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新緑騎士団  王都No.1人気の騎士団に男装して潜入し、生き別れた兄を探します  作者: 北村 清
第四章 新緑騎士団第一隊

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実家からの手紙

「言葉が足りなすぎだ、マクス。」

ヴェルギールがマクシミリアンの頭を軽く小突いた。


「実家からどういう手紙が届いたのかの説明もなしにそんなセリフ言われても、フロルだって困るだろうが。」


困るというより、思いっきり引いた。フロルは既に部屋に帰りたい気分だった。

しかし、この状況で話を聞かずに帰るわけにはいかないだろう。


「どういう手紙が届いたのですか?」

とフロルは一応質問してみた。


「・・祖母に見合いをするよう命令されたんだ。それで、見合いをするつもりはない、と返事をしたついでについ『心に決めた女性がいる』と書いてしまってそしたら『お相手を家に連れて来なさい』と・・・。」


『心に決めた女性』って、まさかリーリアの事だろうか?それは絶望的だな。とフロルは思った。

昨日までならまだしも、今のリーリアがマクシミリアンの想い人になってくれる可能性は120%無い。

というか「女装しろ」って・・・。


「まさか私に恋人のふりをしろ、と言っておられるのですか?」

「駄目だろうか?ヴェルギールにも頼んだのだが、僕の祖母とは顔見知りなので騙せるはずがないと断られた。」


それ以前の無理があるだろうが!

とフロルは思った。

マクシミリアンよりもヴェルギールの方が身長が高いのだ。


「嘘だとバレたら、僕は祖母に両足を縛られて家の屋上から逆さに吊るされる。」

「ワイルドなお祖母様なんですね。」

「僕が悪いんだから、その程度の罰は耐えられるが。」

「耐えられるんですか!けっこうハード系の拷問ですよ⁉︎」

「耐えられないのは、見合いを強硬されてしまう事だ。祖母は僕の父も僕も一人息子だから昔から僕に『1秒でも早く結婚をしろ』と迫っていたんだ。必死に逃げ回っていたが今回のお祖母様は本気だ。」

「それはお辛いですね。」

フロルは心からそう言った。


フロル自身、愛してもいなけりゃ二回しか顔を合わせた事のない、41歳も年上の男性との結婚を強制されて逃げられなかったから『断れない結婚』というものがある、という事はよくわかる。それがどんなに嫌で、どんなにストレスになるか骨の髄まで知っていた。


今現在のフロルはまあまあ幸せだが、結婚式の前後の日々は本当にもう辛かった。だからフロルは、愛の無い結婚の強制は絶対反対派だ。

この真冬に屋外に逆さ吊りにされるより嫌だ、というくらいマクシミリアンは嫌がっているのだから、そんな結婚絶対させちゃあいけないと思う。相手の女性にだって失礼だ。


「私が、ツヴァイク様の恋人のふりをして、ツヴァイク様が見合いも結婚もしなくてすむというのなら女装くらいいくらでもしますよ。」

ここで恩を売っておけば、兄弟探しもはかどるかもしれない、という打算もあった。

というか、マクシミリアンが兄弟という可能性もあるのだ。だったら、彼の祖母と名乗る女性に会ってみたい。そして話がしてみたい。とも思う。


「本当かい、フロル君!ありがとう。本当にありがとう!」

「フロルー。マクスのばあさんは手強い相手だぞ。王都でも有名な女傑なんだ。やめといた方がいいと思うけどなあ。」

とヴェルギールには言われたが、結局マクシミリアンの恋人役をフロルがする事で話はまとまってしまった。




フロルがマクシミリアンの恋人の演技をするという事は、翌日にはユリウスとアレクサンデルの知るところとなった。ヴェルギールが喋ったからだ。


「何を考えているのだ。女装などと、そのようなふざけた真似直属の上司として絶対に許さん!」

「フロル、アホな事はやめろ。関わったらろくな事にはならないぞ。」

ユーリとアレクにそう言われてしまったが


「でももう、ツヴァイク様と約束したんです。私は約束は絶対に守ります。」

とフロルは答えた。


「君がやろうとしている事は立派な詐欺だ。自分を信じてくれる相手を騙すような真似が許される事だと思っているのか⁉︎」

「つーか、騙しきれるとはとても思えんな。フロル、おまえ嘘つくの超下手だろ。そしてそんなおまえをフォローできるほどマクスは要領の良い奴じゃないぞ。」

とアレクは言ってから

「そもそも何故フロルがそんな真似をする事になったんだ⁉︎第五隊の人間にやらせればいいのに。」

とマクシミリアンに聞いた。


「フロル君がやってくれると言ったから。」

「私の部下を巻き込むな!」

とユリウスがマクシミリアンを怒鳴りつける。


「僕だって悪いと思っているよ。だけど、他に方法がないんだ。心に決めた女性を祖母に紹介できなかったら十中八九結婚させられるのだから。」

「結婚せずにすむ可能性が最大二割あるなら十分じゃないか。」

とアレクがマクシミリアンのセリフの揚げ足を取った。


フロルは不機嫌なユーリを見ながら「この人が女装したら綺麗だろうなぁ」と考えていた。身長と肩幅があり過ぎるけど。




フロルがマクシミリアンの恋人のふりをするという話はリーリアにもすぐバレた。


「あんた、女装はまずいでしょ。なんであんたがあんな男の為に危険な真似をすんのよ。」

人に聞かれたらまずいので声をひそめて聞いてくる。


「ツヴァイク様の事情に共感してしまって。」

「だからって危険過ぎるわ。正体がバレたらどうすんの?」

「じゃあ、リーリアが代わってくれる?」

「死んでも嫌!」



周囲の反対意見を無視してフロルとマクシミリアンは、細かい設定を決めていった。

いつ、どうやって出会ったか?などだ。


「ツヴァイク様では、祖母に変だと思われそうなので名前を呼んでくれるかい。」

「わかりました、マクシミリアン様。」

「マクスでいいよ。」

「はい、マクス様。ところで、最近ローザ嬢の姿を見ない気がするのですけれど、どうしたのでしょうかね?」

「恋人の役なら私がしてあげる、って言われたけれど断ったからかな?」

「えっ⁉︎ローザまで私が女装する事知っているんですか?」

フロルは悪寒をおぼえた。

「ローザ、怒ってませんでしたか?」

「さあ。僕、女の人が怒っているとか、機嫌が悪いとかそういうのよくわかんないんだよね。」


マクシミリアンはあまり気にしていないようだが、フロルは嫌な予感がした。ローザがこのままマクシミリアンの恋人役を諦めるだろうか?


そうこうしているうちに約束の日となり、フロルはマクシミリアンが用意してくれたドレスを着てツヴァイク邸に向かった。

結果として、この会談は大失敗に終わる。

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