第13話「運命のカタチ」
戦いは終わった。
ネビュラは壊滅し、残党もほとんどが捕縛された。
世界に平和が戻りつつある。
俺、焔カイは、瓦礫の撤去が進む街を見下ろす丘の上にいた。
隣には、桐生エイスケがいる。
彼はあれから姿をくらませていたが、今日ここで会う約束をしていた。
「本当に行くのか?」
「ああ。ネビュラの残した負の遺産は世界中に散らばっている。それを回収し、封印するのが俺の責任だ」
エイスケは旅装束のようなコートを羽織っていた。
「それに、俺は指名手配犯だ。ヒーローの隣に堂々と並ぶわけにはいかない」
「誰も、お前のことを悪く言うやつはいないよ。みんな、お前が世界を救ったって知ってる」
「世間というのは、清廉潔白な英雄を求めるものさ。俺のような汚れ役には、影が似合う」
彼は自嘲気味に笑ったが、その表情は晴れやかだった。
「カイ。お前は光の中にいろ。俺は影から、お前を守り続ける」
「……ずるいな、お前はいつも」
俺は彼の胸倉をつかんで引き寄せた。
「待ってるからな。絶対、帰ってこいよ」
「ああ。俺の帰る場所は、お前の隣だけだ」
俺たちはキスをした。
甘く、切なく、そして未来を約束する口づけ。
風が吹き抜け、彼の匂いを運んでくる。
それはかつてのような冷たい冬の匂いではなく、雪解けの春を予感させる優しい香りだった。
「またな、エイスケ」
「また会おう、カイ」
彼は背を向け、歩き出した。
一度も振り返らずに。
俺はその背中が見えなくなるまで見送った後、空を見上げた。
真っ青な空に、太陽が輝いている。
俺は拳を握りしめ、街へと戻った。
俺たちの物語は、まだ終わらない。
いつか、光と影が重なり合うその日まで。




