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海上国家日本  作者: osagi
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<日本浮島化計画>

はじめに

 筆者には地球科学やメガフロートなどについての専門知識がないため科学的な正誤は無視してまったくの想像と妄想で書いております。



 全長4キロ、滑走路3000メートルにも及ぶ世界初の超大型浮体式空港、通称『新空島にいそらじま』。


 このメガフロートという人工的な浮島に建設された空港は東京都小笠原村の主要空港であり、これから東京都島しょ部における観光や急患救急搬送の拠点として運用されることになる日本で最も新しい空港である。


 そしてメガフロートには空港だけでなく港湾としての機能も備えられていることから災害発生時には船でこのメガフロートを被災地周辺まで曳航し臨時の緊急物資輸送拠点とするほか島民たちの一時避難場所にもなる平時だけでなく有事の際にも活用される重要な施設となっているのだ。


 このように東京都島しょ部全域から多くの期待を受けて完成した新空島空港の開港式典に現役の内閣総理大臣として出席した岸多きしだであったが、式典の終了直後これから地域の有力者との懇談が本格的に始まろうとしたそのとき秘書官が岸多のもとへとやってきた。


 「総理」

 「なんだ?」

 「東京の阿相あそう副総理から緊急会議のためすぐに東京に戻るようにと・・・」


 現時点で岸多のもとに地震など災害の情報は入ってきていなかった。


 それにも関わらず緊急の会議を開くということは表には出せない何かが起こっているということであり、岸多は懇談もそこそこに大きな不安を抱えながら航空自衛隊の航空機でそのまま空港から東京へと戻ったのであった。



・・・・・



 岸多が首相官邸へと到着するとすでに岸多以外の閣僚全員が会議室に集まっており、一足早く何らかの説明を受けたであろう彼らの顔は暗く神妙なものとなっていた。


 「それで内容は?」


 こうしてようやく総理大臣が出席して正式に始まった会議。そこで副総理の阿相はとんでもないことを岸多へと伝えてきた。


 「日本は・・・海の底に沈む」

 「はい?」


 いつも「あっそう」が決め台詞でひょうきんとも寒いとも言われている党の重鎮、そんな阿相が神妙になるほど事態は深刻であった。


 専門家の話によれば日本の地下深く、地下にあるプレートに巨大な空洞があるというのだ。


 近年多発していた通常とは違う異常な地震は空洞上部のプレートが空洞の中で剥がれ落ちたことによって発生していた振動とのことであり、最新の調査によるとその空洞は日本の下全体にあることから日本はこのままではいつの日か必ず穴の中に落ちることになるというのだ。


 「それで猶予は?」

 「地表と空洞上部の厚さからすぐに沈むというものではありませんが、大地震で一気に崩落する可能性もあれば、小さな崩落が連鎖して一気に崩れる可能性もあります」

 「つまり、いつ日本が穴の中に落ちることになるかは分からないと・・・」


 岸多の言葉に専門家は小さく頷いた。

 いつ崩落が発生して日本が沈むかは分からないが空洞のあるプレートは他のプレートの下に沈み込む際の圧力には耐えられず、その時は必ずやってくるという。


 しかしこのようなこと、そう簡単に発表できるものではなかった。復興のできる地震とは違い日本という国そのものがなくなるという災害。必ず日本が消えてなくなると確定し、それがいつになるか分からないとなれば円はたちまち紙クズとなり国民は逃げだして日本という国は日本という場所がなくなる前に亡国となってしまう。


 だがこのことを国民に隠して日本という国とともに国民を連れにするわけにはいかないのもまた事実である。


 「少なくとも混乱のなか難民として世界に散らばるよりは早めに難民として世界に出て現地に同化するのがいいのではないか?」


 岸多がここに来るまでに閣僚全員でそう話し合っていたのか、悟ったように阿相はそう岸多に提案をするが岸多としてはそのような提案をすぐに受け入れることはできなかった。


 そもそも全世界という地域で考えても1億数千万人という難民は多すぎて受け入れる余地はない。それに日本が消えてなくなる以上それは難民ではなく移民であり、日本人が各国へと散らばってしまえば日本という場所で育まれてきた文化も伝統も全てが消えてなくなってしまう。


 「それは日本という国がなくなってしまう以上、仕方がないのではないか」


 そんな岸多の懸念に阿相はそう突っ込むが、そのとき国の滅亡をそう簡単にあきらめきれない岸多の頭にある考えが思い浮かぶ。


 「少なくとも日本という国をメガフロートという場所に残せないか、私はそれにかけて見ようと思います」


 岸多の決断に内閣の誰もが驚くが日本初のメガフロート空港が建設されており技術力はある。たとえ猫の額ほどの場所であろうと日本という場所をこの世界に残す、それが岸多の決断であった。


 そしてこの岸野の決断に阿相は「あっそう」とだけ返し、こうして消えゆく日本という存在を世界に残すため日本政府は秘密裏に『日本浮島化計画』を発動、その時への備えを始めることとなったのである。





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