表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

生命の灯火が消えて私は

6話目です!!


ちょっと改良。


 しかし幸いなことに私達は生きていたのだ。

 逃げ行く人の荒波に飲まれそうになっても、手を離さない限り二人は一緒に居られた。

 赤が周りを包み込み、黒が周りに跋扈し、灰色が光を遮断した。

 赤と黒と灰色の世界。

 そんな世界を二人で駆けた。


―――

 

嫌じゃ(嫌だ)!!嫌じゃ(嫌だ)!!まだ死にとうない(死にたくない)!!うちゃ(私は)やすちゃんとまだこれからも生きるんじゃ(生きるんだ)!!」


「ゴホッゴホッ……ゴホッゴホッ……」


どしたん(どうしたの)やすちゃん!?」


「んーん。ちいと(ちょっと)咳き込んでしもうた(じゃった)だけじゃけぇ(だから)しゃーなーよ(大丈夫だよ)


 二人で走ると、やすちゃんは辛そうに咳き込んだ。

 健康なやすちゃんが咳き込んだのは、辺りに充満していた毒の所為だった。

 しかし、うち達には止まっている暇なんてない。

 だから小さくて弱々しい子どもの體で精一杯走った。

 死にたくなんてないから。


―――

 

 当時の光景を地獄と名状するならば、言葉通り神も仏も居ないのだろう。

 精一杯無我夢中で走っていた私は気づかなかったのだ。

 私が走っていた左横の建物が崩れ掛けていたのを……。

 

「危ない!やすちゃん!!」


 のりちゃんが私を突き飛ばした。


「えっ……………………?」


 私が咄嗟に後ろを振り向くと、のりちゃんはニコリと微笑んで、死んだ。


「は……………………?」


 ──私は何も考えられなくなった。

 ──私は何も感じられなくなった。

 ──私は何も聞こえれなくなった。

 ──私の瞳から光が消えた。

 ──私の體から力が抜けた。

 そんな私は、ただ呆然と突っ立っていた。


「…………………………。」

 

 建物の残骸から、のりちゃんの手が出ていたのだ。

 だから私は、ただ、その手を握った。

 その手を触れていると、先程まで互いに生を実感していた体温が薄れていった。

 まるで、本当に生命の灯火が弱まっている様だった。


ご精読くださりありがとうございます。感想、評価、ブクマ、拡散の程をお願いします!!(* ˊ꒳ˋ*)


これがXアカウントです!

https://x.com/GUMI_ubu



【毎日投稿中】


『神とゲームと青春を!』

https://ncode.syosetu.com/n3915ji/



【高評価短編】


『いつも二人で』

https://ncode.syosetu.com/n3372is/


『恋文』

https://ncode.syosetu.com/n0200jn/



『ハネ』と『弱虫勇者』は

ランキング1位獲得作品です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ