で、俺たちは吹き飛ばされた。
地面に叩きつけられ、全身に激痛が走る。
圧倒的な力の差。
これが、エイスケの言っていた「禁断の兵器」か。
怪物がゆっくりとこちらに向かってくる。
その巨大な足が振り上げられ、俺を踏み潰そうとしたその時。
大気を切り裂く轟音と共に、巨大な氷柱が怪物の足元に突き刺さった。
「グオッ!?」
怪物がバランスを崩し、たたらを踏む。
「遅くなってすまない」
上空から舞い降りたのは、氷結将軍グラキエス。
彼は俺の前に着地すると、背中越しに声をかけてきた。
「立てるか、レッド」
「……当たり前だ。待ってたぞ」
俺は痛む体を叱咤して立ち上がった。
スターガードのメンバーが驚愕しているのが分かる。
「グラキエス!? なぜ奴が!」
「レッド、離れろ! そいつは敵だ!」
ブルーたちが叫ぶ。
だが、俺は彼らを手で制した。
「今は違う! こいつを倒すために、一時休戦だ!」
俺の言葉に、仲間たちは困惑しながらも、武器を構え直した。
グラキエスが冷気をまとい、俺が炎を拳に宿す。
氷と炎。
相反するはずの二つの力が、隣り合うことで奇妙な調和を生み出していた。
「行くぞ、グラキエス」
「ああ。俺の氷で動きを封じる。その隙に、お前の最大火力で焼き尽くせ」
「了解!」
俺たちは同時に駆け出した。
かつてない強敵を前に、俺と宿敵との、最初で最後の共闘が始まった。
背中を預けられる安心感。
それは、長年の相棒のような、あるいは魂の片割れのような、不思議な感覚だった。
この瞬間だけは、俺たちはヒーローでもヴィランでもなく、ただ一つの目的のために戦う「番」だった。




