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海上国家日本  作者: osagi
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<偽りの企業城下町>

 政府の急な方針転換は世間を驚かせることとなった。


 それもそのはず突如として岸多内閣は日本国内の工場を洋上のメガフロートに移転させる計画を打ち出し、出来たばかりの新空島をその中心地とすることを決定したのだ。


 もちろんこの決定には反発も生まれ野党などはこの急な方針転換を非難して岸多内閣の攻撃を始めることとなる。


 しかしいくら野党が空港を失うことになった東京都の島しょ部に同情を示したとしても空港の建設に反対し、完成後も運用に反対してきた野党の見せる同情は国民に冷ややかな目で見られていた。


 そのうえ政府の急な方針転換と同時に起こった日本での異変。


 アメリカは突如として在日米軍基地内に居住する軍人の家族を本国へと帰国させ、日本で開催予定の国際会議はアメリカやヨーロッパでの開催に急遽変更されることとなった。


 このような情報は当然のことながらテレビやラジオでは報道されなかったがネット上へと漏れ出るこのような日本の異変に世間の人々は今回の方針転換をただ注意深く観察していたのである。



・・・・・



 『日本浮島化計画』


 こうして始まった計画であったが、この国難ともいえる危機を打開策が整うまで国民に伝えないというのはいつ沈むことになるか分からない日本において日本国民の命を危険にさらした大きな賭けであった。


 しかしいくらメガフロートという国土を作るとはいっても日本の沈没を発表するよりも先に全国民が住めるだけの面積をもつメガフロートを用意するなど資金面からみても不可能であり、ただ無駄なメガフロートを作り続けているとなれば政権がもたない。


 かといってごく少数の国民しか住めないようなメガフロートを建設しても強制移住はさせられないし、そのタイミングで発表をしたとしても規模の小ささから混乱は避けられない。そこで岸多は財界や各国政府に秘密裏に根回しを行ない、まずは『軌道に乗ったメガフロートの都市』を建設することにしたのである。


 そしてその島に建設する最初のものとして選ばれたのが世界で日本が高いシェアを持つ製品の工場であり、これには例え日本が早期に沈没したとしても日本の経済的な価値を維持し存在意義を保つという目的があった。


 こうしてその後、計画の第一弾であるメガフロートへの工場移転計画は順調に進んでいくこととなる。


 もともと工期の短いメガフロート。直径5kmほどにもなる六角形のメガフロートは当初予定されていたよりも早く完成し、完成と同時にその上には次々と工場や従業員の社員寮が建設されて太平洋へと運ばれていく。


 このメガフロートへの工場移転は移転に伴う転属という名目で従業員の強制移住を可能とし、これによって工場の稼働と同時に次から次へと日本からメガフロートへと人々が移り住むこととなったのである。


 そしてこのような急速な企業城下町の完成に世間の反応は可もなく不可もなくであった。


 それもそのはず日本の沈没についてはマスコミにも伝えられており各報道機関はメガフロート移転後の本社ビルや立地といったものを条件に岸多内閣と合意を結んでいたのだ。だがこの合意については与党の他の議員も知らない為あくまで岸多内閣との間で結ばれた合意であり政権交代後までその合意の保証はされていない。


 そのため真実を伝えられている報道機関はメガフロート上の都市について自主的に配慮された好意的な報道を行なっており、こうして岸多は政権を安定させたまま計画を進めていくことができたのである。


 そして日本の沈没や今回の計画は国連の常任理事国やG7の国に対しても伝えられており、もしも日本がなくなれば世界経済が混乱するうえ1億人以上にも及ぶ難民が世界へと解き放たれ、その難民を各国で平等に振り分けても60万人以上は受け入れなければならない。


 それどころか国土の面積や発展途上国の国力を考えれば先進国は100万人を優に超える人数を受け入れることになるのは明白であり、そこで各国は日本への投資という名目のもと移民や難民の発生を防ぐためメガフロートを建設する日本への援助を行なうことを決定し今に至っているのだ。


 特に日本の同盟国であるアメリカはこの事実が漏れれば経済が大損害を受けることから漏らす理由はなく、中国にとっても最も近い広大な国として日本人が自力で逃げてくる可能性もあるどころか同じ東洋の国として常任理事国として欧州各国から難民を押し付けられることを警戒し自国内にも強力な情報統制を行なうほどとなっていた。


 こうして各国の利害関係に支えられることとなった日本のメガフロートへの移転計画は数年かけて順調に行われることとなり計画発動から7年後、ついに日本国民へ真実を伝える時がやってくることとなる。





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