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第0話 プロローグ
前後の景色もわからない真っ暗闇の中、両手に伝わる熱が自分たちの存在を感じさせる。
この距離に他人がいる――昔なら信じられなかったことだと自然と笑みがこぼれた。
「お待たせしました。」 落ち着いた声が闇を切り裂いた。
参加者全員が息をのみ静寂が会場を包み込む。
第1次試験、第2次試験を勝ち抜き、栄えあるデビュー権を勝ち取ったチームは――」
歓声が湧き上がる。その熱気は足元からステージ全体に広がり、空気が跳ね上がるように感じられた。汗が額を伝い、心臓の鼓動が耳に響き渡る。息を吸い込むと、その音さえも舞台の鼓動と重なっていく。
スポットライトがゆっくりと動き始め、その光が示す先は――。