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新緑騎士団  王都No.1人気の騎士団に男装して潜入し、生き別れた兄を探します  作者: 北村 清
第四章 新緑騎士団第一隊

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ツヴァイク邸の夜会(2)

「な・・ななな・なな何の事ですか⁉︎」


動揺しすぎだっ!


とフロルは叫びたくなった。びっくりするくらい、嘘がつけない人なんだな!マクシミリアン様はっ‼︎


後方に目をやると、ユリウスが頭を抱えている。その態度はやめて!とこちらにも言いたい。

ヴェルギールは女の子との会話をやめてこちらを注視していたが、リーリアとアレクサンデルは「これ、おいしー!」と料理に夢中になっていた。お願いだから助けてよ!


誰もあてにできない。と思ったフロルは腹をくくった。


お祖母様は、こう言ってはいるが証拠は無いのだ。実際のところ服をひん剥かれて裸にされない限り性別がバレる事はない。

だから、堂々として「私は女です!」と言い張れば、言い逃れる事はできるのだ。


というか、お祖母様。さっき気になる事を言ったな?「親切な方が教えてくれなければ・・・」って。


つまり、お祖母様に密告した奴がいるんだ!誰だ⁉︎

ここにいる4人の中の誰かとは思いたくないけれど。


フロルは頬に手を当てて小首を傾げ

「まあ。」

と言った。


「何の事でしょう?私がマクス様の部下だなんて。」

そう言ってマクシミリアンに向き直り「否定しろ!」というオーラを出す。


マクシミリアンが、はっ!とした顔をした。


「そうです。フロルは僕の部下ではありませんよ!」

フロルはユリウスの部下なのである。マクシミリアンの部下ではない。


「ふーん。」

とマクシミリアンの祖母が冷たい声を出した。フロルはそんな彼女に向かって微笑んだ。


「先ほど夫人は私が女装している、みたいな事を言われましたけれど、一体誰がそんな嘘を夫人のお耳に入れたのでしょうか?」

「嘘だと言うの?」

「夫人には私が男に見えるのでしょうか?」

「質問に質問を返すのはやめなさい、この無礼者!」

ピシャっと怒鳴りつけられて、フロルは首をすくめた。理不尽だ。最初に質問したのは私なのに。


誰が密告したのか、それだけは何としても聞き出してやる!

そう思ってフロルはお腹に力を込めた。そいつは、マクスの事を裏切ったのだ。裏切り者は何度だって裏切る。だからこそ放ってはおけなかった。


「私は生まれた時から女です。それを否定した人がいるなんて、とても驚きましたし、とても悲しいです。」

「あなたの図々しさの方がわたくしには驚きよ。」

「自分が女だと言う事が図々しい事なのですか?」

「そう。それなら、そのドレスを脱ぎなさい。」

とマクスの祖母が言った。

「お祖母様、それは・・。」

「おまえは黙っていなさい!」

と祖母は孫を怒鳴りつけた。瞬殺であった。


「ツヴァイク夫人は、自分の目の前にある真実よりも、信頼できない人の言葉を信じる方なのですね。」

とフロルが言うと、マクスの祖母は目を吊り上げた。


「言い訳はもう結構です!そこまで言うなら教えてあげましょう。わたくしに手紙をくださったのは、新緑騎士団のデイム、ローザ嬢です。それを聞いても尚、あなたは自分が女だと言い張り続けるの⁉︎」


ローザかよ!

フロルはぷつっと切れそうになった。いや、切れてしまった。


『フロルが男だ』


と密告する事で、自分を恋人役に選んでくれなかったマクシミリアンを窮地に追い込んでやろうとしているのだ、あの性悪女は!

フロルが女だという事を自分からバラさらなければ、マクシミリアンは部下を女装させた男として招待客の笑い者になる。そして後日、本当はフロルが女だという事をローザがマクスにばらしたら、マクスのフロルへの信頼度はゼロになるだろう。


もし、フロルが女だとカミングアウトしたら。この場はやり過ごせるがフロルは騎士団を追放される事になる。

ローザにとってはどっちに転んでも万々歳だ。あの女は本当に悪知恵だけはよく働くよな!


「本当に女だと言うのなら、脱いでみせなさいよ。」

「できないと言うのならこの場から出て行きなさい!同じ空気を吸っているのも気持ち悪いわ。この変態男。」


周囲の客達がフロルをやじりだした。

こんな品のない、底意地の悪い誰かとマクスを、お祖母様は無理矢理婚約させようとしているのか。何故、実の孫にこんな仕打ちができるのだろうと思う。だが、こういう人というのは世の中に一定数いるのだ。グリューネバルト伯爵の母親という人もそういう人だった。

そう思うと尚更許せなかった。マクスを守りたいと思った。それはフロル自身の両親を擁護する事だった。


「わかりました。でも一つ誓ってください。ツヴァイク夫人、あなたは私を公に辱めました。その償いとして、私が確かに女だった場合マクス様の結婚は彼の自由意志に任せると。」

「ええ、かまわなくてよ。」


「その言葉、決して忘れないでくださいね。」


そう言ってフロルは上着を脱いだ。



上着の下はキャミソール型のドレスである。下着と同じデザインだが下着ではない。だがデコルテ部分はものすごく開いている。正直胸の先端ギリギリまで布が無い。

なので、非常に慎ましいレベルとはいえデコルテ部分から谷間が見えた。

フロルは更にウエスト部分を手に持ち体型がわかるよう服を押さえた。胸の膨らみがそれで更に強調される。


「これも脱げとおっしゃいますか?」

とフロルは聞いた。

マクシミリアンもマクシミリアンの祖母もポカンとした顔をしていた。そんな表情をすると二人の顔はものすごくよく似ていた。


そして次の瞬間。


「この馬鹿ーーーっ!」

という叫びと共に。

リーリアのグーパンチがマクシミリアンに向け炸裂した。


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