表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正義のヒーローはオメガでした。悪の幹部に正体がバレて求愛されています  作者: 水凪しおん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/15

第10話「氷解の誓い」

 エイスケの手厚い看病と、彼が独自に調合した薬のおかげで、俺のヒートは驚くほど早く収束した。


 数日ぶりのシャワーを浴び、彼が用意してくれた服――少しサイズが大きい彼のシャツとスウェット――に着替えてリビングへ向かう。


 エイスケはキッチンでコーヒーを淹れていた。


 悪の組織の幹部が、エプロンこそ着けていないが、手慣れた様子で朝食の準備をしている姿は、なんともシュールで、そして温かい光景だった。


「体調はどうだ?」


「ああ、おかげさまでな。……迷惑かけた」


「構わない。お前の寝顔を独占できたのは、役得だったしな」


 彼はからかうように笑い、トーストとスクランブルエッグをテーブルに置いた。


 向かい合って食事をする。


 静かな時間。


 でも、俺の中には迷いがあった。


「なあ、エイスケ。俺はこれから、どうすればいい」


 彼はコーヒーカップを置き、真っすぐに俺を見た。


「組織に戻るか? それとも、ここで俺と暮らすか?」


「……戻らなきゃいけない。仲間が待ってる」


「だろうな。お前はそういう奴だ」


 エイスケは寂しそうにするどころか、満足げにうなずいた。


「ネビュラは今回の件で混乱している。上層部は俺を裏切り者として指名手配した」


「えっ!? じゃあ、お前は……」


「追われる身だ。だが心配するな。俺を捕まえられるような虫けらは組織にはいない」


 彼は強気に笑ったが、その瞳には決意の色があった。


「俺は、ネビュラを潰すつもりだ。腐った組織を解体し、新しい秩序を作る」


「一人でか?」


「いや。お前がいるだろ?」


 エイスケはテーブル越しに手を伸ばし、俺の頬に触れた。


「カイ。お前はお前の場所で戦え。俺は俺のやり方で戦う。だが、目指す場所は同じだ」


「……ああ」


 俺は彼の手を、自分の手で覆った。


「俺も、もう逃げない。オメガであることも、お前が番であることも、全部受け入れて強くなる」


「いい顔になったな」


 エイスケが身を乗り出し俺の腰を引き寄せると、俺たちは自然と唇を重ねた。


 深く、とろけるような口づけ。


 フェロモンの暴走によるものではない、互いの意思による愛の確認。


 離れる時、銀の糸が引いた。


「行け、レッド。そして、勝ってこい」


「おう。お前も死ぬなよ、エイスケ」


 俺たちは互いに背を向け、それぞれの戦場へと歩き出した。


 もう、迷いはない。


 俺には、世界最強のヴィランが味方についているのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ